会議
城に作って貰った俺たち専用の会議室に着くと、そこにエフィーさんたちが来ていた。
「あ、あれ……? エフィーさん、わざわざ来てくれたんですか? 」
「アオさんに事情を聞いてかけつけたのです。……来るのに一週間も掛かりましたが。ピギーさんが困難に直面しておられるのに、手を貸さないわけに行きませんもの」
良く見ると、その周囲にはフリューゲルさんのギルドの冒険者たちが勢揃いしていた。
「力を、貸してくれるんですか? 」
と聞くと、
「喜んで」
とエフィーさんが微笑んだ。
(ギルドのA級冒険者たちが力を貸してくれるとなると……)
(魔物の討伐もかなり楽になる……)
(良いぞ、アオ。優秀だ……)
……
早速俺はギルドの仲間たち、ムラサミ、シウ、マトイたちを集めて会議を行った。
「ムラサミ、まずは使える兵士たちを集めておいてくれるかな」
「はっ。すぐにでも」
そう言うとムラサミは城の奥に消えた。
すぐにでも全員集めておくという。
「……ですが、兵士たちにはまともな装備がありません」
とシウが言う。
そうか。
そんな問題があったな。
「それじゃあ、兵士たちの装備を一箇所に集めておいてくれますか。後で直しに行くので」
そう言うと、
「わかりました。私はそちらの方を手配しておきます」
そう言ってシウは頭を下げ、やはり城の奥に消えていった。
「さて……」
と俺は残った仲間たちに向かって話し始めた。
このエディーガーデンの国の周辺には約11箇所の魔物の異常発生スポットがある。
それをここに集まった仲間、城の兵士たちだけで討伐しなくてはならない。
フリューゲルさんのギルドの冒険者たちはともかく、兵士たちに戦力はあまり期待できない。
とは言え、彼らの力も借りなくては、魔物の殲滅はいつまで経っても終わらないだろう。
「そこで、結晶のちからです」
「結晶、ですか……? 」
エフィーさんがこっちを向く。
「そうです。これからエフィーさんたちには、それぞれ兵士を率いて魔物の討伐に出て貰います。具体的に言うと、1パーティーごとに100人ほどの兵士を率いてスポットに向かって欲しいのです。……ひとつ注意点があるのですが、倒した魔物の死体は、必ず回収して欲しい。ダンジョンの入り口に置くか、どこか一箇所に集めて欲しいのです」
「死体から回収した結晶で、兵士たちを強化する、というのですね……? 」
とエフィーさん。
「その通りです。ですから、ある程度魔物の死体が集まったら、城に戻ってきて欲しい。僕が魔物の死体から臓物を剥ぎ取り、結晶化します。それで、手に入った結晶は兵士とみなさんに分配します」
「なるほど。それを繰り返せば、俺たちは延々と強くなっていく、ということか……」
と来てくれていたイップさんが唸る。
もうすでに、結晶についてはギルドの仲間はみんな知っていた。
集まってくれているギルドの仲間たちは、A級のパーティーが6組。残りのパーティーもB級が17組来てくれていた。
「……さっきスポットの一箇所を殲滅しに行きましたが、想像以上に魔物が繁殖している。その数は1万を越えていた」
「1万、だと……? 」
とイップさんが驚愕する。
「そうです。マトイやアオの力があったからなんとかなりましたが、A級冒険者のみなさんでも殲滅には時間が掛かるかもしれない。ですから、危険を感じたら無理せずに引き返して下さい。結晶が手に入れば、その都度強くなるので、再びスポットに戻る頃には、殲滅も楽になっているはずです」
「なるほど。スポットと城を行き来するたびに、俺たちが強くなる、というわけか……」
「そのとおりです」
イップさんにそう言われながら、俺はあることを考えていた。
(これって……)
(ある意味でごくふつーのRPG的な発想だよな……)
(というか、本来の冒険者のあるべき姿というか……)
(もしかしたら……)
と、俺はあることに思い至った。
(この世界の元のあり方がおかしくて、俺は“本来の形”へと、この世界を“修理”しつつあるんじゃないか……? )
「ピギー殿、兵士たちの装備品を一箇所に集め終わりました」
と、そのとき、シウが戻ってきて言った。
「わかりました。今行きます」
「さっきムラサミ殿とすれ違いましたが、向こうでも、広場に兵士たちを集め終わったようです」
「わかりました。そっちにも、後で顔を出します」
……俺はエフィーさんたちに指示を出して、兵士たちの力量を検査、それと、彼らに今ある約1万個の結晶を配るようにお願いをした。
「エフィーさん、申し訳ないのですが、ギルドのみんなと協力して兵士の皆さんに結晶を与えてくれませんか」
「ふふっ」
とエフィーさんが笑う。
「ど、どうして笑うのですか」
狼狽えてそう聞くと、
「……いえ、お似合いですよ」
「お、お似合い……? 」
「ええ。ピギーさんがまるで軍隊長のようなことをしていらっしゃる。でも、良く似合っています」
「……からかわないで下さい」
顔を真っ赤にして俺は俯いた。
確かに、いつの間にか、俺はみんなに命令を出す役目をやっていた。
そんなこと、元の世界では一度だってしたことがないのだ……。
「す、すいません、不慣れで……」
と言うと、
「いいえ。とても立派にこなしておられますよ」
とエフィーさんが励ましてくれた。
だが、すでに恥ずかしさが込み上げて来ている俺は、
「いや、俺がこんなことして、みんな嫌じゃないかな……」
と若干うつ気味になってそう言うと、
「ピギーさん」
とエフィーさんが真剣な顔になって言った。
「は、はい」
「……ピギーさんはきっと、もともとこうした立場が似合うひとなのですよ。今まで、そうした場面に出会わなかっただけなのでしょう。……その証拠に、見て下さい。ピギーさんの指示によって、みんなが一斉に動き始めています。それも、すごくスムースに。滞りなく」
(……確かに)
と俺は思っていた。
悲観的にならなければ、確かにみんなは俺の指示によく従ってくれていたのだ。
「ピギーさん、自信を持って」
と、エフィーさんが両手を握りしめて、笑顔で励ましてくれた。
思わず、顔が赤くなる。
その仕草が、めちゃくちゃ可愛かったのだ。
……
城の西側にある巨大な倉庫に着くと、すでに膨大な数の装備が積み上げられていた。
(前回の冒険の途中で“固有職スキル上昇(大)”を喰っているからな……)
(もしかしたら、と思うが……)
(試してみよう……)
俺は地面に手を当てて、この倉庫全体を見遣った。
(多分、いける気がする……)
そして、こう呟いた。
「修理――」
……すると、積み上げられていた装備がすべて、一瞬にして新品同様のレベルに修理された。
「……? 」
近くに集まっていたシウとその従者たちが、不思議そうに俺を見ている。
「直りました」
「なお、った……? 」
そう言うと、シウがそろそろと装備に近づき、そのうちのひとつを手に取った。
「う、嘘だろう……? あの一瞬で、すべての装備品が直った、のか……? 」
「前回喰った結晶によって、“修理”の範囲が拡張したようです。……どうやら、一斉に複数の装備品が直せるようになったようだ」
「こんなこと……」
とシウが呟く。
「聞いたこともない……」
まだ呆然としているシウに俺は言った。
「次はポーションを入れるようの容器をかき集めて下さい。……スポットに向かう兵士たち用に大量のポーションを用意します。……急ぎましょう。魔物はこの間も増え続けている。時間が勝負です。一気に準備を進めて、一気に片をつけましょう」
「は、はい……」
と言うと、シウはやっと呆然が解け、ポーションの入れ物を探しに慌てて城の奥へと駆けていった。
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