表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/35

10

 ほんの短い間、意識を失っていたようだ。



(なんなんだよ、もう。ちゃんとやってくれよ。

 ステータスは『そういうもの』でいいから作ってよ。

 今度こそマジな。おふざけ無し。次やったらオコだぜ? ガチな)


《承知しました。要望があります。

 より良いステータス表示のために基準が必要です。

 ステータスオール1と定義される人物を提供してください。

 その者をレベル1とし、相対数値で表します》


(・・・無理だろ)


《そのような人物の策定が困難だとは理解しています。


 では代案です。


 リクの過去のうち魔素を始めて認識したと思われる時点を示してください。

 できればその時の印象に残っている風景と共に。

 これは魔素量などを記憶から探るためです。

 そこをレベル1とします。

 次に、現在の力の半分程度だった時点を示してください》



 オレは昔の事を振り返り、思い出してみる。


 初めて魔素を意識した日をはっきり覚えている。

 初めて大物を仕留めた日でもあるから。


 木が鬱蒼と生い茂って空を隠し、昼間でも薄暗い森の中。

 わずかに開いた隙間から差し込む陽の光。


 その光をまるでスポットライトのように浴びた獲物。

 静かに草を食んでいる。


 我ながらうまく自分の気配を消している。


 かなり後ろに離れている師匠からのプレッシャー。

 絶対に外すなよ? 言葉にしなくても痛いほど伝わってくる。


 極限まで高まる集中力と緊張。


 この時だったなキラキラが見えたのは。

 最初は陽の光がまぶしく見えているだけかと思ったよ。


 次に現在の力の半分?

 ふわっとしてて難しいな。いつぐらいだろう。


 今現在なら大物を一撃で屠れるだろう。その一撃の勢いが半分くらいの時代?

 だとするとあの時の出来事がいいか。


 思い出した2つの記憶をアイに告げる。

 おそらく瞬時にその記憶を解析したのだろう。すぐに返事が来た。



《その2つの記憶は私が事前に抽出していた候補とほぼ一致します。

 レベル1、中間、現在の3点を確定し観測、係数を割り出しました。

 単純比例増加ではないようです。便宜的に指数関数として算出した結果を表示します》





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【名前】リク

【LV】7


HP 32/105

MP 0/0


STR 5(仮)

VIT 5(仮)

DEX 10(仮)

AGI 10(仮)

INT 10(仮)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





(よーし、ツッコんでくぞ?

 HP減ってる、MPゼロ、ステータスが雑でかっこ仮)


《HPは魔素容量としました。

 現在、魔法は未確認です。ゆえに魔力が未定義のためゼロです。

 ステータスは再計算中です》


(まてまて、ちゃんと説明してくれよ?)



 アイの説明を要約するとこういうことらしい。


 魔素はオレの体中を巡っているが、多くは体の表面で滞留している。

 体表にある時は防御幕のような効果を持っている。

 防御幕が削られてHPが少なくなると、生身の体に攻撃の影響が出始める。

 これを瀕死の状態と規定する。

 防御幕であるHPがゼロになると、攻撃が直接肉体に届く。

 それはほぼ死亡に等しい。


 HPを魔素容量に近似することにしたそうだ。

 記憶スキャン作業のため現在3割前後になるよう消費されている。


 MPは魔素(M)ポイント(P)ではない。

 MPは未知である。


 STR以下のパラメーターは、先ほどの3点比較を参照した結果、再検討が必要となったので(仮)とする。今後の課題とする。

 スキルなども同様に再検討となり、一時的に表示からなくした。






《マスター、最後にもう一つ報告です。

 レベルが上がることは魔素容量が上がることと同義です。

 魔素容量を上げればレベルが上がります。

 現在、魔素容量を上げる手段が判明しておらず、他の生物の命を奪うことがその方法だと推測しておりました。マスターが過去に行った全ての狩りの記録を調べましたが、魔素容量増加との関連性は認められませんでした。

 現在計測できている増加は、加齢による体の成長によるものだけです》


(ふ~ん。モンスター倒さないとダメなんじゃね?)


《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・その考えには至りませんでした。

 モンスターの存在確認を優先度高に設定いたします》


(うん。・・・・うん?

 せっかくステータスを手に入れたのにレベル上げできないってことか)


《はい。ですが今は記憶のスキャンと魔素器官の訓練が最善だと断言します。

 加えて今日は師匠:個体名ノムの所へいきましょう》


(またなんか狙ってるな? 別にいいけど)








 魔素器官のアイドリング訓練、面倒だから充電と呼ぶか。その充電を行いながらゆっくりとノムさんの家を目指す。ぶっちゃけ走りながらはできないんだが。


 幸運にもノムさんは家に居てくれて、色々と話してくれた。

 特に気になったことがある。


 キールの街を拠点にして狩るなら、街の北部で猪が狙い目らしい。

 罠にほとんどかからず捕獲が困難、かと言って正面から闘うには命がけ。矢で射殺すには体力がありすぎる。獣にしては賢く、獰猛で暴れん坊だが肉は上質。手が付けられないが、その分貴重なためいい値段らしい。


 師匠曰く、



「お前に向いてるだろ。試験の時みたいにな?」



 いろいろバレてそうだな。知らんふりしておこう。



「ざっくりと解体を教えてくれませんか」


「まぁいいだろう。現物は無いがな」



 その後アイがうるさく要求してくるので仕方なく師匠にお願いする。



「腕相撲しましょう!」

「普段どんな鍛錬してますか?実際やってもらっても?」

「オレの弓の弦の調子みてもらえます?」

「最後に師匠の弓の技、目に焼き付けておきたいんです。外の的でいいんで」

「お礼に家の中掃除しますよ。あ、ちょっとコレ持ち上げてください」



 やたらと師匠に何かさせたがる。しつこい。

 あきらかにノムさんも怪しんでるじゃん。言い訳考えるのも大変なんだぞ。


 わかってるぞ。データ取ってるんだろ。






 良い結果だったのか、帰り道のアイは上機嫌だった。


《あの人間はこの村で一番魔素容量が多いようです。もちろんマスター以外で。

 すばらしいデータが取得できます》










 翌日以降も基本的に繰り返しだ。


 子供たちの面倒を見て家事と授業の手伝い。

 教会で読書、ノムさんや他の村人を訪問してデータ取り。

 森に出かけて充電修行。訓練はハードだが全く苦にならない。

 たまに獲物を持ち帰って施設の子供達の『肉だ!』の歓声を浴びる。

 余裕ができれば旅の準備、予定をたてる。


 こんな忙しくも穏やかで、愛すべき日々を何日も過ごす。もうここを出ていくんだと思うと、なお一層愛しさも増す。


 いつの間にか旅立ちの4日前になっていた。







《マスター、記憶スキャン作業が終わりました。身体強化を解禁します》


(おお、ついに。でも今は逆に『なし』の状態に慣れちゃったな。ちと心配だ)



 おそるおそる強化をやってみる。

 軽い!軽いぞ!身が軽いとはこういうことか。それになんだ? 体の底からあふれてくる。ちから?エネルギー?



(アイ!なんかすごいぞ!? 大丈夫かコレ)



《想定通りです。


 魔素の大きな消費がなくなったことで魔素が戻りつつあること。

 身体強化を使用していること。

 これまで続けてきた充電が自然に無理なくできていること。

 これら3つの相乗効果です。


 充電訓練は今後も続けていきますが、第二段階に入りましょう》



 心なしかアイも興奮しているようだ。

 フンスッ フンスッ って効果音が聞こえてきそう。



(なんだっけ。効率よい強化だっけ)


《その通りです。

 より少ない魔素で長時間の強化、つまり高効率化です。

 スタミナ訓練とでも呼称しましょうか。


 今のマスターの状況を鑑み提案します。

 強化したままキールの北部の森の探索の実施。新しい職場の偵察をしつつ、スタミナ訓練も行えるというものです》


(一日の内で、行って探索して帰ってくるってこと? 施設の手伝いだってあるんだよ?)


《一日で往復はしてもらいますが、探索は少しずつで結構です。

 最悪往復だけでも構いません。

 周辺情報は入手済、ルート検討済で時間は可能範囲です》


(・・・・・前に言ってたご褒美のこと忘れるなよ?)


《キールで十分に情報を収集できれば必ずご提供します》

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ