~トレンスの町~
~トレンスの町~
トレンスの町の入口に来た。
この町は町全体が高い壁に囲まれていて、不法な侵入や魔獣の侵入を防ぐようになっている。
ここでは、入口で身元の確認があるようだ。
「僕たちの身元ってどう説明すればイイかな、エレーナ?」
「ユウトたちは私と共に邪魂退治をしながら旅をしてるパーティだと説明しますので適当に合わせてくれれば大丈夫でしょう」
「パーティ?」
「仲間といった意味です」
「なるほど、仲間ね・・」
ゴブリン達から借りたサラブー二頭はここでお役御免、タミーがエルフの術でサラブーに元いた場所へ戻るよう促すと二頭のサラブーは大人しく来た道を引き返していった。
「なんかもったいないね、もっと先までサラブーに乗ってたかったな・・」
アルがボソッと言ったけど、僕もそう思ってないわけじゃなかった、でもサラブーは借りものだし、これ以上は借りてられないとのエレーナの判断だからそれに従った。
入口の脇で待っているとエレーナが手招きをしてる、ゲートではとくに問題とか無く、僕たちは通ることができた。
エレーナの説明がうまくいったようで、僕たちは特段怪しまれることもなかった。
「エレーナってスゴイわね、もしかしたら詐欺師とかもできちゃうんじゃないかしら、ハハハ」
タミーがエレーナをイジるなんてちょっと意外だったけど、更に意外だったのは、それに対するエレーナの返しだった。
「そうね、詐欺師で荒稼ぎするというのも面白いかもですね、タミー、私と組みますか? ウフ」
「アルも詐欺師やりた~い!」
「アル! そんなこと大声で言っちゃだめだよ!」
それを聞いたアルも悪乗りしてきた、ふざけすぎな気もするけど3人は楽しそうだし、女子3人が楽しそうにしてるのって男子の僕には目の保養だよね・・^^
トレンスの町は想像以上に大勢の人やエルフやキャットピープルなどの亜人がいた。
「エレーナ、ここに来たのも邪魂を退治するためだよね、でも、今のところそんなものは感じないけど・・」
邪魂の発する気みたいなモノを捉えることができるのはこの4人のうちでは僕だけが持ってる能力で、そのために僕がいるってことらしい。
まぁ実際には邪魂を狩る(退治する)とき、僕も邪魂との戦いに参加するから一応は戦士とか勇者とかとも呼ばれてる。
邪魂は普段一般の人に化けて町に溶け込んでいることもある、そんな邪魂を見つけるのが最所の段階、でもまだ見つかってない。
「そんなことより、早く宿決めましょうよ、私疲れたわ」
タミーがそう言いながら僕へ寄りかかってきた。
「ちょっ、ちょっとタミー! ふざけないでよ」
僕がタミーの肩を支えようとすると、こんどはアルまでも僕に寄りかかってきた。
「アルも疲れたぁ~ユウトおんぶして~」
左右から二人に寄りかかられて僕がつぶれそうになってると、周囲の人からひやかれてしまった。
「おぅおぅずいぶんモテてるね、ニイちゃん」
「可愛いわね、ウフフ」
それが聞こえたのかタミーは顔を真っ赤にしてすぐさま寄りかかるのをやめてくれたけど、アルはそんなことお構いなしって感じで寄りかかったまま喉をゴロゴロ鳴らしていた。
「まったく・・」
そんな中、エレーナだけは真面目に宿のことを考えてくれてたようで。
「今晩はあそこに泊まることにしましょう」
と、とある宿らしき建物を指さした。
その建物はよく言えば趣があるって感じ、でもまぁハッキリ言って少々ボロい・・
そんなところを宿にするなんて言うもんだから案の定アルが、
「えぇ~、もっとおしゃれな宿がイイなぁ~」
と、まぁ判りやすい反応だよね・・
しかし、エレーナは譲る気はないようで、
「いいではないですかあの雰囲気、情緒があって素敵です」
「そうかなぁ・・まぁエレーナがいいって言うんなら私はいいわ」
タミーは特に反対ということもない様子。
ということで賛成2反対1の多数決でエレーナの提案が可決され、その宿に決定!
さっそく宿のフロントで宿賃を払って部屋へ。
部屋に入ると外観からは想像できないくらいにモダンな作りになっていて、これにはこの宿に難色を示してたアルも一気にご機嫌になり、しっぽをピンと立てて鼻歌交じりにいち早くベッドにもぐりこんだ。
さすがキャットピープル、暗く狭いところが好きなようだ。
さらにタミーも部屋が気に入ったようで。
「あらぁ~ここ素敵ねぇ、私ここなら一年いてもいいかもしれないわ」
タミーもアルに負けず劣らず上機嫌の模様。
そんな感じに浮かれてる二人を見ながらエレーナはひとりキリっとした顔つきで明日の予定を口にした。
「二人が喜んでくれたのは良かったですが、明日からはこの町に潜伏していると情報のあった邪魂捜しを始めます、皆さん気を引き締めて下さい」
エレーナが真面目に伝えてるのに、アルにはその空気感すら届いてないらしく。
「は~い、それより~はやくお夕飯にしようよ~、アルお腹すいたよ~」
これじゃまるで母親に夕飯を催促してる子供だ。
エレーナも空腹のままではなにを言っても伝わらないと観念したらしく。
「そうですね、ではまずはお夕飯を頂きに町に出ましょう」
「やった~! お夕飯! お夕飯! 何食べようかなぁ~」
夕飯を食べようと宿から出ると、外は陽が落ちすっかり暗くなっていた。
僕たちは宿のそばにあったレストランに入っておのおの好きなモノを食べた、ちなみに僕とアルはキーウェという豚に似たヤツのステーキを食べた、タミーはそばみたいな麺ものを、エレーナの選んだのは雑炊のようなモノだった・・・
今日も投稿できました!!
この勢いでずっと続けていけるように頑張ります!^^
でも、あまり急いじゃうと、文章が今以上にぐちゃぐちゃになっちゃうから要注意です。
読んで下さってる皆さん、これからもよろしくお願いします!




