助けてドラの助!!
「ドラの助~!! 助けてよ~!!」
「どうしたんだい、かなた君。また誰かに虐められたのかい?」
「違うんだよ! この前、自分へのご褒美に買ったNantendo Scotchが楽しすぎて他のことが全く手につかないんだ!」
「そんなの、自分で時間を決めて遊べばいいだけじゃないか」
「ドラの助は全然分かってない! もうちょっと、あとちょっとだけなんて言いながら結局一晩中やってしまうのが人間ってものなんだよ……はあ、やっぱりロボットには分からないのかなあ。とにかく僕の身体をたくさん増やしたり、時間を引き延ばしたりできる魔法のアイテムを貸してほしいんだ」
「しょうがないなあ……じゃあ、ここにそのゲームを持ってきてごらん」
「わあい!! ありがとうドラの助!! ……はい、これだよ」
「よし、じゃあいくよ」
「えっ……ちょっと待ってドラの助! そのバールのようなものは、一体どんな魔法道具なの?」
「何を言っているんだい、かなた君。これは正真正銘ただのバールだよ」
「じゃあどうして僕のScotchにバールを振り下ろそうとしているの!?」
「だってこれが諸悪の根源なんだろ? 鉄くずにしてしまえば全て解決するじゃないか」
「そんな酷い解決法があってたまるか! このポンコツロボット!」
「かなた君、なにか勘違いしてないかい。僕がパラレルワールドからやってきたのは、君が将来大量殺戮兵器を開発するのを阻止するためだ。平和主義だからあまり暴力的な手段は選びたくないんだけど、手っ取り早くこのバールで任務を達成してもいいんだよ」
「……ごめんなさい……ゲームは程々にします……」
「分かってくれて嬉しいよ。さあ、そろそろ会社に行く時間だろ?」
「……はい、行ってきます……」
「…………ふう。全く、かなた君は世話が焼けるよ。とにかくこっちの世界ではマッドサイエンティストにならないよう僕がしっかり見張らなくちゃ……」