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有栖(ありす)と店の若主
こちらは大学の一角 廊下を急ぎ足でかけてゆく 若い青年が一人
「ふう」
「もうすぐ 汽車が到着する 会えるのは何年ぶりだろうか」独り言を呟いていた
「おや、京矢くん 今日の授業はお休みかい?」年配の男性が話かけた
「ええ、先生」微笑しながら青年は言う
「店の仕事に戻るの?」
「いいえ、今日は数年ぶりに 幼馴染に会いに行きます
汽車で来るそうで これから迎えに」
そういえば、新しく雇う女中もあの汽車だったかな?
あちらは 店の者が迎えるはずだったっけ?
まあ、店に戻ってからだね
駅のホームに無事に辿り着いた青年
一等車から出て来た少女が声をかける
「ああ!京矢お兄さま!」嬉しそうに駆けて行く
「久しぶりだね 有栖ちゃん! とても綺麗になった」
弾む声 再会を喜ぶ二人




