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第4話 仲直り?

 お父様に話した数日後、ローシュ殿下に話しかけられた。


「エカテリーナ、この前は悪かったね」


「いえ、殿下もお忙しいですものね」

 私はにこやかに返す。


 内心でどう思っていても、笑顔を絶やしてはいけないわ。容易く懐を見せるものではないもの。


「それでお詫びなんだけれど、今日の放課後一緒に出掛けないか? 美味しいスイーツの店があって」


「まぁ嬉しいですわ」

 久しぶりのデートの誘いだ。


 単純ではあるが、こうした誘いはやはり嬉しい。


 お父様に相談してよかったわ。


 だが、ハッとする。本当にデート?


「行くのは私と殿下の二人ですか?」


「勿論二人でだよ」

 ほっとした。これで他の者も一緒だなんて言われたら、急遽用事を入れなくてはなりませんから。


「では放課後楽しみにしています」

 私は心から笑う。


 このデートがまさか重要な転機になるなんて思っていなかったが。






「久しぶりに来ましたわ」

 街に来るのは久しぶりだった。そして学園の制服で出歩くことも初めてだ。


「そうだっけ?」

 ローシュ殿下は首を傾げている。


(あなたは友人たちと来るのでしょうけど、私は初めてなのよ)

 色々と忙しく、こうして放課後に遊びになんて来れなかった。


 王族として成績優秀者として学園の規律を守る生徒会の仕事に率先して参加するのは当然であった、故に放課後は学園の事を知るために時間を使われる。


 また卒業後は第二王子の王子妃になるために王城に行くようになるのだ。その為に知識を蓄える必要がある。


(ローシュ殿下の分も私が請け負っているんですもの、時間はいくらあっても足りないわ)

 でも幼い頃からこうして友人と遊ぶこともままならないローシュ殿下に少しの自由を、と思うと出来るだけ彼の時間を作ってあげたいと思う気持ちもある。


 だからお父様に言いつける時は少し罪悪感を感じていたのだけれど……


「あそこはケーキが美味しいし、タルトだとあそこもお勧めだよ。エカテリーナ何がいい?」

 前言撤回だ。


(何よ、人に仕事を押し付けておいてこんなにも遊び歩いていたの?! 腹立たしいわね)

 そんな時間があれば仕事を覚えて欲しいし、私にプレゼントを見繕っても良くない?!


 ローシュ殿下にぶつけられない怒りはリヴィオを睨みつけることで発散したわ。


 空気の読めない主に代わってリヴィオが青い顔をして頭を何度も下げている。


 ポエットも同じく頭を下げているので、少し落ち着いた。


「そうですね、今日はタルトが食べたい気分です」


「じゃああそこにしよう。チーズタルトが美味しいよ」

 私チーズが嫌いなのですが?


 とことん私に興味がないさまが浮き彫りになってきて、悲しいやら呆れるやら。


 というか大丈夫? 婚約者の好き嫌いも覚えていないしこんな空気の読めない男をこのまま支えていける?


 共倒れだけは嫌だなと進路についてまで考え始めてしまったわ。

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― 新着の感想 ―
[一言] リヴィオ…頑張れ!(笑)
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