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軌道

 前回手に入れた結晶の効果を確かめるために、俺は早速、シウたちを連れて農地に来ていた。


 ここ一週間、ひたすらプラントスキルを使って苗を植えていたから、ある程度の範囲にはすでに苗が植わっていた。


 「ピギー様、人の手を使って苗を植えようと思ったら、こんなにすぐには出来ません。……すでに奇跡のようなペースかと思いますが! 」

 「うん、かもしれない。だけど、もっとペースアップ出来そうなんだ」

 「もっと、ペースアップ、ですか……!? 」

 「そう。ちょっと試してみるね」

 

 そう言うと、俺は地面に手を当てた。

 前回、エフィーさんたちが持ってきてくれた結晶のなかには「範囲拡張」の結晶がかなりの数入っていた。

 だから、“プラント”による耕しも、以前より遥かに広い範囲に出来るはずなのだ。




 「“プラント”」


  

 「おおっ!? 」

 「す、すごい! 」


 と横にいたふたりが驚嘆の声をあげる。


 今まではワンルームほどの広さしか耕せなかったものが、今度は、一瞬にして体育館ほどの広さを耕すのに成功したのだ。


 「やっぱり、……かなり楽になりそうだ」

 と俺が言うと、

 「改めて言いますが、結晶の力というのは、凄まじいですね……! 」

 とムラサミが零す。

 「うん。俺もそう思うよ。……自分でも、奇跡を行っているみたいな気がするもん」

 「いや、紛れもなく、これは奇跡ですよ……! まして、自分の固有職でないあなたが、プラントの職業を操っているのですから……! 」

 と、ムラサミは終始驚嘆しっぱなしだった。


 

 「それじゃあ、苗を耕した地面の上に置いてくれ。前までは7,80本ぐらいだったから、500本くらい行ってみよう」

 「て、適当に置いて良いのですか? 」

 「うん、良いよ」

 

 こういったところは、正直に言って勘でわかる。

 手に入れたスキルや新しい固有職というのは、「なんとなく」こう使うんだろうというのが予感できるのだ。


 「じゃあ、行くよ」

 シウがばらまいた約500本の苗に向かって俺はこう呟く。




 「“プラント”」



 すると、一瞬にして500本の苗が等間隔に地面に植わった。


 「結晶のなかには“成長速度促進”の結晶も入っていたから、多分、以前よりもかなり早く育つと思う」

 「……いやはや、ピギー様といると奇跡の連続でついていけませんな……! 」

 「まったく! 」

 となにか嬉しそうにシウとムラサミが意気投合していた。


 その日、俺はひたすらプラントスキルを使って農地に苗を植えていった。

 ……以前とは比べ物にならないペースで、苗が植わっていく。

 結局、一日植え続けただけで、前まで一週間掛かって植えていた土地を遥かに上回る広さを農地化するのに成功した。

 

 ……さすがに、一日が終わる頃には疲労で倒れるように眠ったけど。


 

 ……


 この間、マトイはアオを引き連れて国の調査に出かけていた。

 この国の魔物の発生状況はあまりにも不自然過ぎる。

 なにか特別な事情があるに違いないのだ。

 その調査のために、マトイたちはいろんなスポットを巡ったり、土地の荒廃具合を調べに行ったりしていた。

 だから、もう一週間もマトイたちには会っていない。


 (若干、寂しいな……)

 (この世界に来てから、マトイとはほぼずっと一緒にいたから……)

 と、俺は少しセンチメンタルな気分になっていた。



 翌日の昼頃、今度はイップさんのパーティーが城に戻ってきた。


 「……ピギーくん、あの結晶とかいうものの力は凄まじいですな……! 」

 とイップさんが驚いた顔で部屋に入ってきた。

 「あ、イップさん。どうでした? 兵士たちは魔物討伐出来ていましたか」

 「……戦えた、などというものではない! 最初に兵士たちに会ったころはせいぜいFランクの冒険者だったはずなのだが、結晶を与えたあとでは、すでにB級クラスの強さに生まれ変わっていた! ……なんなんだ、あの結晶というのは?? いくらなんでも、この世の理から離れている! 」

 「ま、まあ、そうですよね」

 と、若干、イップさんのテンションに押されつつ、そう答える。

 「それより、殲滅はできそうですか? 」

 「できそうではあるが、なにしろ、数があまりに多いな……」

 「やはり、そうですよね」

 「だが、兵士たちはやる気に満ちている。ピギーくんに装備を直して貰い、ポーションを補充して貰ったら、すぐにでもスポットに向かいたがっているよ」

 「そ、そんなに、ですか? 」

 「ああ。……魔物を倒せば倒すほど強くなるんだ。こんなに面白いことはないんだろう! 」

 

 ……そうなのだ。

 この仕組みのミソは完全な“成果報酬”にしたところだった。

 つまり、魔物を倒した数とその魔物のランクに応じて、兵士には結晶が配られるのだ。

 だから、魔物を倒せば倒すほど兵士たちは強くなり、さらに言えば、もっと魔物を倒したくなる。

 今や兵士たちは競って魔物の討伐に出かけていた。

 ここまでは、完全に狙い通りだった。

 ……もっとも、結晶に関しては、特権的に俺が一番良いものを貰えるようにみんなには納得して貰っているが。


 

 イップさんと一緒に兵士たちの装備品を集めた部屋に向かい、そこで装備品を修理した。

 そこで、急にこんなことを言われた。


 「……そうそう、城に戻ってくるときにエフィーちゃんたちのパーティーとすれ違ったよ」

 「ああ、向こうはその前に戻ってきていましたからね」

 「しかしあの娘は、とんでもない美人ですな。エルフはみんな容姿は整っているが、あの娘はさらに別格に綺麗だ。……そうそう、それでだな、あの娘に、なにか、不思議なことを聞かれたんだ」

 「え、なんですか? 」

 「なにか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……とかなんとか、そんな相談だったが……」

 思わず、顔が真っ赤になる。

 「ん? どうした、ピギーくん? 」

 「い、いえ、なんでもないです……! 」

 「??? 」


 (エフィーさんにそんなこと相談されていたのか……)

 

 (そ、それってつまり……)


 と俺は、もしかしたらエフィーさんに好意を持たれているかもしれないと思うと、嬉しさと恥ずかしさで顔が真っ赤になり、ただ俯くばかりなのだった。

 

 「ピギーくん、大丈夫かい……!? 」

 「だ、だ、大丈夫です!! 」




 ……



 イップさんたちのパーティーが運び入れてくれた魔物の死体を結晶化するとき、イップさんもついてきてくれた。

 今回、イップさんたちが討伐した魔物の数が、約1600匹。

 ここ数日、俺たちはかなり良いペースで物事が進んでいた。

 こういうときは色んなものごとが上手く回り始める。

 


 「結晶化! 」


 と、魔物の心臓を一気に結晶化すると、今まさに俺が欲しがっているプラント系の結晶がかなりの数出てきてくれた。



 《ボーナス》 “プラント”範囲拡張(大) ×3

 《ボーナス》 “プラント”範囲拡張(中) ×11

 《ボーナス》 “プラント”範囲拡張(小) ×21

 《ボーナス》 “プラント”使用時作物に成長速度促進を付与(大) ×4

 《ボーナス》 “プラント”使用時作物に成長速度促進を付与(中) ×7

 《ボーナス》 “プラント”使用時作物に成長速度促進を付与(小) ×27



 この辺りは前回と同じ。

 これでさらに範囲が拡張されるのと、成長速度が促進されるが、嬉しかったのはこのふたつ。


 《ボーナス》 “プラント”使用時に苗及び種不要化

 《ボーナス》 プラント士スキル“プラント”獲得×2


 

 1つ目は種及び苗の不要化。

 苗に関しては無限にあるわけではないから、これが出てきてくれるのは正直に言ってかなり嬉しかった。

 そして、なにより嬉しいのが2つ目。

 これによって“プラント”のスキルを扱える人員がさらにふたり増やせるようになるのだ。

 

 (よし、これで手分けして苗を植えられる……! )


 いよいよ、国周辺の農地化は軌道に乗り始めていた。


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