~リアル女神=エレーナ?~
~リアル女神=エレーナ?~
「僕が他者と違う? 何が違うのかな? 僕は平凡な高校生だったんだけど・・・」
エレーナの言う他者と僕が違うって、僕自身まったく自覚無し! 高校でも目立たず周りに埋もれてしまうようなモブ男子だったし、誇れる特技も無い・・・
「エレーナ、悪いんだけど、僕が他者と違うっていうのはエレーナの思い過ごしだよ、僕はごくごく平凡な普通の男子ですよ、へへへ」
「でも、さっきアルが迫ったときも、ユウトは欲望をしっかり抑えられてました、普通の人種の男性では、あそこまで迫られては拒むなどできないハズです」
あら~、ちょっとエレーナさん、それって僕が健全な男子ではないと言ってるようにも聞こえて、ちょっと傷つくんですけどねぇ・・・
「ま、まぁね、グッと堪えたかなぁ~へへへ」
エレーナはそう答えた僕を見つめて笑みを浮かべながら、
「ウフ、私はそんなユウトがスキですよ」
そう言い終わると同時にタミーのいるシャワールームのほうへ向かった。
僕にはその瞬間時間が止まったように思えた・・
「えっ? ス、スキッ!? そ、それってどっちの意味のスキ?・・・」
エレーナが何気なく放った言葉の爆弾は僕の直上で炸裂!
僕の脳内はエレーナの顔と「スキ」という言葉でできた渦巻に席巻されまくっていた。
恥ずかしながら僕は人間界にいた時から今まで、女子からまともに「スキ」などという言葉を言われたことがない!
そんな「スキ」ワード未経験者が突然エレーナのような超絶美少女から「スキ」なんて言われたんだから、そりゃもう大変よ、盆と正月とクリスマスが一緒に来たレベルの騒ぎっしょッ!!
少しすると僕の脳内嵐は落ち着きを見せはじめ、それと同タイミングでエレーナとタミーがシャワールームのほうから戻ってきた。
「お待たせユウト、タミーのほうはもう大丈夫みたいよ」
「ユウト、私あなたに何したのかしら? ぜんぜん記憶がないのよ」
エレーナに連れられてシャワールームのほうから出てきたタミーは頬をさすりながら、自分が何かやらかしたんじゃないかと心配してる様子、だから僕はタミーを安心させられるように気を利かせて答えた。
「いや、ぜんぜん問題ないよ、お酒飲んで気持ちよくなってニコニコしてたじゃない^^」
「そう、だったら良かったわ、私全然覚えてないから不安になっちゃって・・・」
タミーは僕の言葉で安心したようで、いつものニコやかな優しい顔に戻ってくれた。
そんな感じにタミーのフォローをしていると、ベッドで寝てた? アルのほうも意識が戻ってきたようで、呑気に寝言を言い始めている。
「ユウトォ~お腹すいた~・・ムニャムニャ」(アルの寝言)
さっきまで妙なお色気で迫ってきてたアルが、今は可愛い寝言を言ってる、笑っちゃうくらいのギャップだよ^^
「寝言もお腹すいたって、アルは食いしん坊さんだな・・ハハハ」
エレーナの神術で正気に戻ったタミーもまだややボ~ッとしてるし、アルのほうもベッドで寝てるので、僕とエレーナは警戒がてら宿の周囲の様子を見るため部屋を出た。
「エレーナ、タミーとアルを部屋に残して出てきて大丈夫かな?」
妙なことがあった直後だし、僕は部屋の二人のことが気になってしかたない。
「ユウトがふたりのことを心配するのも当然です、実は私も心配なので、私の神術であの部屋全体を保護してあります」
「そうなんだ、さすがエレーナ、僕の心配もすべてお見通しってことかぁ、勝てる気がしないな・・」
「私はユウトと争うつもりはありませんよ、ユウトが旦那様で私が妻という関係になりたいといつも思っています」
エレーナはけっこうデリケートで意味深な言葉を、驚くほどあっさりと放つことが度々あって、そのたびに僕がドギマギさせられるんだよねぁ・・
「あのぉ・・それって夫婦になりたいってことかな、それとさっきのスキって言葉の意味も教えてほしいんだけど・・・」
僕がそう聞くとエレーナは微笑みを浮かべながら、
「ユウトのご想像にお任せします、妄想が好きなユウトらしい想像をしてもらえれば私はどのようにとって頂いてもけっこうですよ、ウフ」
またもウフッか・・・しかも僕が妄想好きって、それは誤解なんだけどなぁ・・
でも、僕の好き勝手な解釈でいいってエレーナ自身が言ってるんだから、やっぱそういうことだよね・・
とすると、このままいけばいずれ僕とエレーナは教会で永遠の愛を誓いあう間柄になるってことだよねッ!
「やったッ!!」
僕は無意識に両腕でガッツポーズを決め、やったと言葉にしてしまっていた。
「なにがやったなのですか?」
僕のヘンなゼスチャーと言葉に首をかしげながらエレーナが聞いてきた。
「あっ、これ? これは・・え~と、何でもない! ただの独り言だよ、へへへ」
「また妄想していたようですね、フフフ」
僕の必死のごまかしもエレーナには1ミリも通用しなかった・・・沈⤵
僕とエレーナは宿の通路から周囲を一通り見回って、部屋に戻った。
部屋に戻るとアルも目を覚ましていて、タミーと笑顔でしゃべっていた。
「アル、起きてたんだね」
「あ、ユウト、エレーナ、どこ行ってたの?」
「宿の周りを見まわってたんだよ」
「この町には、なにやら妖気のようなものを感じるのです、ふたりも注意して下さい」
エレーナは二人がさっきの店で妖術に掛かっていたということは言わないつもりらしい。
いつもながらエレーナの巫神らしい細かい気配りに関心させられる。
僕も気配りのできる男にならねばッ!。
タミーとアルがいつもの二人に戻ったのは、もう夜半を過ぎていた・・・




