見知らぬ旅人からのプレゼント
サンフランシスコ空港でボーッと座っていた時。
向かいの椅子に座っていた女性が突然近づいてきて、1冊の本を私の手に載せてきた。
「私はもう読んじゃったから」と言いながら。
「くだらない事ばかり書いてあるけど、それなりに面白いよ。暇つぶしにどうぞ」という言葉にとりあえずお礼を言って読み始めた。
ホントはもの凄く疲れていて、英語の解読(私にとっては暗号のようなものなのよー)に取り組みたい気分じゃなかったんだけどね。まあ、連れもいないし、いかにもする事がなくて退屈しているように見えたんだろーなー。
冷蔵庫がいつも決まった時刻にCフラットでハミングするとかいうような、日常をちょっと角度を変えて表現する類のエッセイ。
英語だと虫の羽音やブーン……っていうような機械の動作音もハミングって表現するんだっけ。
でも日本人の私はハミングというとまず鼻歌の方を思い浮かべてギャグマンガっぽい顔のある冷蔵庫が体をゆすりながらハミングしているアニメを想像してニヤッとしたら、本をくれた方が「笑ったね」 と言ってにっこり微笑んだ。私の反応を観察していたらしい。
そして彼女はいつも読み終わった本をまわりの人にあげる事にしているという話をしてくれた。私の例でもわかるように知り合いに限らず、読み終わった瞬間手近にいる人に。
あなたが読み終わったらまた誰かにあげてね、とも言い添えられた。そういう風にしていろんな善意がぐるぐると人と人の間をまわっていくって考えると楽しくなるの、と。
こういう人を人生の達人っていうのかなー。少しふわっとした気分になった。




