~見まわり~
~見まわり~
いろいろあったけど、僕たちは近くの空き地にテントを張って今夜は交代で周囲の見張りをすることにした。
でも、まぁ予想通りアルは僕の横に張り付いて離れようとしないので、見張りの組み合わせも僕とアル、エレーナとタミーとなって、まず僕とアルが見まわることにし、その間、エレーナ、タミーには仮眠を取ってもらう。
この組み合わせにやや不満ぽかったのがタミーで、
「私もユウトと一緒に廻りたかったわ・・」
そう言って僕とアルのほうを見る、するとそんなタミーの視線にアルが気づいて、
「ダメだよ、ユウトと一緒に廻るのはアルなんだから、タミーには代われないよ!」
陽が沈み、辺りが暗くなってくると、得体のしれない緊張感が襲ってきた。
「エレーナ、相手の正体がはっきりしないって、けっこう怖いね」
僕は自分自身の緊張感を抑えるためにエレーナに声を掛けてみたりした、するとエレーナは、いつもとほとんど変らない様子で、
「そうですね、でもその緊張感が油断を払いのけてくれるので、緊張は良いことです」
こんな時のエレーナはまるで怖いとかの感情が無いアンドロイドのようにも見えてきて、そっちのほうが実はゾッとしたりする。
暗くなってきたので、まず僕とアルで周辺の警戒のためにテントを出て、見回りに出発した。
「この辺りは陽が沈むとけっこう寒くなるんだね、アルは寒くない?」
予想以上に気温が下がって僕には少々肌寒い、アルも寒いだろうと思ってアルの様子を聞いてみたんだけど、アルがキャットピープルってことを忘れてた。
人間界の猫は寒さが苦手だけど、こっちのキャットピープルは寒さなんて全然平気みたい、実はキャットピープルは皮下脂肪の層がけっこう厚くてかなりの低温でも活動できるらしい、でも逆に暑さには弱いという弱点もある、なので・・・
「ユウト、アルはキャットピープルだよ~、寒さなんてへっちゃらだよ~、ユウト寒ければアルが抱いて温めてあげようか? アハハ^^」
ここでアルに温めてもらったりしたら、ぜったい将来結婚とか言いそうだし、寒いけどガマン、ガマン!
「い、いやぁそれはいいよ、このくらいなら我慢でしるから、ハハハ」
僕は夜でも視野が効くようにエレーナから授かった術を使って辺りを見まわしながら進む、アルも横に並んで進んですけど、アルの目は元々暗視能力があるので、昼間と変らず、堂々と進んでる感じで、なんだか頼もしく見える^^。
だいたい一時間くらいだろうか、アルと周囲を警戒しながら廻ったけど、特に異常は無くテントに戻った。
テントではエレーナとタミーが僕たちが戻るのを待っていてくれた。
「おかえりなさい、おかしなことは無かったですか?」
「うん、特に異変や妙な感じは無かったよ、アルもなにも感じてないようだしね」
「ウン、アルもまったく異常無しだったよ」
少しして今度はエレーナとタミーが警戒の見周りに出て行き、一時間くらいで戻ってきた。
そんな見回りを数回繰り返し、夜が明けはじめ、徐々に明るくなってきて初日の警戒活動は異常無く終えることができた。
「いやぁ、朝になってホッとしたよ、なにも無くて良かった」
「そうね、私もちょっとホッとしてるわ、何もなかったのを記念にユウト、キスしな~い?」
朝からタミーが一気にフルスロットルで妙な感じに攻めてきた。
「なっ、なんだよタミー! 記念にキスって、意味わかんないよ!」
「冗談ヨ、でもまぁユウトが本気にしてくれたら、それはそれで私は嬉しいけどネ、ウフッ」
またタミーお得意の「ウフ」で締められた、このタミーのウフを聞くたびに女子のしたたかさを実感する。
一夜明けて、ロルヴァも他の住人も緊張が解けてホッとした顔をし、互いに笑顔で話をしてる。
僕たちがテントから出て、近くの井戸で顔を洗っているとロルヴァは寄ってきてエレーナに声をかけた。
「エレーナさん、昨夜はありがとう、お陰で何もなく済んだ。できれば今夜も警備をしてもらいたいのだが、頼めるかね?」
ロルヴァや他の住人達としては、異変の原因を取り除いてほしいというのがホンネだろう、それは理解できる、僕たちもそのつもりでいる。
「ロルヴァさん、皆さんが望むのであれば、私たちはしばらくここにいて、異変を無くすつもりです」
タミーもエレーナに続けて、
「そうよロルヴァ、私達があなたたちを見捨てて去るわけないわ、私たちを見縊らないでほしいわね」
「い、いやぁ、そんなつもりは無いんだが、ちょっと心配になったもので、すまなかった」
タミーの勢いにロルヴァも押されたようで、大の男がビビってるのがはっきり見て取れた。
そんなわけで、僕たちは異変の原因をつきとめるまで、しばらくここに留まることになった。
そうなると昼間は周辺の警戒活動兼娯楽ということで、僕は近くを流れる小川で釣りをし、タミーとアルは少し離れた林へ行きタミーはエルフらしく休息を取って、アルはリスのような動物とジャレたりして過ごしていた。
そんななか、エレーナはというとこの町の支宮へ行き、邪魂やこの町の異変について新たな情報などの確認をしてくれていた・・
サブタイトルをつけるのが、めちゃ難しいです。
みなさん、どうつけてるのでしょう?
なんかコツがあれば知りたいです・・・
今話も、よろしくお願いします!!