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 ~ツーソンの夜(夕食&宿捜し)~

 ~ツーソンの町(夕食&宿捜し)~ 


 僕たちはクレープやタルトを食べ終わり、店を出て今夜の宿を探すことになった。

「この町はけっこう活気がありそうだわ、町の中心に行けば宿もたくさんありそうね、町の中心へ行ってみましょうよ」

「アルはフッカフカのお布団で寝られる宿がイイッ!」

「私は見た目がおしゃれな宿がいいわ」

 タミーとアルはいつも通り自由奔放に好き放題言ってる、そんななか、エレーナだけは真剣というか真面目に宿捜しをしてくれている、やっぱり頼りにできるのはエレーナだけかも。


 ツーソンの町を適当に進んでいくと町の中心へきたようで周りより高い建物が増えてきた。

「あそこの宿あたりはどうでしょう?」

 エレーナが少し先のひと際背の高いビルを指さし言った。

 それは周りの建物とは明らかに異質に見える外観を呈しているビルで、言葉を変えると「モダン」とか「近代的」という言葉がピッタリだった。

「あれ、ホントに宿なのかしら? 妙な見た目だけど・・・」

「アルはあそこカッコいいと思うよ、お布団フッカフカかな? へへへ」

 その宿の印象は、二人には総じて好感触らしい。

「エレーナ、なんであそこがイイの?」

 エレーナがあんな大きな宿を選ぶということが僕にはしっくり来てない、だから理由を聞いてみた。

「あそこなら周囲を見渡せそうです、周囲でなにか異変があってもすぐに判ります」

さすがエレーナ、宿の選定にも抜かりは無いッ!

「なるほどぉ、さすがエレーナね、周囲への警戒もできる上に高級感もしっかり抑えてるわね、私もあそこ気に入ったわ」

 タミーも気に入ったようだし、アルもタミー同様好印象のようで、満場一致で今夜はエレーナの推した宿に泊まることとなった。


 その宿の部屋のつくりなどは、まるで人間界でいうビジネスホテルだった、基本的にはシングルルームで、希望すれば2人部屋や数人で泊まれる部屋もありといった具合。

 僕たちは一応女子3人と僕ひとりの二部屋をできるだけ高層階でオーダーして泊まった。


 荷物などを部屋に下ろして、一休みし、夕食を町へ食べに出た。

「皆さん、今夜は何を頂きましょうか?」

 やっぱりエレーナはしっかりした巫神だ、まずみんなの希望を聞いてくれてる!

「アルはお肉がイイッ!」

「アルってばいつもお肉じゃない、たまにはお魚とかいえないのかしら?」

「アルは魚も好きだけど、やっぱりお肉が大好きなのッ!」

 またアルとタミーの小競り合いだ・・。

「まぁまぁ、タミーのほうは何がいいの?」

「私は、野菜や木の実もあるほうがいいわ、そのうえでお肉も頂きたいわね」

 やっぱりエルフのタミーは野菜と肉のバランスを重視してるようだ。

 そして、最後はエレーナだけど、彼女は他に合わせるタイプだから自分の好みなど言わないと思おうけど、一応聞いてみた。

「エレーナは何が食べたいの?」

「そうですねぇ、私は特にこれと言ったものはありませんから、タミーとアルの食べたいものに合わせます」

 やっぱりだ、たまには自己主張してくれてもいいんだけど、それがエレーナという巫神の奥ゆかしさ、僕はそんなエレーナに惹かれるなぁ・・・。

「また、ユウトがニヤニヤしてる~、ユウトここ数日変じゃない? 大丈夫?」

 またもアルに真顔で心配されてしまった!不覚・・・。

「ユウトは妄想するのが好きなようです、ですから時々妄想の世界とこの世界が混ざってしまうようです」

 それを見ていたエレーナが気をきたせたつもり・・だった一言が微妙で、タミーとアルにまたウケてしまったようだ。

「ユウトは妄想が好きなんだね、それでよくニヤニヤしちゃてるのかぁ、可愛いネ、へへへ」

「ユウトの妄想はエッチなモノばかりでしょう、だからニヤニヤしてばかりいるんだわ、スケベさんね、ウフッ」

 エレーナのピントのずれたコメントが火に油を注いだようで、ふたりが僕をみる目が微妙なものに変化していくのが手に取るように判った・・。

「エレーナ・・どうせなら、もうちょっとイイ感じなコメントを頼むよ・・・」

「ユウト、何か言いましたか?」

「エッ? いや、何も、ハハハ・・」

 たたの夕食の好みだけでいろいろいじられて、僕はもう夕食どころではない気分だよ・・。

 といっても、タミーやアルはすでに入る店のめぼしを付けているようで、二人で楽し気に話をしながらズンズン居酒屋やレストランが軒を並べる方向へ進んでいてる。

「ユウト、二人に遅れてしまいます、行きますよ」

 僕たちはタミー達の選んだ暖色系の間接照明とスポット照明がおしゃれな店に入った。

「いいじゃな~い、アルここ気に入ったよぉ~♡」

 アルは店の雰囲気が気に入った様子。

「エレーナもここでいい?」

 僕は自己主張をすることが少ないエレーナのことが心配になったのでエレーナにも聞いてみた。

「私はタミー、アル、そしてユウトが良ければイイですよ」

「エレーナはいつもみんなに合わせてくれるけど、たまには自分の意見言ってほしいよ」

「そうですか、ではいずれ考えさせていただきますね」

 僕はエレーナが遠慮ばかりしているのを気にしてるんだけど、そんなこと全然気にしてないタミーとアルは、とっくに店内の奥の落ち着いたスペースに席をとって座っていた。

「もう座ってるし・・」

 僕とエレーナも二人の隣に腰を下ろしてメニューから好みの品をオーダー。

 このツーソンという町は未成年でも酒を飲むことが認められてるらしい、そのことにアルが気づいて、

「ユウト、この町は子供もお酒OKみたいだよ、ユウトもお酒頼んだら?」

「子供って! 僕はもう子供じゃないよ、18歳で十分・お・と・な・ですッ!」

 アルにからかわれ気味に言われて、少々ムッとしてしまった僕だけど、ホンネを言うとアルコールはあまり好きじゃない、特にビールはダメ! あの苦さが美味しいなんて信じられないッ!

 でも今夜はアルの手前、お酒を注文しない訳にはいかなくなってしまってので一応飲めそうなヤツを選んでオーダー。

 みんなに飲み物が来て、エレーナの言葉で飲み食いを始めた。

「今日は特に大変な一日でしたけど、なんとか切り抜けることができ、良かったです。これからもどんな邪神と遭遇するかわかりません、皆さん頑張りましょう」

「は~い」「ハイ」

「では、カンパ~イ」

チンッチンッ!(乾杯のグラスの音)

今日は時間がとれたので、この時間(お昼前)に更新できました 。

昨日更新してなかったから、早く更新しなきゃって思ったのもあったので、

これで一安心?^^

いつも読んで下さってる皆さん、今話と次話もよろしくお願いします!!


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