入り口
前回の旅と同様に水辺で野営し、日が昇ってから冒険を再開した。
ムールの洞穴に着くと、妙なことが起こっていた
「あれ、入り口が倒壊していないか……? 」
「……うん。してる。……あと、誰か倒れてる」
急いで近くまで行くと、冒険者が4人地面に這いつくばっていた。
「マトイ、止まれ! 」
と、咄嗟にそう叫ぶ。
「……ん」
地面を這いつくばる冒険者の近くに、100数匹の青蛇が蠢いているのが見えたのだ。
(青蛇が……洞窟の外に出ている……? )
(日光が嫌いで、外には出ないはずなんだが……)
「マトイ、適当に“麻痺”を撃っていってくれ。硬直した群れの辺りにラージクラブをぶちかますから」
そう言ったが、マトイはすでに青蛇の群れに両手を翳していた。
「“麻痺”――」
すると、4人の冒険者の足元にいた青蛇の群れが、ぴたりと静止する。
その辺りめがけて一気に駆け寄り、地面を蹴り上げた。
軽くジャンプをしながら、ラージクラブを振り上げ、
……一気に振り下ろす。
ドゴォォォッ!
という音ともに地面が深く抉れる。
当然、その近くにいた青蛇も一気に吹っ飛んでいく。
「きゅ、救援か……? 頼む、助けてくれ……! 」
と地面でもぞもぞと青蛇に抵抗していた冒険者たちが叫ぶ。
「立てるひとは立って逃げてください! 」
そう叫ぶが、誰一人立ち上がらない。
(この人たちも足をやられているか……)
「マトイ、続けて魔術を――」
と言おうとするが、
「“麻痺”――」
とマトイはすでに魔術を撃ち放っていた。
(マトイ……)
(呪いの効力が弱まったから、魔術を使えるまでのインターバルもかなり短くなってる……)
(しかも、俺が攻撃しやすいように、的確に青蛇を硬直させてくれる……)
俺は再び勢いをつけて飛び上がり、密集し硬直した青蛇めがけてラージクラブを振り下ろしていった。
ドゴォォォッ!
そのたびに地面が深く抉れ、辺りに砂埃が舞った。
……
大蛇の群れをいくつか叩き潰したあと、散り散りになった青蛇を一匹ずつ駆除していく。
密集していた青蛇をラージクラブで一気に叩き潰すより、むしろこっちのほうが手間が掛かる。
マトイに“麻痺”を掛けて貰い、一匹ずつバタフライナイフで首を切断していった。
(結構、時間掛かるな、これ……)
青蛇は残り数匹になると、俺に恐れをなして入り口の崩れた洞窟のなかに去っていった。
(逃げてくれた方が助かる……)
(群れが壊れて、個で襲ってくると、それはそれで厄介だな……)
「大丈夫ですか? ……怪我を見せてください」
そう言って、地面に倒れている4人の冒険者の様子を窺った。
(一人は片足を失っているが、残りの3人は、一応足はある……)
(アキレス腱を喰われているか……? それで、立てなくなっているのか……)
「……治します」
と言って、冒険者4人の足を“修理”していった。
まずは片足を失っている男を治療した。
徐々に生えてくる足を見つめながら、冒険者4人は、
「……たまげたな。すごい固有スキルだ」
と呟いている。
(この4人、多分そこそこ強いパーティだな……)
(ここに来るまでに遭遇したほかの冒険者たちとは明らかに雰囲気が違う……)
「青蛇は去ったか。……良かった、助かった」
「どこか傷はある? ヒール」
「ほら、こっちにはポーションもあるぞ」
と、それぞれ辛そうにではあったが自分たちでも快復し始めている。
もっとも、失われたアキレス腱はヒールやポーションでは治せないから、それに関しては俺が治療した。
……
全員を治療し終わると、
「ムール洞穴の入り口が壊れているのはどうしたんですか? 」
と4人に尋ねた。
「あれは……。ある冒険者パーティーが壊していったんだ……。しかもエルフじゃなかったな。多分、転生者だ」
とひとりが答えた。
「俺たちは青蛇の調査に来たんだがな、そいつらは、良くわからないが、青蛇に怒りを持っているようだった」
と別のひとりが言う。
「そーそー。むかつくから、洞窟を壊しちゃえとかなんとか言ってたもの」
と4人のなかにいるひとりの女性が答える。
「青蛇の駆除は丁寧にやらないと駄目なんだ。群れが残ってしまうと、再び大量に繁殖してしまう。
……だけど、あいつらはそれがわかっていないんだろう。入り口を魔術でぶっ壊して立ち去ってしまった。
まったく、ものすごい迷惑だよ。……これで洞窟にも入れなくなってしまった」
心底苛立たしいのか、男は首を振りながらそう話した。
俺は洞窟の入り口を見た。
確かに入り口は倒壊し、瓦礫の山となっている。
(確証はないが……)
(多分俺の元クラスメイトたちだろう……)
(癇癪を起こして大暴れする……。いかにも高村たちがやりそうなことだが……)
(まあ、誰かまではわからない……)
「それで、その転生者たちはどこに行ったんですか? 」
「さあな。どっか行っちまったよ。本人たちはいかにも満足そうだった。……だが、これは大きな問題だ。ギルドにもちゃんと報告しておく。こんなずさんな対処をされたんじゃ、冒険者たちはやっていけない」
その後、俺は4人に魔物除けの聖水を振りかけて、一度街に戻るよう助言した。
4人は深々と頭を下げ、
「ギルドは違うが、君たちに助けられたことはちゃんと上に報告しておく。改めてお礼を言うよ、ありがとう」
とひとりずつ礼を言った。
「……それより、君たちは青蛇の駆除に来たんだって? 入り口が壊れているけど、まだ続けられそうか? 無理そうなら、一緒に街まで帰るが……」
とひとりに提案された。
「いえ、まだやれることがありそうなので、もう少し調べてみます」
と俺は答えた。
「そうか。じゃあ、まあ、無理はしないようにな」
そう言うと、エルフの冒険者4人は街に向かって去っていった。
四人が去ったあと、
「……ピギーの元クラスメイトたち、……馬鹿しかいないの? 」
とマトイに言われた。
「……うぐ。そ、そんなはずはないと思うが……」
と答えるが、自信がない。
「……やりたいように大暴れして後始末をしない。まるで、子ども」とマトイ。
「……うん、まあ、実際、子どもみたいな奴らなんだよ」
「……入り口、壊れた。どうするの? 」
「う~ん、それについては後で考えよう。その前に、始末した青蛇から結晶を取り出そう」
そう言うと、マトイも頷いた。
……
辺りには約100匹の青蛇の死骸が転がっている。
青蛇の心臓は背中辺りにあるから、首を切断しただけの青蛇に関しては綺麗に心臓が採取出来る。
だが、ラージクラブで強引に叩き潰したものに関しては、そのままでは損傷が激しくて心臓が取り出せない。
なので、ずたずたになった青蛇の死骸には、まず死骸として形が整うように、全体に“修理スキル”を当てていく。
(一匹も残らず、結晶を採っていこう……)
(青蛇は危険な魔物だから、貴重な結晶も採れるかもしれない……)
地道に青蛇を拾い集めながら、一匹ずつ修理を当てては、なかから心臓を採取していった。ついでに肝も採取していく。
採れた結晶の数は123個。ランクはAがひとつ、Bが27個、Cが45個、Dが50個だった。
《ボーナス》に関しては以下の通り。
《ボーナス》 毒耐性 ×12
《ボーナス》 スタミナアップ(小)××14
《ボーナス》 ポーション効果上昇 ×3
《ボーナス》 皮剥速度上昇(小) ×2
《ボーナス》 魔術量増加(小) ×32
《ボーナス》 敏捷性アップ(小) ×24
《ボーナス》 マヒ耐性 ×2
《ボーナス》 スタミナアップ(中) ×16
《ボーナス》 調理師スキル上昇(中) ×4
《ボーナス》 皮剥速度上昇(中) ×2
《ボーナス》 敏捷性アップ(中) ×4
《ボーナス》 魔術量増加(中) ×8
普段見かけるもののなかに、効果が(中)のものが混ざっていた。
敏捷性や、魔術量のアップもかなり見込めそうだ。
この辺りはいつもどおりのものだが、Bランクのなかに見たことがないものがいくつか混ざっていた。
《ボーナス》 スキル“毒噴射”獲得
《ボーナス》 スキル“身体硬化”獲得
(毒噴射、身体硬化……? )
(なんだろう、これ……)
(喰うと、毒噴射出来るようになるということか……? )
そして唯一Aランクだった結晶を水晶を使って鑑定すると、
《ボーナス》 スキル“生体反応感知”獲得
と書かれていた。
(生体反応感知……? )
(敵の居場所がわかるということか……? )
現在のステータス
愛称:皮剥のピギー
種族:人間
同伴者:マトイ(忌み子)
所属ギルド:ハングリー・バグ
パーティー名:【子豚】
所持金:金貨42枚、銀貨46枚
所持品:クレイモア、ブロードソード、バタフライナイフ
ラージクラブ
爛れ馬の結晶×15 尻尾×15 胃袋×15 肝×15
不気味花の結晶、花びら×45 雄しべ×45 雌しべ×8
腐り木の結晶×15
青蛇の結晶×123 肝×123
所有スキル:修理士、ポーション生成、調合、魔術フレア
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