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その後上層部が帰っていったのを確認して組合に急ぐ。
「ヴィルさん、ちょっといいですか」
「リク!すごいタイミングだな。いまさっきまで・・・」
「わかってます。隠れて聞いてました。概要だけですが全部わかってます」
まずはヴィルさんとお互いの認識を共有しつつ、その上で相談を始める。
「この斡旋所のトップの幹事長が面会を求めて来たぞ。場所は幹事長室だ、おそらく腰巾着が2匹ついてるぜ」
「幹事長とそのお付きで計3人がちょっかい掛けて来てるってことですね?わかりました。面会予定は8日後の午後イチにしておいて下さい。それまでに対応を考えておきます」
「対応ったっておめぇ。なにするんだ?力業は駄目だぞ?」
「そんなことしませんよ」
「魔石の何割かをくれてやりゃおとなしくはなると思うが」
「オレはそういう妥協はしません。北の主の時とは全く違います」
アイが聞いてほしい事があると告げてくるのでそのまま質問する。
「もしわかればなんですが、その偉い人と対立してる人いませんか?」
「幹事長と対立ってことか?・・・まぁ副幹事だろうな。次のイスを狙ってるしな」
「人柄は?」
「ハハッ、清廉潔白な奴が上に行けるかよ。まぁ幹事長よりは10倍マシだ」
「幹事長の給料って高いですか?」
「どこの斡旋所も薄給だ。だから上へ行って権力を持ち、色んな場所へ顔を突っ込んで便宜を押し付ける。そうやって便宜料や相談料で小銭を稼ぐんだ。オレなんか基本自分で狩りをして稼ぐんだぞ?組合員の管理手当はあるがスズメの涙だ。聞いたら驚くぜ?誰も組合長なんかやらなくなる。いいか、それでも組合に・・・」
マズい!話が長くなるパターンだ。オレは慌ててヴィルさんを止めて話をかえる。
「ヴィルさんちょっと待って!わかりましたから。悪い奴ならそんな小銭だけでなく、もうちょっと大きなコトに手を出してるんじゃないですかね?」
「・・・・リク、危ないな。駄目だ。さすがに親としてこれ以上は止めるぞ」
「知ってはいるんですね?」
「・・・・・・・・」
「魔石払い用の?」
「てめぇなんで!!・・・ってちくしょう!ハッタリか!」
座っていた椅子を蹴っ飛ばして立ち上がり吠える。鬼の形相でオレを睨む。急な大声に周りにいた組合員の注目が集まる。
「ヴィルさんみんなが見てます。座って落ち着いてください」
「リク。真面目に聞け。駄目だ手を出すな。ガキにどうこうできる問題じゃねぇ」
「はい。オレは手をだしませんよ、オレはね」
「・・・北の主の相談に乗った時もそうだったがなんなんだ。おめぇの頭ん中、腹ん中はどうなってやがる。見た目通りじゃないのか。いいかオレは忠告したぞ」
斡旋所から出てホテルへ向かう。アイと話しながら。
(ヴィルさんを少し怒らせてしまったな。見返りは十分あったか?)
《はい、マスター。作戦は決まりました。あとは決行するのみです》
(だれかが死ぬのはナシな?)
《もちろんです》
(オレは何するかもう決まってる?少々危険なぐらいはいいが失敗して社会的に死ぬのはイヤだぞ?)
《全ておまかせください。神算鬼謀の名にかけて!》
(とうとう自分で二つ名を名乗りだした!?)
ヴィルさんの影響受けたんだろうなぁ。褒めてたもんな。あ、影響を受けたじゃなくて学習したって言わないと怒りそうだな、うん。
8日後の早朝。
まだ誰も出勤していない程の速い時間。とある裏帳簿が斡旋所の中にある副幹事の机上に置かれていた。
その帳簿は国から卸される成形済の魔石の横領が克明に記録されている物だった。その主犯であるこの斡旋所の幹事長は、その日の夕方に副幹事に見送られながら警吏に連行されていった。
リクが幹事長について組合長ヴィナトゥールと相談した日の次の日。
つまりダンジョン休みの次の日。
昨日まるっと一日休んだおかげで気力体力十分だ。
今日はダンジョン!やったるでぇ~~~ウハハハ。
え?昨日は休日っぽくなかったって?
レベル上げの毎日の中で、閑話休題として名探偵編ぶっこんでくるよね?
そういうラノベ読んだことない?あるよね?
むしろ休日として正しいよね?
うんテンプレがまた一つ達成された。
BANZAI テンプレ!
ただ今回は少し軽すぎたかな。
よ~~し、サスペンス編もあるよな?今度やろう、長編で!
無理だ。アイしか活躍しない。
そんなことよりダンジョンだ。久しぶり7層だよ。
グレートボアだよ。
さて、やりますか。
《マスター、強化[1]ですよお忘れなく。矢は内部破壊で。この部位強化は本当にコスパが良いです。ボア連戦の時に編み出したヘッドショットが元になっていますね。ダンジョングレートボアを1撃で屠るように調整してくださいね。ではいきますよナビスタートです》
あれ?なんかアイもノッてるな?
たった1日しか休んでないのに?お休みは関係ないか。
ほんの少し、本当にほんの少し違和感が・・・語尾?
(待てって。アイ、魔石モードだ。検証も兼ねるぞ。10連続で頼む)
《・・・・失礼しました。了解です》
うん。すごいな。本当に10連続で魔石落としたよ。
(よくやった、すごいね。負担は大きいの?)
《軽くも重くもないです。大きく構造を変化させるわけではありません。端折って言うと係数を0.2から1に変更するだけなので全体から見るとほんの一部です》
(なるほどね。じゃ次からは全部経験値で)
よ~~し本番開始だ。集中していこう。もちろん活性化のことじゃない。『集中するとは意識を高め、目標に対する思考を研ぎ澄まして加速させる』だったな。いやいや言葉だけじゃ上っ面しか身に付いてない。感覚に落とし込むんだ。
快進撃が始まった。
(一昨日より何故か強化がやりやすい。体にしっくりきてる。昨日は休みだったのになんでだろう?)
《お休みの間でも強化[1]を常に保持していたからでしょう。より自然体に近づけばより安定していきます。ちなみにマスターが就寝している間は私が保持しています》
(そうだったな、助かるよ)
殲滅速度がどんどん速まっていく。アイのリポップ管理に狂いが生じ始めたようだ。魔獣が足りない場面に遭遇する。
《マスター、9層に向かいましょう。複数ポップが必要です。魔素の消費もかなり抑えられており休憩の頻度が減りましたね。それゆえ魔獣が足りません》
(わかった。じゃ降りようか。
抑えるだけじゃなく減るのを無くせないかな?
身体強化[1] + 矢の強化 VS 自然回復 + 充電
これが釣り合って相殺できると永遠に狩りできるんだが。今の所は消費が勝って減ってるな)
《たとえ魔素は減らなくても休憩は必要ですよ。特に水分補給です。さっそくですが休みましょう》
休憩を終了して9層に向かい続行だ。全ての動作が非常にスムーズだ。動作と動作の間のつなぎも流れるような美しさ。殲滅が早くなったのはいいがアイの負担が若干大きいように感じる。
(アイ、経験値モードは終了だ。自然にまかせたドロップでいい。あとコースを覚えやすいのにしてくれ。オレが覚えて自分で向かう。コースを覚えたなら索敵も無しだ)
《私の力が足りず申し訳ありません、マスターに気を遣わせてしまうとは。微力の限りを尽くしますので、どうかこのままお任せを》
(アイのがんばりは十分認めてる。でもお互い歩み寄りは必要だぜ?相棒だからな。それにまだオレのスピードは上がると思うよ?そうなったらどうする?)
《・・・承知しました。経験値モードは終了。マップ表示も切ります。コースの指示は右、左で。しかし索敵は譲れません。魔獣がいる場合は右1や左2のように指示します》
(オーケイ、いいね。オレ達は対等な相棒だ)
《その言葉、心躍りますね》
お互いが協力して最高のパフォーマンスを紡いでいく。すっげぇ楽しい。
レベル上げ自体よりも楽しいなこれ。ハマりそう。
翌日も、さらにその次の日も同じようにダンジョン。最初から9層で始める。
《昨日の最高効率の状態は学習しました。今日は余裕がありますよ》
(おっと、煽ってるのか?じゃ今日はもっと速くするぜ)
《望むところです》
こうして競うようにオレ達は真剣に、でも楽しみながらおそろしい勢いでレベリングをした。
この3日間でステータスはこうなった。
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【名前】リク
【LV】19
【NEXT】4253
HP 892/1105
MP 0/0
STR 18
VIT 19
DEX 19
AGI 23
INT 16
【付加中】身体活性[1]
【スキル】長弓[5] 速射[4] 光の矢[1]
身体活性[3] 気配隠蔽[7]
【ユニーク】魔素視 AI解析
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身体強化が活性に?あとでアイに聞こうか。
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【名前】リク
【LV】19
【NEXT】4253
HP 893/1105
MP 0/0
STR 8(←NEW!)
VIT 9(←NEW!)
DEX 11
AGI 15(←NEW!!)
INT 13
【スキル】長弓[5] 速射[4] 光の矢[1]
身体活性[3] 気配隠蔽[7]
【ユニーク】魔素視 AI解析
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