~異世界でも女子は甘いものがお好き?~
~異世界でも女子は甘いものがお好き?~
カリーナ達巫神はエレーナと少し話をし、次の仕事があるからと、神術を使い天空の先へ消えていった。
その時のエレーナとカリーナの満面の笑顔ったら、瞬殺級の破壊力! この笑顔を見たら、どんな争いごとも瞬時に消え去ること間違いない!
「さぁ、私たちもツーソンへ急ぎましょう」
「そういえば僕たちはツーソンへ行く途中だったんだっけ」
「そうよ、ユウトあなた、もしかしてすっかり忘れてのかしら?」
タミーに変なツッコミをされ、しかもそれが図星だったので僕は少々焦った。
「い、いやぁアルのことがあったから、つい本来の目的をさぁ・・・へへへ」
「ユウト、ズルいッ! 忘れたのをアルのせいにしてるぅ~」
「忘れるくらい大変だったのだから仕方ないです、ツーソンまではもう少しです、頑張りましょう」
最後はエレーナに助け船を出してもらった感じになった。
「やっぱり、エレーナはさすがだね、どんなことがあっても目的を忘れてない!」
そう言って僕はエレーナに礼を言ったつもりだったんだけど、実はエレーナも覚えていたんじゃなかったようで。
「私もついさっきまで、ツーソンのことはすっかり忘れてました」
「えぇ~ッ、エレーナもなのぉ?」
「エレーナが忘れるくらいなら、ユウトが忘れても仕方ないわね、フフフ」
「ハハハハハ」
まぁいろいろあったけど、無事4人揃って再びツーソンへの道を進み始めることができた。
カリーナ達巫神やゴブリン達と別れてから数時間、陽が傾き、確実に夜の帳が降り始めようとしたころ、僕たちはやっとツーソンの町にたどり着いた。
「やっとツーソンに着いたわ、今回の移動はホント長かったわね」
「まぁ途中であんなこともあったし、この移動は大変だったよね」
僕とタミーがツーソンに着いたことを喜んでるのに、アルはそこに乗ってこない、普段のアルからは想像できない様子・・不思議だ。
「どうしたの、アル? ツーソンに着いたのが嬉しくないの?」
すると、アルはニヤニヤしながら、
「ツーソンに着いたね、ユウト、なにか忘れてるよ」
「?」
そこでタミーも、
「あっ! そうだわ、すっかり忘れてたわ!」
「エッ? 何?」
僕はまったく判らず、頭の中が「?」マークでパンパンになった。
「ケーキだよ、ケーキ! 町に着いたら奢ってくれるってユウトが約束したケーキだよ!」
「そうよ、私はフルーツ増し増しタルトよ、ウフッ」
「アルはクレープケーキ!」
そうだった! 邪魂の攻撃やアルのことですっかり忘れてたぁ~。
「そ、そうだったネ、ふたりにケーキを奢ってあげるって約束してたよね・・・」
しかし、なんでこうも女子という生き物は甘いもののことは忘れないのか・・ムムムム・・・
「ユウト、諦めてふたりにケーキ奢ってあげるしかないわね、ついでに私にもイイかしら?」
「えぇ~ッ!? エレーナもなのッ? まったくぅ、もうイイッ! みんなでケーキ食べよッ!!」
アルとタミーに加えてまさかのエレーナまでもケーキ食べたいだなんて、巫神なのに時々エレーナってみょうに普通の女子っぽいことを言うんだよね・・。
まぁエレーナのそんなところも人間味というか可愛く見えるんだよなぁ・・へへへ。
僕がそんなことを妄想してると、それがエレーナとタミーにバレてしまったようで、
まずタミーが、
「ユウトぉ、なにニヤニヤしてるの? もしかしてエッチなこと想像してるのかしらぁ?」
「何言ってるのタミー! 僕はエッチなことなんて考えてないよ!も~、変なこと言わないでよ!」
続いてエレーナも。
「あらユウトも男の子ですね、エッチなことを想像するくらい、まったく恥ずかしいことではありませんよ」
「いっ、いやぁ、だからそんなこと思ってないよ、誤解しないでよ」
「じゃあ何考えてたのかしら、白状しちゃいないよユ・ウ・ト君」
そうこうしてるとアルまで混ざってきて。
「ユウトのエッチぃ!」
「アルまで、やめてくれよぉ~もう」
僕は適当になにを考えてたか言って誤魔化してその場を収拾し、ケーキ屋へ向かうよう3人を誘導した。
「はい、はい、もういいでしょ、ケーキ屋さんに行こう」
エッチだとかいろいろ言われて辟易したけど、なんとか話を逸らして町のケーキ屋さんへ移動した。
「うわぁ~どれも美味しそ~♡」
「私全部食べてみたいわッ!」
店に入るなりショーケースに並ぶケーキを見て4人とも、その美しさと美味しそうな見た目に目が釘付けになった、もちろん僕も久々に見るケーキにテンションが上がってしまっていた。
「いらっしゃい! どれもすぐ召し上がってもらえますよ」
と店主らしき店の人が奥のテーブルを指さして言った。
「どれもみな美味しそうだし、キレイですね、食べるのが勿体ないようです」
エレーナはお上品というかいつもと変わらない品のあるコメント、しかし、その反対にアルはというと。
「ねぇユウト、ふたつ選んじゃダメかなぁ?」
まったく遠慮というものを知らないようだ・・。
「私もひとつに決めるのはちょっとムリだわ、ふたつお願いしたいわね」
「タミーまでッ!? ・・イイヨッ! ふたつ食べなッ!」
「やった~ッ!!」
アル・タミーはガッツポーズ&ハイタッチして喜んでる、しかし、ぼくの懐は悲しみの木枯らし状態だよ・・トホホ・・・。
女子3人はしばらく掛かりやっとケーキを選んで店奥のテーブル席へ移動、僕はカウンターで料金を支払い、その高い出費にテンションダダ下がりでテーブル席へ・・
「ユウト、何しょげてるの? これから美味しいケーキ食べるんだよ、もっと明るくしなきゃ!」
「そうよ、もっとテンション上げていきましょうよッ!」
「アルもタミーも僕のコインで食べられるもんだから、妙にハイテンションだね」
「それはそうよ、自腹じゃふたつも頼めないわ、でもユウトの奢りだからふたつも楽しめるなんてこの上ないハッピーな気分だわ、フフフ」
僕とタミー/アルがグタグタしてるうちにエレーナは目の前に置かれたケーキを食べ始めた。
「お先にいただきますね」
「へッ?」
エレーナが美味しそうにケーキを口に運ぶのを見てアル・タミーも我に返ったかのようにケーキを食べ始めた。
「ウゥ~ン、この口に拡がる程よくバターの効いたクリームのコクと甘さ! たまらないわッ!」
「このクレープケーキもチーズクリームとクレープ生地のマッチングが絶妙だよ」
「なんだ、そのコメントはッ! めちゃマジコメントじゃないかッ!?」
いやぁさすが女子! タミーとアルのプロ並みのコメントには正直驚いた、僕はてっきり「美味しいね」とか平凡なことしか期待してなかったもんで、イイ意味で驚かされていた。
「狩りで捕まえた獲物や、釣った魚も美味しいけど、やっぱり甘いものは美味しいね」
僕は男だけどやっぱりケーキのように甘いものは美味しい。
「あら、ユウトったら女子みたいなこと言うじゃないの、意外と女子っぽいのかしら?」
またタミーに変になツッコミをされてしまった、不覚・・・
「い、いやぁ、そうじゃなくて、男だって美味しいものは美味しいってことだよ、ただそれだけ!」
「そうなのぉ? でもケーキ食べてるユウトの顔、まるで女子みたいに可愛かったわよ、私抱きしめたくなっちゃもの、ウフフ」
すると、いつも通りそれを聞いてたアルまで参戦。
「ユウト、女の子なのぉ~? じゃあアルの恋人になれないジャン! アル寂しいよ・・」
「おいおい、変な絡み方するなよアル~、僕は正真正銘の男子ですッ!」
そしてその直後めずらしくエレーナが入ってきて。
「まぁまぁ、ユウトが男子でも女子でもイイじゃないですか、どちらにしてもユウトは私たちの仲間に変わりはないのですから」
とんでもない爆弾発言がエレーナから飛び出してしまった。
「えぇ~ッ!僕は男でも女でもいいのッ!? そこははっきり男子と言ってよエレーナァ!」
「アハハハ、エレーナもユウトの性別なんてそれほど気にしてないらしいいわね、意外だわ・・・ユウトこうなったら女子に変ってみたらどうかしら?」
続けてアルまでも、
「アルも女の子になったユウト見てみたいなぁ、メチャ可愛いかもね、ハハハ」
ツーソンに入ってから、どうも僕へのツッコミというかイジり方が変な気がするのは考えすぎ?・・・
今話は甘いモノ好きの女子がメインのお話でした。
気が付くと「スイーツ」って言い方が普通になりましたね。
わたしが子供のころは「ケーキ」だったように記憶してます。
どちらでも、美味しく食べられればわたしは十分ですけど、
ケーキよりスイーツって呼び方のほうがおしゃれな気がしますね^^
次もよろしくお願いします!!




