~ユウトを呼ぶ謎の声~
~ユウトを呼ぶ謎の声~
僕たちは辺りが暗くなりいつもより早く夕飯を済ませて異変に備えた。
住人たちは異変を恐れて陽が落ち暗くなると家にこもってしまい、町から人気が一切なくなった。
「人の気配がなくなったみたい・・」
僕たちはテントの中で風の音しかしない周囲の気配に神経を集中させていた。
「異変って、どんな感じに始まるのかしらね、エレーナ、そのあたり何も聞いてないの?」
「ごめんなさいタミー、私もいろいろ聞いてはみたのですが、情報らしい情報が一切ないのです」
申し訳なさそうにエレーナは話すけど、エレーナが悪いわけじゃないから、詫びる必要などないことはみんな解ってる。
「い、いえ、別にエレーナを責めてるんじゃないのよ、ただ、何か判ってることはないのかしらって思っただけよなのよ」
「そうだよね、何かわかってれば、こっちから仕掛けてもいけるんだけどなぁ」
確かにアルの言うとおり、何かわかれば、その部分を突いてこっちから仕掛けるってのも十分アリな話だ、でも、今回はそれもできない・・・
それからかなりの刻が過ぎた。
おそらく、もう深夜といっていい時間帯になってるだろうと思ったとときだった。
「?」
「何ユウト?」
気のせいかもしれないけど、ほんの微かだけど声が聞こえたような気がした。
「声が聞こえたような・・・」
僕がそう言うとアルは隣にいたタミーに抱きついてしまった。
「いやぁ~! アルお化け嫌いッ!!」
「アル! おッ!驚かさないでよ!!」
平静を装っててもタミーも内心かなりビビってるっぽい。
「ユウト、声が聞こえたのは確かですか?」
エレーナが聞いてきた。
「う~ん、確かかと聞かれると自信がないけど・・・」
しかし、そんな不確かさを確かに変えることが直後に起こった。
「ンッ!!」
「どうしましたユウト?」
「また、聞こえた! 今度はさっきよりハッキリ聞こえた! エレーナにも聞こえたでしょ?」
「私には何も聞こえてきてませんが・・」
僕にはかなりハッキリ聞こえたその「声」しかし、エレーナには聞こえてないようだった。
「そんなはずは、あれだけはっきりした声だったのに・・・」
エレーナはタミーとアルにも確認した。
「タミー、アル、あなたたちは聞こえましたか?」
二人でくっ付いたままのタミーとアルは声も出せず、ただ首を横に振るだけしかできない感じ。
エレーナとふたりで、どういうことか不思議に思っているとまたも声が聞こえてきた、しかもその声はハッキリ言葉になっている。
「ユ・ウ・ト・・・」
僕はその声を聞いた瞬間、テントの外に飛び出して、剣を振りかざし周囲を見渡した。
バサッ(勢いよくテントを開く音)
「誰だっ! 僕の名前を呼んだのはッ!?」
今話はちょっと短めで、わざわざ来ていただいた方には
申し訳ないのですが、よろしくお願いします・・・




