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超能力を覚醒させよ!  作者: うちよう
1章 コンティニュー
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03 魔法とスキル

03 魔法とスキル 更新しました。

魔法とスキル、そして《UNKNOWN 》についての説明回になります。

よろしくお願いいたします。

 そんなわけでやってきた本屋は、とてもじゃないけど入店する勇気が湧いてこなかった。

 というのも、店内は満員電車状態だったのである。中で某有名著者のサイン会でもやってるんじゃないかと思ってしまうレベルだ。

  

 「どうしよう、買えるのなら魔導書の一冊でも買おうと思ったんだけど……」


 そもそも魔導書が存在するか分からないけどね。現地調査も兼ねて見に来たけれど、これではお目当ての物を探そうにも一苦労しそうだ。


 「これは想定外すぎる。普通本屋ってこんなに混むかな……」

 

 仕方なく踵を返して本屋を立ち去ろうとすると、ふと街中で声をかけられた。


 「そこのあなた、もしかして魔法の書をお探しでしたか?」


 振り返ると、そこには黒のローブを羽織ったつり目の青年が立っていた。

 闇色の長髪に金色の双眸。そして何より均整の取れた顔立ち。まるで世の女性のイケメン像を絵に描いたような青年だ。


 「どうかされましたか? 私の顔に何かついていましたでしょうか?」

 「あ、すみません。綺麗な顔立ちをされているなと思いまして」

 「そうでしょうか? 世の一般男性では普通の方だと思いますが」


 顎に手を当て、不思議そうに首を傾げる青年。

 この人、知らない所で誰かから恨みを買ってそうだなと悟った私であった。


 「ところで、お探しは魔法の書でしたでしょうか?」

 「そうですね、実は魔法の勉強をしようと考えてまして」

 「随分と勉強熱心なのですね。差し支えなければスキルを教えていただいてもよろしいでしょうか?」

 「……ん? スキル?」


 今度は私が首を傾げた。

 

 「おや、スキルをご存知ではないですか?」

 「いや、スキル自体はご存知なんですけど、自分がどんなスキルを持っているか知らなくて」

 「まあ、スキルを知覚するのはきっかけがないと難しいですからね。私でよければお伝え可能ですが、いかがいたしますか?」

 「え! そんなことが可能なんですか!?」

 「ええ、私の仕事はスキルを知り、適した魔法の書を提供することですから」


 笑顔でそう答える青年。ただしここで忘れちゃいけないことが一つ。

 

 「あ、あの、ちなみにおいくらですか? これで足りますかね」


 そう言って握りしめていた硬貨を青年に差し出す。

 美味しい話には必ず裏がある。これはどの世界でもお約束の展開だろう。

 多分「これでは足りませんね」とか言われるオチに違いない。


 「では、硬貨一枚で取引成立としましょうか」


 青年は硬貨一枚を受け取ると満足そうに微笑む。

 あれ、思ってた展開と違うんだが……。


 「それではさっそく、スキル鑑定をしますのでどうぞこちらへ」


 言われるがまま案内されたのは、簡易的に作られた三角テントだった。

 テント内はもちろん狭く、真ん中に水晶玉が一つ。

 これは、本格的に雲行きが怪しくなってきたぞ。

 

 「では、改めて魔法とスキルの因果関係について説明させていただきます」


 水晶玉を挟んで対峙するように座った青年が魔法とスキルについて語り始めた。

 いわゆる魔法という概念は、人の根源であるスキルから派生した超能力のことであり、使用できる魔法というのはこの世に生を受けた時点で限度が定められているらしい。

 その中でも衛兵さんが口にしていた《UNKNOWN(アンノウン)》と呼ばれる存在。スキルから派生した魔装(マジック・アーマー)という魔法を身につけた彼らの戦闘能力は常人の百倍以上にも及ぶという。つまり、戦闘能力に見合ったかなりの数の魔法を有しているというわけだ。

 そんな個体の発生要因とされているのは、強烈なインスピレーションによるスキルの覚醒、もしくは生まれ持った才能。要するに後天性と先天性の両方の可能性があるとのことだが、その発生要因が正しいかどうかは誰も分からないらしい。


 「さて、説明はこのあたりにしておき、あなたのスキルを鑑定させていただくとしましょうか」


 そう言って、スキル鑑定を始めようとしたその時だった。


 パリィンッ


 突如、水晶玉が粉々に砕け散ったのである。

 恐る恐る青年の顔色を伺ってみると、そこには感極まったように嬉しそうな表情を浮かべる青年の姿があった。

 ずっと「あなた様が、あなた様が……」と繰り返し口にしている。どゆこと?


 なんだか怖くなってきたので、私は弁償代として硬貨を全て置いてテントを足早に去った。




本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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