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2話

  01





 キスをしたその日から私と柊くんは生徒と教師の関係を超えた。学校にいるときは関係を疑われないようにお互い接触は控えて、放課後になると彼の親がいなくなった隙を狙って愛を確かめ合った。柊くんは意外と強引で私がやったように壁際に私を追い詰めてキスをしようとするが背が如何せん足りない、私は彼の背丈に合わせるようにしゃがんで頬っぺたに口付けをした。これだけ私と愛を育んでいるのに柊くんは私にキスをされただけで、顔を真っ赤にしていた。

 当初の目的通り、彼を自分の物にすることは出来たがまだやっていないことがある。私は最近流行りのづいったーというSNSを使って計画を行うことにした。柊くんにはづいったーのアカウントを使ってもらい、見知らぬ大人たちとオフ会してもらう。柊くんのような少女のような外見をした子供目当てにしている大人に徹底的に身も心も穢してもらうこと。今の彼はまだ私を大好きな先生だと思っているが、穢れを体に身につけさせることで私との関係を切らせないようにするのが今回の計画だ。柊くんの心を私色に染める。




「づいったーですか……」




「仕事が忙して中々会えないこともあると思う。だからづいったーで私のような優しい大人に話を聞いてもらうのもいいんじゃない?」




 嫌そうな顔をしていたが、私が強く念を押すと渋々了承してくれた。口をひん曲げて嫌そうな顔をする柊くんが可愛かったので、私はまた彼をベッドまで連れて行って思春期の体を思う存分楽しんだ。

 私が予想してた通り、テスト期間が始まったことで仕事が忙しくなり始めた。中々会える時間も無くなり、柊くんは悲しんでいたが彼は私の言うことを守って見知らぬ大人と仲良くづいったーで絡んでいた。まさか柊くんが男の子だとは思うまい、そして男と知った悲しみを彼に叩きつけてほしい。

 テスト期間が終わり、仕事が一段落し始めた私は柊くんに連絡をしようとした。づいったーを見てみると、どうやら酷い目に合ったようで長文の愚痴ヅイードを吐いていた。内容の殆どが私に会いたい会いたいというものだった。





「早く早く柊くんに会いたい……」





 一時間をかけて柊くんの自宅まで行くと、体育座りをして私を待っていた。普段見ている学生服ではなく、女物のセーラー服を着ていた。




「どうしたのその格好……ん!」




 急な出来事に私の脳が反応が出来なかった。柊くんは無理やり私にキスをした。甘い甘いキスではなく、苦しい助けてほしいという負の感情が篭った口付けだった。私はそのまま、身を委ねた。



「先生みたいな……優しい大人かと思ったのにあの人は僕を無理やりっ……」



 私は露出している肌を優しく撫でたあと、スカートの中に手を入れた。




「もっと早く気づけたらよかった……ごめんねごめんね」



 声を抑えながら耐えている姿を見て気持ちが高ぶった私は柊くんに私のことが好きか聞いてみた。




「先生……もう僕を手放さないで。先生なら僕に何をしてもいいから一人にしないで」




 気持ちよさそうな顔で私を求める姿を見た時、私はつい鏡に映っている自分の姿を見てしまった。鏡に映った姿を見て過去にバカにしてきた人間と同じことをしていると気づいてしまった。




 02





 私は自分の過ちに気づき、教師を辞めた。づいったーアカウントも削除し、柊くんとの日々も全て消し去ろうとしたが簡単には出来なかった。あの日々を夢でみると私はいつも枕を濡らしていた、気づいたら自分も彼と同じように寂しがり屋になっているとは思いもしなかった。

 教師を辞めた私は実家の本屋を継ぎ、つまらない毎日を送っている。一年、二年と月日が経っても私は中々、柊くんを忘れることは出来なかった。もう彼は……私を忘れて彼女でも出来ている年頃なのかなと寂しくなる。私はどこで道を間違えたのだろう、やっぱり教師と生徒の関係のままの方が良かったのかな。ふと思い出に浸っていると自動ドアが開く音がした。私の目の前に肩まで髪を伸ばした綺麗な少女が立ちはだかり、私の顔に優しく触れた。





「一人にしないでって約束したじゃないですか」



 優しくて直ぐに消えてしまいそうな声を聞き、私は思い出す。こんなにも愛した少年をたった数年会わなかっただけで忘れてしまうなんて。柊くんは以前と見違えるぐらいに綺麗になっていたが、彼はもう以前のような純粋さは無かった。




「壊れるまで愛してあげますからね……」



 耳元で甘く囁かれ、今度は私がめちゃくちゃにされる番だと気づいた時にはもう遅かった。

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