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第十三話

「ザ・ムーン!」


 銀色の光線を私は何とかかわした。画面を見ると、ちょうど同じ動きでクロウ君が炊飯器を抱えてリオネちゃんの触手をよけていた。


「炊飯器を抱えて動いてるだけクロウ君のほうがすごいちょき」


 一言多いぞ。だが確かに私には炊飯器を抱えて今の動きができる自信はない。ふんっ、クロウ君は羽で飛べる分だけ有利なのだ。


「でも、クロウ君よけながらちゃんとおにぎり握ってるちょきよー」


 本当だ。しかもめちゃくちゃ早い! 手ができたばかりなのになんでだ? 私の頭脳と同じく天性の才能略して天才なのか?


「火事場の馬鹿力じゃないちょきー?」


 なるほど。


「ザ・デス!」


 アルカナガールはカードから出現させた漆黒の鎌で私に切りかかる。


「それっ! それっ! それっ!」


「オラッ! オラッ! オラッ!」


 計ったように同じ動きで攻撃を仕掛けてくるアルカナガールと画面の向こうのリオネちゃん。なんだかクロウ君とよりお似合いだぞ!? そこはかとなく百合の香りがっ!


「クロウ君のほうが早くかわしてるちょきー」


 リカ、なんてことを言うんだ、これで精いっぱいなのに! というかこれはもしかしてリカの反応まで見越した精神攻撃か!?


「四十五個目、四十六個目、四十七個目――」


 さりげなく順調におにぎり握ってるし、私の立つ瀬が素敵なまでにないぞ!


「まずいわね。このままじゃクロウ君がこっちに来ちゃう! その前に早くこの二人を始末しないと……」


 あー、アルカナガール視点だとそういう展開だったっけな。すっかり忘れていた。


「カードの残り枚数がもう少ないし……こうなったら、ちょっと卑怯だけどあのコンボで行くしかないわね」


 アルカナガールはカードを捨てて鎌を消滅させる。コンボだと!? 非常に不吉な予感がするんだが……。


「一枚目! ザ・ハングド・マン!」


「むっ」


「ちょきっ」


 アルカナガールが右手に持ったカードから金色の光がロープ状に延び、私とリカの四肢を縛る。


「う、動けないっ!?」


 まあ、これぐらいのロープはリカのハサミで――。


「無理だったちょき。ごめんちょき」


 絶体絶命じゃないか! なんで最初のほうに打ったザ・ウィール・オブ・フォーチュンとかいう円形カッターよりこっちの動きを封じるだけのロープのほうが強度が高く設定してあるのかが疑問だが、そんなことに疑問を感じてる場合じゃないぐらいに!


「そして二枚目!」


 アルカナガールがカードに手をかけたその時。


 部屋のドアが開いた。


「大丈夫か!?」


 クロウ君! ナイスタイミングだ!


「待った。とりあえず状況を説明してくれ」


 説明しろと言われても……アルカナガールは一応東宮美結ちゃんなわけだし、今回の件のからくりをばらすのはさすがになー。せっかくここまで頑張ったのに。誰がってクロウ君もリカもそしてもちろんこの私自身も。


 そんな私の心配をよそに、勝手にアルカナガールが代わりに状況説明した。


「私は正義の味方、タロット戦士アルカナガール! いたいけな女子中学生東宮美結ちゃんを誘拐した悪の大幹部の蛇柳蝮之助と運命の対決中なの! ちなみに東宮美結ちゃんは逃げました!」


 いつの間に私は幹部になったんだ!?


「よし、大体わかった」


 嘘だ。今の説明で理解できるはずがない。天才の私でも今の説明では理解できないと思うから。まあ、クロウ君も状況をひっかきまわしたくなかったのだろう。


「まあ、正義の味方さんのほうでも悪の大幹部さんのほうでもいいから、向こうで怪人が一人腹痛で倒れてるから何とかしてやってくれ」


 リオネちゃん、やっぱり五十個は多かったか……。それにしてもわざわざそこまで心配してあげるなんて。


「クロウ君は優しいな」


「……」


 む、なんだリカ。その「もはや何も問うまい」とかいう感じの反応は。


「とにかく、あなたは下がってて! 今この二人を片付けるから」


 クロウ君の話を聞いていたのか君は!?


「おいおい、片付けるってまさか……! やめ――」


「さっきの戦いができるだけのスピードがあるんなら、何とか逃げ切れるわよね?」


 クロウ君が止める間もなく、アルカナガールはもう一枚のカードをかざした。


「二枚目! ザ・ラスト・ジャッジメント!」


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