魔導技師は馬車を作ろうとした
ガタガタと悪路を行く乗合馬車に揺られる事数時間、魔導技師のおっさんはケツの痛みに耐えながら快適な乗り心地のマイ馬車を作ることを決意した。
揺れに耐えること以外はせいぜいなにか妄想するくらいしかやることがないのであるから理想のマイ馬車の構想を練って時間を潰すことにしたのである。
おっさんの専門はゴーレム技術であり、現在ケツの痛みに耐えながら向かっているのも、とある貴族からのゴーレムの修理依頼を受けたからであった。
マイ馬車は単に自分用の快適な馬車というだけではなく自分の技術の宣伝も兼ねるものであるので、ゴーレム馬に牽かせることは早々に決まった。
であるので本題は車体の構造を如何にするかということに絞られるのだが、今回の最大のテーマである快適な乗り心地を実現するためには足回りについて追求すべきであろう。
おっさんは貴族との付き合いもそれなりにあるので、貴族の用いる高級車についても何度か実際に乗せてもらった経験があった。
座席を鎖などで吊り下げたものや、座席と車軸の間に板バネ等を挟んで揺れを軽減するものなど色々あったが、自ら制作するならば新機構のものを開発したいと考えた。
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理想とする快適な乗り心地のための足回り。考えろ、考えろ。
足回り、足、足!そう、足である。専門であるゴーレムの足を用いて車輪と車体を繋いでやれば良いではないか。
ゴーレムの足先に車輪を取り付けて4つの足と車輪を制御すれば悪路だって怖くはない。うむ、なかなか良い考えだ。
ゴーレム技術を使った車体をゴーレム馬が牽く、我が技術の宣伝にもってこい…
ちょっと待て、ゴーレム馬の足と車体の足、別々に作る必要はないのではないか?
どちらもゴーレムの足だ。足先に車輪を付けるよりもそのまま足で歩かせてしまえばゴーレム馬は不要だし、整備箇所が減って良いことづくめじゃないか!
とはいえ、4本足だと車体重量や乗員数的に少々不安だな。足を増やすか。
うーん、最低限6本にして片方の前後2本と逆側の中央1本、計3本の足をワンセットにしてそれを交互に動かせば安定を保って進めるはずだが、
片側を1本で支えるというのはちょっと不安だな。8本か10本が無難かな。これは小型の模型を作って実験したほうが良いな。
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などと考えてから半年後、ついにおっさんは理想のマイ馬車を作り上げたのだが、周囲からの感想は
確かに乗り心地は良いけど、足がキモい
馬も車輪もないのに馬車?
脚が多くて虫っぽい
と、散々なものであったとさ。
出来上がったのは要するに猫バス型ゴーレムです(身も蓋もない)
ベッドとか部屋を設置しちゃえと発展していくと最終形はハウルの動く城になりますw




