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《自分が行った攻撃の余波でHPにダメージ受けていますよ。やり過ぎです。ともかく魔獣の気配はありません。警戒は崩さずに穴の傍へ行ってください。対象の経験値は大きいようですがレベルアップ無し。当然魔石ドロップも無しです》



 アイの指示に従って穴の周りに近寄る。もちろん慎重にだ。ダンジョンの床材が弾け跳んでいる。床材が剥げた所は真っ黒な穴が開いているように見える。穴なのか黒い壁なのか見ただけではわからない。


《マスター、辺りにある床材のかけらを黒の部分へ投げてみてください》



 オレも気になっていたので即実行する。投げた床材は黒い部分に当たると跳ねて転がってゆく。



《見た目からは黒い空間かと思いましたが。マスター、次に手持ちの矢を同じように》



 次に矢を投じる。



(・・・!!?)



 投げられた矢は予想に反し、黒い部分に触れるや否や吸い込まれるように消えた。



《これは・・・観測する必要がありますね。マスターの切望している異空間収納の手掛かりに》


(え、マジ?あの黒いの異空間ぽい?)


《どうでしょう。観測しますのでマスターは周囲警戒を。特にリポップに注意を》


(オレ達が部屋を出るまで湧かないよ普通。でも警戒しておく)



 それからアイは10分ほど測定していたようだ。オレは警戒と言いつつ実質休憩していた。だってポップしないでしょ?どうせね。観測を終えたアイが言う。



《お待たせしましたマスター。結論から言います。残念ながら収納の手掛かりにはなりませんでした。いえ、正確に言うと手掛かりになるかどうかさえわかりませんでした。わかったことはこの黒い部分は壁と同一系統の産物だということです。つまりダンジョンであり神の力が関係しているでしょう。

 魔素とは全く違った構成要素を持ち、それが何かは解明できませんでした。この世界の全ての根源は魔素です。つまりこれらは本来ならこの世界に存在できない物なのです。

 黒い部分と違って壁及び床はマスターの魔素の力で破壊できることから、この世界の物であり同時に別の世界のモノなのでしょう。中間的な存在かもしれません》


(よくわからんが、ダンジョン関連ってことか)


《はい。ひとまず部屋をでましょう》



 派手な戦闘跡を後にしてオレは部屋を出ていく。大部屋をでる通路は入り口とは反対の奥側にあるようだ。戦闘中には出られないんだろうなと簡単に想像できる。予想通り部屋の出口通路近辺に例の境界を感じる。当然今は通過できるな。

 奥の通路に入り少し進むと通路が2つに分岐しており、左に曲がるか真っすぐ進むかの選択になる。左はすぐ行き止まりになっており、いかにも転送魔方陣くさい絵柄が床に見える。間違いないだろう。



(転送にのってみるか下に進むかどっちがいい?)


《・・・・・・・・・》


(どうした?)


《・・・・マスター。土下座の時の約束覚えていますか。録音もしてありますが》


(え、なに?怖いな。いいけど何するのこんなところで)


《詳しい理由は後にしてしばらく私の指示通りに動いていただけませんか》


(いつもだいたいそうじゃん?)


《まだ思い付きの段階でうまくいくかどうか自信がありません。これから取る行動の説明が困難です。マスターの不利益になることでは無いと誓います》


(まーったく、今さら何言ってるの。そんなのただ『お願い』って言えばいい。さすがにオレも学んだよ。理由も聞かん。あとでまとめて説明してくれ)


《感謝します。絶対に損はさせません》


(わーってるって)


《まずは11層へ。真っすぐ進みましょう》



 アイの指示通りに動く。最初は意味がわからなかった。いや、今でも意味はわらないが何がしたいのかはぼんやり見えてきた。


 まずは11層へ行った。10層からの階段を降り切ると当然11層の通路だ。そこにまたもや境界があった。通過して驚く。

 1層の入り口にも境界があったことを思い出す。通過するとダンジョンの中はとても濃密な魔素で満ちていてその境界になっていた。なんと11層の境界を通過するとさらに輪をかけて魔素が濃くなっていた。慣れるのに少し時間がかかりそうだ。いまの所意味はわからない。

 11層に侵入し気配を消して索敵をする。アイはすぐに対象を発見し慎重に近づいて目視。


 なんとまたボア!


 でもあきらかにおかしい。大きすぎるし物理法則を無視してそうだ。あんなに大きいと走ったら自重で足が破壊されるってアイが言ってた。しかも体表が紫でデザインが狂ってる。その他にもいくつかの通路を調べて同じ魔獣がいることを確認した。

 魔獣を確認したうえで引き返す。ちょっとだけソイツをやりたかったが素直に従う。オレだってさすがにもう理解してる。ちゃんと考えてアイは指示してくれている。この時点で最善の行動だって信じてる。


 10層に戻ってきた。ドッペルゲンガーのいた部屋の様子を見る。戦闘跡はまだ残っている。アイによると修復が始まっているらしい。魔獣は何も湧いてない。部屋には入れなくなっていた。進めない境界だ。9層へ逆走できないってやつだな。アイはリポップ時間をしきりに気にしている。


 転移装置を使う。少しだけ緊張したがゲーム仕様を信じて飛ぶ。1層の入り口近くの袋小路となっている部分に飛んだようだ。毎回ここにくるのかね?逆に10層へ行くときはこの袋小路にくるのかな。

 辺りを観察するが何もない。袋小路であること以外普通のダンジョン内の通路だ。ひとまず地上への階段方向へ。いつもの境界をダンジョン内から外へ通過する。

 アイがそこで再度ダンジョン内へ進むように指示。オレは再度境界を通過する。


(・・・・・!!)


 10層へ転移するかどうかの選択肢が出た!


 そのまま転移して10層で再度ポップチェックだ。いる。大部屋に変なのが湧いてる。オレが開けた穴を避けて立っている。


 一言で言うとトイレの入り口にある男性用の人間マークだ。頭が黒い球になっていて体と手足が黒い太線でできている。人の形のデフォルメだ。まぁわかるよ。コピー前ってことだろうね。もちろん部屋には侵入できない。

 アイはそれらを確かめると少し考え込んでいるようだ。


 次にアイが指示したのはまさかの1層から9層へ突貫。1層へ飛び、そこから9層へ突貫した。前回と同じように活性[1]のみだ。

 そのまま大部屋に入ると当然コピーされたオレがいる。全く同じだ。光の矢は禁止される。部位強化した矢で射る。問題なく一撃だ。

 アイが必死に観測、演算しているのが伝わってくる。


 そして次の指示が・・・大部屋の入り口から9層へ戻ってリポップ待機。はい連戦が決定しました~。

 アイによるとリポップは30分とのこと。この待機がつらたん。何もするなって言われてるからね。時間を使って訓練もできない。充電と活性[1]だけだな。何度も繰り返すうちに9層に戻らずとも10層で境界の外側の待機でいいことに気が付く。別に大した差じゃないが。

 ひたすら待っては討伐を繰り返す。アイはずっと無言だ。おそらく演算に自分のリソースの全てを割り振っていたのだろう。

 この日、合計6体のコピーを倒し終了した。最後はもちろん転移して帰る。今日は魔石が無しだったのでロビーで驚かれるも例の検査装置で証明しホテルへ。


 ホテルに帰りつき一息つく。アイも演算に余裕が出来たのか話しかけてきた。



《マスター、ご協力ありがとうございました。本日出た結論のみお伝えします。


 一般にレベル上げはレベルが高くなるほど時間効率は悪くなります。自分のレベルに見合った適正な相手を常時用意するのが困難だからです。一方、コピーは挑戦者と同じレベルであるので理論上どこまででも高効率のレベル上げが続けられる筈。

 と思いましたが、残念ながらコピーはレベル19でありながら相応の経験値を与えてくれないようです。グレートボアより経験値が高いのは間違いありませんが、リポップ時間を加味した効率では劣るでしょう。

 また、討伐時の魔石のドロップ判定がありませんでした。レベル19相当の高品質な魔石を落とすと期待していたのですが、経験値稼ぎと同様に魔石稼ぎもできないようです。


 まだ検証は続きます。申し訳ありませんが明日以降もお付き合いください》



 明日以降も同じだそうです。

 わ~ぃ。(震え声)

※転移装置のクールタイム設定を無くしました

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