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超能力を覚醒させよ!  作者: うちよう
1章 コンティニュー
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02 罪と報酬

第2話「罪と報酬」です。

よろしくお願いいたします。

 気が付けば、私は知らない場所にただ一人立っていた。

 辺り一帯、建物もなければ自然もない。荒れた大地の上に立っている状況だ。

 

 「これ、どういうこと? 私、研究室にいたはずじゃ……」


 とりあえず、自分が置かれている状況を把握するために移動を始めようとしたその時だった。


 「貴様! そこを動くな!」


 中年の男の怒声と同時に白の光沢を放ったリング状の何かが私の手足を拘束した。

 そのリング状の何かに物質の重量や感触は感じられない。まるで空気に拘束されているみたいだ。


 「国滅ぼしの魔王め! 貴様を我が国へ送還する! せいぜい自分が犯した罪を(あがな)うんだな」

 「……はい? 言ってる意味が一ミリも理解できないのですが」


 知らない土地に突然いると思ったら、国滅ぼしの魔王? 罪を贖え?

 何言ってるのかさっぱり分からないし、人一人の力で国なんて滅ぼせるわけがない。絶対私じゃない。


 「とぼけても無駄だ。貴様の特徴は本土中に知れ渡っているのだからな!」

 「特徴、ですか?」

 「そうだ、漆黒の長髪をした女で不思議な格好をしている……手配書通りの見た目で間違いないじゃないか!」

 「いや、普通の私服なんですけど」


 なんて雑な手配書なんだろうか。本気で犯人に罪を償わせたいのならもう少し情報を事細かく書くべきだろうに。

 そのせいで私が濡れ衣を着せられそうになっている。気分はまあ、普通に悪いよね。


 「あ、あの、本当にその手配書の人、私で間違いないですか?」


 穏便にことを済ませようと男に少し近づこうと動いたその時、目にも止まらぬ速さで私の足元に何かが突き刺さった。

 突き刺さった場所を見てみれば、地面が抉り取られたように凹んでいる。

 

 「動くなと言ったはずだ。次動けば容赦なく『空気弾(エア・バレット)』を貴様の頭蓋にぶち込んでやる」

 「『空気弾(エア・バレット)』……」

 

 目にも止まらぬ速さで足元に突き刺さった何かは見えなかったんじゃない。そもそも見えていなかったのだ。

 空気の弾丸——————私が感じたのは、空気の弾丸による風圧だったのである。

 何より驚きなのは、空気を圧縮して弾丸として押し出す男の偉業。

 この場において、法則を無視した弾丸として空気を押し出す術は一つしか考えられない。

 

 「魔法……!」


 ようやく、ようやく私は追い求め続けてきた魔法を見つけ出すことができたのだ。

 悲願の魔法……のはずなのに、今置かれている現況下のせいでちっとも喜べない。

 

 「これより、貴様を我が国へ送還する……! 『転移門(ワープ・ゲート)』!」


 男の呼応と共に私の足元に魔法陣が刻まれ、気がついた時には洋風っぽい城の城門前に転移していた。

 空気を圧縮して押し出すだけでなく、空間転移も使えるとは……。あの男、かなりの手練れに違いない。


 「なんだ貴様、ここへ何用だ?」

 

 城門前で警備していた一人の衛兵に声をかけられる。

 すると、衛兵の問いに後から現れた中年の男が自慢げに応えた。


 「《UNKNOWN(アンノウン)》 だよ。手配書にあったグリアス王国を滅ぼした魔王さ! さあ、賞金首を持ってきた報酬を……」

 

 そう男が言いかけたと同時、衛兵は手慣れた動きで男を取り押さえた。

 目の前で何が起こってるのかがまるで理解できない。


 「な、何をする! 俺は一国を滅ぼした魔王を捕獲した英雄だぞ!? なのに、なんだこの扱いは!」

 

 拘束を振り解こうと暴れる男に、衛兵は静かな声で、それでいてどこか怯えたような声で言葉を発した。


 「いいか、無知な貴様に二つ教えてやる。《UNKNOWN(アンノウン) 》は異常と言っていいほどの高い戦闘能力を有している。貴様如きが捕獲できるレベルの相手じゃない。そしてもう一つは、《UNKNOWN(アンノウン) 》は魔装(マジック・アーマー)と呼ばれる魔法で形作られた装備を身に纏う。つまり、奴等の全ては魔法でできているということだ。さて、お前の目にはまだ彼女が《UNKNOWN(アンノウン) 》に見えるか?」

 

 衛兵の問いに男は俯いたまま無言を貫く。

 なんだかよく分からないけど、私助かった?


 「貴様を暴行の罪でデムナーク様に断罪していただく。それまで牢にて反省しておくんだな」

 

 衛兵が告げ終えると、魔法陣に囲まれた中年の男はスッと姿を消した。

 これも『転移門(ワープ・ゲート)』なのだろうか? 魔法の取得難易度はそこまで高くないのかな。


 「すまなかった、怖い思いをさせてしまって。今拘束を解くから」


 そう言って、男は私の手足を拘束していたリング状の何かを解いてくれた。

 よく使われる拘束系の魔法なのかな? かなり手際が良かった。


 「ありがとうございました。危うく濡れ衣を着せられるところでした」

 「君も知ってるだろうけど、グリアス王国滅亡事件があっただろ? その主犯が黒色の長髪の女——————《UNKNOWN(アンノウン) 》だったんだ。だから、早めに髪を切るなり染めるなりした方がいい」


 そう言って男は周囲を警戒しながら私の手を取り、手の内にいくらかの硬貨を渡してきた。

 

 「これは俺からの謝罪金だ。この硬貨で上手くやり過ごしてくれ」

 「わ、分かりました……! すみません、ありがとうございます」

 

 そう言い残して、私は足早にその場を去った。

 まさか、無償で硬貨を手に入れられるなんて運が良いにも程がある。

 とりあえず私は、本が売ってそうな店へと足を向けた。


ちょっとずつ書き伸ばせるようになってきました。

もっと面白い作品を書けるように頑張ります。

今後とも、よろしくお願いいたします。

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