表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/33

第14話:砂と炎の陰謀!水源をめぐる小麦の攻防戦!

 カンザシ町。小麦と風と太陽の町――その象徴であるはずの黄金色の麦畑は、今、生命を失いつつあった。農家たちは顔を曇らせ、井戸から汲める水の量も日に日に減少している。

 カードは町の広場にある井戸の前に立ち、バケツを降ろしてみた。

「……カラカラだ。底まで降ろしても、まるで水が存在していない」

 バケツの音が乾いた音を立てて井戸の底を打った。

「まるで、誰かが水を吸い上げているかのようだな」

 水源に対する不自然な干上がり具合に、カードは強い疑念を抱いていた。


 町の役所にて

 役所へ向かうと、職員たちは慌ただしく動いていた。麦の生産量低下により、町全体の経済が縮小し、物価が急騰しているらしい。

「町長はどこだ?」とカードが問うと、役人が困った顔で答えた。

「い、今はお会いできません……」

「なぜだ?」

「それが……数日前から町長は『気象研究室』にこもりっきりでして」

「……気象研究室?」

 怪しい。カードは静かに歩を進め、役所裏の丘にある小さな石造りの建物へ向かった。


 気象研究室と謎の魔導装置

 扉をノックしても返事はない。構わずドアを開けると、中には大小様々な水晶球や風向計、呪文の刻まれた書物が並んでいた。中央には巨大な装置が鎮座していた。回転する魔法陣、光を放つ水晶、そして――中に浮かぶ一つの黒い球体。

(……これは、風と熱を操る“魔導制御炉”だ)

 その黒い球体は、魔力の流れを受けながら熱を増幅し、周囲の空気を乾燥させていた。さらに管が地下に通じているのを見て、カードは確信する。

「……こいつが地下水を吸い上げ、町の気候を狂わせているのか」

 そこへ、黒いローブを着た男たちが現れる。

「見たな……よそ者。貴様にはここで消えてもらう」

「その声……」

 かつて照牛刺町で牛を狂わせた黒い一団の一人だった。カードの脳裏にあのときの戦いがよぎる。

「なるほど……あの町での失敗を、まだ引きずっているか」


 闘い、再び

「ならば、応じよう。私の筋肉が黙っていないのでな!」

 カードがシャツを脱ぎ捨てると、鍛え抜かれた肉体が露わになった。

 彼は両手を合わせ、空高く跳躍すると、空中で2回転しながら叫んだ。

「セルフ・ダイナミック・クラッシャー!」

 直撃を受けた男たちは床に転がる。

「この程度か?まだまだだな。私は元・大統領だ。格が違う」

 そう言い放つと、魔導制御炉の水晶を一撃で破壊する。

 パリィーンと音を立てて砕けた瞬間、町の空気が変わった。

 遠くから――風が吹いた。

 そして――雨が降った。


 黄金の恵み、再び

 数時間後、畑の小麦たちが徐々に青さを取り戻していくのを、農家たちは泣きながら見守った。

「すごい……!麦が、生き返ってる!」

「雨だ……雨が戻ってきた……!」

 町の人々は広場に集まり、カードの偉業を讃えた。

「ありがとう、ありがとうカード様!」

「あなたがいてくれて、本当に良かった!」

 カードは腕を組みながら、遠くに広がる麦畑を見つめていた。

「ふむ……これで、バンズの供給も確保できたな」

 彼の視線は既にその先――

「究極のハンバーガー」の完成へ向けられていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ