~予定外の邪魂狩り~(その2)
~予定外の邪魂狩り~(その2)
ズダォ~ンッ!(邪魂の放った火炎弾的なモノが防壁に当たった音)
大型の火炎弾のようなモノが二重の防壁にぶち当たり、火山の爆発のようなものすごい爆音と地響きがあたりを飲み込んだッ!
グォ~~ン(地響きで地面が揺れるイメージ音)
「キャァ~ッ!」
「何よ~ッ!」
「伏せて~ッ!」
タミー、アル、エレーナ、3人とも、突然の攻撃で地面に倒れ込むように伏せた。
しかし、僕だけはなぜか、その轟音の中、真上の邪魂の姿を見つけようとの思いが勝っていたようで、攻撃の瞬間邪魂の姿がみえたような気がして、すかさず、
「マーカーッ!」
持っていたコインを思いっきり邪魂へ投げつけた!
これは「追遠神術」というモノらしく、エレーナから伝授された術で、人間界から持ってきた100円玉や500円玉を敵の身体に投げつけて追尾するときのマーカーにする技らしい、もちろん投げつけるものはコイン以外でも大丈夫。
僕が投げつけたコインがうまく邪魂にHit!
コインが付いたとほぼ同時に邪魂はまた姿を消した、しかし、コインが邪魂本体に付き、マーカーとして機能し始めたサインである光りを放ってくれて、やっと僕たちはステルス化した邪魂を目視で追跡できるようになった。
「エレーナ、タミー、アル、大丈夫ッ?」
「はい、私たちは大丈夫です、ユウトは?」
「僕は大丈夫、追遠神術で邪魂を見えるようにしたから、もう恐れることないよッ!」
僕はそう言いながら、マーカーとなったコインの光を指さした。
周囲を見ると邪魂は少し離れた場所を横方向へ移動してるようだった。
「こっちの様子をうかがってるみたいだ・・・」
僕たちはマーカーのおかげでしっかりと邪魂を追尾できる。
「ユウト、すご~い! さすが私のユウトだわっ♡」
「何それ?」
「皆さん、油断できません、まだ邪魂はそこにいるのです、追遠神術で見えるようになったのですから、今度はこちらから行きますよ」
エレーナは見える邪魂に対して強気にでるつもりらしい。
「もちろん! アルだってぜったい邪魂を倒すんだからッ!」
アルもさっきまではめちゃくちゃ怖い思いをしたぶん、やる気満々の様子。
僕たちが体制を立て直し、光って横移動してるマーカーの方向を追視してると、マーカーが急激にコースを変え、僕たちに接近してきた、そろらく邪魂は僕たちに二撃目を加えるつもりだ。
「防障神術 正面収束!」
シュンッ(防障神術が収束する音)
エレーナが防障神術を邪魂が突っ込んでくる正面に集中展開して攻撃に備えてくれた。
さらにタミーも防壁を前に集中して備えてる。
続けてタミーが邪魂の動きを制限するように迫ってくる邪魂の周囲にむけて妖神矢弾を一気に8本放った。
バシュ~ンッ!
タミーの放った妖神矢弾はタミーの狙い通り、邪魂の進路を縛ってくれてるようで
マーカーはまっすぐこちらへ向かってくる。
邪魂に付いてるマーカーが防壁まで20メートルくらいに近づいたときエレーナが上空へ飛び上がった。
「エレーナ、何する気ッ?」
続いてタミーも飛び上がった、邪魂に対しエレーナは左へ、タミーは右の上空へ。
「タミーもッ!?」
「そうかッ!」
僕はエレーナとタミーが二方向から攻撃しようとしてると気が付いた。
「だったら僕はここから」
僕はアルをすぐ脇に寄せつつ、自身の剣からブレードルミナー放った!
「ブレードルミナーッ!!」
バシュ~ン!
それと同時にエレーナとタミーがそれぞれの術から邪魂へ攻撃を加えた!
ヴァギュァ~ン!!!(3人の攻撃が邪魂にヒットした音)
3人の攻撃が邪魂にヒットした瞬間、もの凄い轟音と閃光が辺りを包み、地面からもうもうと土煙が上がるほどだ。
さらにその閃光の中、これまで見えなかった邪魂の姿がはっきり見えてきた。
「やったッ! 姿が見えるようになってる」
しかし、3人の同時攻撃を受けたはずの邪魂だけど、ダメージは無い感じでピンピンしてるようだ。
「マズい、ぜんぜん効果が無いっぽいんじゃ・・・」
僕は見えるようになった邪魂の姿を見て、思わずつぶやいていた。
アルも邪魂がほとんど弱ってないことが判ると、
「3人で攻撃したのに、なんで効かないの?・・・」
邪魂が姿を現したのはイイんだけど、3人同時攻撃が効いてない、これはマズい、いままでに無いことだ。
僕が始めに感じた違和感の理由がこれだったのかもしれない、この邪魂はいままでの邪魂とは格のようなものが違うのかもしれない・・
僕たちの同時攻撃を受けてもダメージらしいものを受けてないと思っていた邪魂だったけど、攻撃を受けてからすぐには反撃してきてない、もしかしたら少しは攻撃がは効いてるのか?
「エレーナ、タミー、大丈夫?」
「私たちは大丈夫です、しかし、あの攻撃でもビクともしないとは・・あの邪魂は強敵です」
エレーナが険しい顔つきでそんなことを言うなんて初めてじゃないかな? エレーナにそこまで言わせる今回の邪魂、どう対処すればいい?
「でも、さっきの攻撃の後、反撃してこないわ、もしかしてけっこう効いてるんじゃないかしら?」
邪魂の様子を見たタミーも僕と同じだったけど、エレーナが釘をさす、
「相手は邪魂です、しかもこの邪魂はかなりの難敵です、油断していられません」
「そ、そうね、油断は出来ないわッ!」
「アルも油断しない! 次は攻撃してぶっ倒するつもりッ!」
みんな言葉だけは威勢がいい、しかし、次に邪魂が仕掛けてきたら、どう立ち向かうか・・。
邪魂はまだ接近してこない、やっぱりさっきの僕たちの一撃が効いてるみたいだ。
「邪魂ってどこか弱点みたいな場所ってないのかしら? あればやっつけられるハズよね」
タミーがぼそっと言った。
「確かに! 生き物はどれも必ず弱点を持ってるよッ! 邪魂も弱点があるかもッ!」
しかし、その僕の言葉にアルが間髪を入れずに、
「でも、邪魂って生き物じゃないよ・・」
「そうだった・・・」
今のアルのツッコミは地味に僕のメンタルを削ってくる・・・
しかし、エレーナもタミーの考えを支持した。
「私もタミーの意見に賛同します、邪魂は霊体の一種です、いくら霊体といえども弱点のようなモノもあるように思えるのです」
「そうよね、邪魂だって弱点くらいあるはずよッ! 絶対あるッ!」
タミーの言葉は、まるで自分自身に言い聞かせるような強い口調だ。
「邪魂の後ろに回れたりできないかしら?」
「なんで?」
「後ろに回って何をするのです?」
「いやぁ、後ろならちょっとは弱いんじゃないかしらって思っただけよ、エヘヘ」
弱点に続きタミーの着眼点はなかなかイイものを持っている、タミー、グッジョブ!!
しかし、肝心の後ろに回る方法が見つからない・・・。
「後ろですか・・」
さすがのエレーナも後ろに回る上手い方法というと簡単には浮かばないようだ。
「ゆっくり考えてる時間はないわ、いつ邪魂が再攻撃してくるか判らないし・・」
タミーの心配は僕やエレーナも同じように感じている、しかし、いい案が浮かばない。
僕もエレーナもこのまま再度攻撃されてはマズいことは承知しているし、かといってこちらから同じ攻撃をしても通用しないし、エレーナ、タミー、僕、三人とも険しい顔をしていると、アルが捨て身の案を提案した。
「アルが邪魂引き付けるよ、その隙に3人が邪魂の後ろに回って攻撃して!」
アルからは想像できない、邪魂相手に囮作戦という案を言ってきた。
「えぇ~ッ! それはダメでしょッ! 危険すぎるよッ!」
「そうよ、アルは飛び道具の武器が無いんだから、無茶よッ」
タミーもアルの囮作戦には否定的だ、しかし、エレーナだけは明確に否定的なことは言っていない。
「二人ともぉ、アルは大丈夫だよ、なんたってアルはキャットピープルだよ、超俊敏な身のこなしで邪魂の攻撃くらいササっとかわしちゃうもんネ、へへ」
そう言いながらアルは笑って見せるけど、アルにもしものことがあったらと思うと笑って誤魔化せるもんじゃない。
すると、そんなアルの言葉にエレーナが囮案を認めると言ったのだ。
これには僕もタミーも心底驚いた、しかし、それには理由があった。
「アルの囮案を実行しましょう、アルに任せます」
「やったぁ!」
「しかし、それにはひとつ安全策をアルに持って頂くことが条件です」
「安全策?」
「そうです、アルに私の神術の中の硬矢神術を授けます」
「コウシシンジュツ?」
「簡単に言えば、私やタミーの持っている矢弾のようなものです、アル自身が身を守るために持ってください」
「はい! やった~ッ! メッチャ嬉しいッ! これでユウトと同じように戦えるね」
‘()’-()&%’~=)(=|$%#%$(`+{ (エレーナの詠唱 文字化不能)
さっそくエレーナは神術伝授の詠唱を始め、アルに硬矢神術を授けた。
術を授けてもらったアルはきょとんとしている。
「アル、神術を貰えてうれしいんだけど、なんにも変わってないよ、これでイイの?」
僕もそうだったから、アルが戸惑うのも分かる、エレーナに神術を授けて貰っても何も特に自覚的に変化を感じないのだ。
「それでイイんだよ、神術はしっかりアルに備わってるはずだよ」
「じゃあ、アル提案の囮作戦、実行しましょう、頑張ってねア~ル」
「アル、神術を授けたとはいえ、あなたが一番危険です、くれぐれも気を付けてくださいね」
エレーナがアルの肩を抱えながら、心配そうに言うとタミーも。
「アル、危険を感じたら、すぐに逃げないよ、分かったッ?」
「ふたりとも、心配してくれてるんだね、大丈夫!アルはやるよ~ッ!」
アルの言葉で作戦開始。
邪魂はまだ接近してくる様子はない、これはこちらにとっては幸運だった、ここまでいろいろ考えられたのも、邪魂が動かないでいてくれたからだ。
アルはさっそく邪魂を誘導するため、わざと目立つように飛び跳ねながら邪魂にむかって右方向へ動いた。
それに対し、僕たちは邪魂に対し左に移動。
ソロ~リソロ~リ(ユウト達がそ~っと移動してる擬音)
すると目論見通り、目立つ動きのアルに邪魂が気を引きつけられたようで、アルのほうをしきりに睨んでる。
その隙に僕たちは作戦通り邪魂の背後に回ることができた。
僕は作戦成功をアルに伝えるため腕を上に上げてサムアップした。
しかし、アルは僕のサインに気づいていない。
「マズい、アルが気が付いてない」
アルが僕たちの体制が整ったことに気づかないため、僕たちの想定した以上に邪魂がアルに接近し過ぎでアルが危険になった。
「アルが危ないわッ!」
「もう余裕がありません、皆さん、行きますよッ!」
エレーナの合図とともに僕たち3人はアルの元へ走った。
走りながらエレーナとタミーが防壁系の神術と妖術を展開して防御を固める。
邪魂まで20メートルくらいまで接近したところで、僕たち3人はそれぞれの攻撃の術を邪魂へ撃った。
「ブレードルミナーッ!!」
ズグワゥヮ~ンッ!!!(3任の攻撃が邪魂に命中した音)
3人の攻撃が邪魂の背後へ命中! しかし、なんとこの邪魂はエレーナやタミーのような防壁を持っていたッ!
僕たちの攻撃を余裕で退けた無傷の邪魂はそのままアルへ向かって行ってその腕でアルを弾き飛ばした。
「ギュオ~ン!」(邪魂の鳴き声)
「ミャ~ッ!!」
「ア~ルッ!!」
弾かれたアルは30メートルほど飛ばされ地面に叩きつけられた。
僕たち3人の同時攻撃が効かなかったうえにアルまで傷つき、僕たちは成すすべがなく進退窮まった。
エレーナ、タミーはそれぞれ僕から左右へ展開し、邪魂の注意を分散させてる
僕はその隙にアルの元へ駆け寄った、
「アルッ! アルッ! 目を開けてくれッアル~ッ!」
アルは力なく倒れて横たわっている。
僕はそんなアルの身体を抱き起こして揺り大声でアルの名を呼んだ、しかし、アルは答えてくれない・・・。
僕はアルを抱きかかえて、周りが見えなくなっていた。
そんな無防備な状態の僕とアルを邪魂が見逃すはずがない、エレーナとタミーが必死に攻撃してるにも関わらず、無防備な僕へ向けて尾のようなモノを延ばしてきたッ!
シュパ~ッ!(邪魂の尾が伸びる擬音)
僕がそれに気づいた時には邪魂の尾はもう僕まで5メートルくらいまで迫ってきていて、もう防ぎようが無いと覚悟してアルをかばうようにアルの身体に覆いかぶさったとき!
「ごめん、アル・・」
僕がそうつぶやくと同時に数本の光る矢が邪魂の尾の動きを封じるように上空から稲妻ごとく僕とアルの眼前に刺さった!
ズグォ~ン!!!!(光の矢が地面に突き刺さった音)
目が潰れるかと思うようなものすごい閃光と轟音が辺りを包んだ!!
またちょっと長くなっちゃいました。
しかも区切り方も「?」なんですよねぇ・・・
区切ったわたしも「区切りが悪いかな?」って
自覚はあるんですけど、なかなかうまい区切りの場所が
見つからないんです。
皆さん、どうか優しい目で読んで下さいませ、お願いします!




