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 突貫訓練は終了した。


 地上からの入り口の階段手前まで戻り、再度3層に向かい、さらに地上に戻った。

 問題はなかったと思う。明日の本番に備えよう。


 今は初めての出口処理に緊張している。

 普通に考えたらソロで異常な量の持ち込みをするんだ。怪しまれ、疑われるよね?

 冒険者ギルド名物、『ギルドマスターの部屋へどうぞ』案件だ。


 あれ?


 いいんじゃない?


 テンプレ達成できちゃってる? ちょっと違う? いや気分の問題だ。

 よし、むしろ堂々としていこう。はいこの程度の量に何か?ってね。



「無事帰還されましたね。おかえりなさい。こちらへどうぞ」



 朝、送り出してくれた人とは違う? かな? たぶん。



「取得した魔石を提出いただけますか?」


「はい」



 持ってる魔石を素直に全部出す。当然身分証もだ。

 トレイに乗せる。これ魔道具用のやつだな。バススさんとこでよく見る。

 出した瞬間、スタッフの間に薄い緊張が走ったようだ。



「ではご本人様はこちらの魔道具へ。全て換金でよろしいでしょうか? また特別課税は承知していらっしゃいますでしょうか」


「はい、大丈夫です」



 例の空港のやつで検査だ。

 もちろん異常なしだよ。こんなところで余分なトラブルは絶対に嫌だ。



「精算まで少しお待ちください」



 別のスタッフが奥に入っていったな。本当に案件になりそうだ。

 おっと、部屋へどうぞ案件じゃない。上司が奥から出てくる案件だ。



「お待たせしました。こちらへどうぞ」



 決めていた通り、オレは堂々と行動、素直に誘導され座る。

 綺麗な女性のスタッフがオレの正面に座り対応するようだ。

 上司っぽい男性は、その後ろに控えて観ている。



「お疲れさまでした。F級魔石34個、特別課税を引いて金貨7枚、銀貨1枚、小銀貨4枚となります。よろしいでしょうか」



 気が狂いそうなほど気になるワードが飛び出すもグッと我慢。

 急いでアイに相場金額などを確認した上で答える。



「問題ありません」



 そう答えた後、どうやら上司が動くようだぞ。



「突然失礼します。私はここの課長補佐をしておりますアディウートルと申します。

 リク様、失礼ですが身分証によると狩猟組合の方ですね? もしや『黒瞬』のリク様では?」


「・・・・ハハハ。そう呼ばれることもあるようです?」



 さぞかしオレの顔は引き攣っているだろう。



「このダンジョンは初めてでございますね?今日は単独での探索でしょうか?」


「はい」


「おお、やはり! 委細承知しました黒瞬様。

 ではあとはこの者に手続きは任せますので失礼いたします。今後とも魔石の収集にご協力くださいますようお願い申し上げます」



 この会話の後、再度女性スタッフにバトンタッチしたんだが、女性の目がヤバイ。

 獲物を目の前にした肉食動物だ。ギラギラとした視線でオレに穴が開きそうだ。



「では続けさせていただきます。金額は先ほど提示した通りです。詳しく明細をご確認されますか?」


「いえ不要です。信用してますので」



 そして早くアナタの元を去りたいです。



「まぁ。器が大きくていらっしゃるのですね」



 おい、頬を染めるんじゃない。お前個人を信用してるわけじゃない。



「組合の方ですと、このまま全額持ち歩くより預託金へプールの方が便利ですが、いかがいたしましょう?」


「それでお願いします。ただし金貨1枚と端数はここでください」


「承知しました」



 指示通りの金額の貨幣と身分証をオレに渡し、逆にオレからはサインをして終了だ。

 何枚かサインした内の1枚をオレがもらう。組合に提出する必要があるらしい。


 そしてすごーーーく、すごーーーーーく嫌だが、アイの指示を実行する。



「今日は初回ということで・・・これは少ないですが心付けです。これから何度もお世話になると思いますので」



 と言って金貨を渡す。

 この女、目がドルマークとハートになってるよ。



「こ、これを私に?」


「ここの()()()()()美味しい物でもたべてください。みなさんでね」


 

 オレはそそくさとまるで逃げ出すように、管理ゲートの建物を出た。








 アイさんよ~~、アレはなんだよ。


 心付けなんて役に立つのかよ? 絶対シスターに渡した方が世のためだろ。なに考えてんだよ。いいカモだって思われたよ。笑われてるよ今頃。ボクちんかなぴぃ~。



《そうでもないと思いますよ。説明しますか? 黒瞬様》


(いいよいいよ、アイがオレに悪くするわけないし。すげー長文でかえってきそうだし。

 あとそれには触れるな)



 それより!


 そ れ よ り も !


 出たね? 出ましたね?


 え? ここで?


 そう、ここで出ましたね。



 F級!!! 



 これは当然上もあるよね? Sまでいっちゃうよね? もし、なくてもオレがデカいの持っていけばいいんだろ?

 な、なに!? こ、これは・・・A級をはるかに超える魔石・・・S級だ!

 こんな感じでいこう。

 ちなみにこの『F』、本当にFだぜ? さすが神様案件だ。


 あーこの世界、だんだんクセがわかってきたわ。

 基本『テンプレじゃありません、残念でしたーー!』なんだけど、その後に『ここで出しちゃうよ!?ぷぎゃーー!』ってやってくるみたいだ。


 おちょくってるのか? いいぜ? もともと自分でテンプレ作っていくつもりなんだ。どんな形ででも出てくるなら歓迎するぜ。今日だってギルドマスター部屋への案件こなしたしな?

 え? ちょっと違うって? いいんだよ。



(アイ、F級の魔石、相場通りでよかったんだよな? んで特別税30%であってるよな?)


《はい。1~3層ウルフの魔石、銀貨3枚です。本日討伐数169匹。魔石ドロップ34個。ドロップ率20%プラス少々、おそらく2割ドロップですね。査定金額も、税引き後価格も正当です》


(今はそこまで金儲けにこだわってないけど、30%税って、結構アレじゃない?)


《そうですね。

 品質による仕分けは、今目の前で行われたように魔道具で簡易。経費の多くは、実際の魔道具に使用できるようにサイズ調整の作業、それと流通ぐらいでしょう。国から斡旋所への直卸しなら中間マージンもほぼ無し。

 3割徴収で単純試算してみましたが黒字でした。領軍によるものと併せて国庫を潤していると推定します》


(なるほどね。オレは金の卵を産むニワトリなわけだ。あの受け付けのお姉さんの金貨にたいする反応がちと怖かったしね。あと()()()()()って聞いた後もすごかったな)


《黒瞬です》


(貴様っ! 敢えてボカしてんだ、みなまで言うんじゃない!)


《マスターの二つ名を把握していたことは評価しますが、何ですかアレは。頬を染めておかしな目でマスターを見て。発情による魔素の変化を初めてまともに観測してしまいました。


 汚らわしいのでデータを破棄します。


 職務中にアプローチするような目線を送るなんて何を考えているのか。しかも自身よりはるかに美しい異性に対して。厚顔無恥とは人族の言葉ですが、まさにそれを体現していますね、あのメスは》




 おい、アイよ、どうしたんだ。お前は何を言ってるんだ。


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