新都Ⅲ
愚痴らせていただきたい。
俺はね?この話をね?めっちゃ真剣にね?書いているわけですよ。
しかも情報量は今書いたものの⒈5倍はあったでしょうよ。
え?それをどうしたかって?
全選択時にペーストを押してパーですよ。
え?バカだって?
うるせ〜やい。
ま、つまり今回はもっと長かったんだけど俺のせいで逆に短くなったわけよ。
言いたいことはわかるよね?
ジーンと校長はお蔵入り決定かな
あ、ネタバレしちった
テヘッぺろ
「では本題に入ろう」
そう言うとジーンは肘をももに乗せ、手を組む。
「まずお前らの身元確認なんだが、2人は同じ出身なんだよな」
「えぇ」
そう答えると、少し口籠る。
それもそのはずで、僕はあの村がどこにあるのかわからないのだから。
「それはどこだ?」
その声ととともに僕はアランの方に目を向ける。
僕が目を向けるとその目線に気づいたはいいが、助けを求めていることには気づいていなかった。
まあ、この話を始める前にアランにはあまり話さないようにと言ってあるから、仕方がないだろう。
かつ、僕が知っているあの村についてのことは周りが魔物の森であることぐらいだろう。
でも、僕は村長と顔を合わせる機会が少なくない回数あり、そのいくつかの機会に聞いたことはあるのだ。
この村はどこにあるのか。
この村はなぜ魔物の森に囲まれているのか。
こう言うことは聞いておくべきことだと思って聞いていた。その印象だけは色濃く残っている。
だが、その答えについては覚えていない。
村長がその話題を避けるようにしていたから、答えてもらっていないのだ。
だから僕はあの村についてよく知らない。
よく考えれば僕はもうあの村とは繋がりがないと言うことなんだ。
「ミラン……くん?」
数十秒の間無言を決め込んでいたため、ジーンは不審に思ったのか恐る恐る聞いている。
「あ、いえ。なんでもありません」
「もしかしたら聞いちゃいけないことだったか?」
「…そう言うわけではないんですけど、僕はあの村についてよく知らないようです。このことならアランの方が詳しいかと」
そうしてもう一度僕はアランにアイコンタクトを送る。
次はその意味を理解したようで少しの間手を顎に当てて、考えているようだ。
そしてジーンは僕の言葉を聞くや否や、アランの方に視線を向けていた。
「……周りが魔物の森で囲まれているな」
ん〜。
もしかしたらもしかするかもしれないな。
アランも僕と同じ状態なのかもしれない。
少なくともアランは村長の息子であるはずなのだが、そう言う情報は知らされてこなかったのだろう。
そうじゃなかったらここで地名やらを言うはずだしな。
「それだけ…か?」
ジーンは呆れた顔で聞き返すと、アランはただ首を縦に振った。
「村長の名前だけでも聞いておきます?」
「一応」
そして、クロードという名前を出すと、ジーンは深いため息とともに、それではと言って続けた。
まぁ、周りが魔物の森で囲まれている村にいる村長など知る由などないのだろう。
「じゃあ、次だ。身元証明できるようなものがあるかは知らないが、荷物検査をする。危険物なんてあったらおかえりいただかなきゃいけないからな。それと一緒に、あそこにいた経緯も話してくれ」
そう言ってアランからバッグを渡すように手で指した。
アランは座っているソファーの横にバッグを置いていめ、それを取りジーンに渡す。
その中身を確認するとき、特に反応を見せていたのはやはりと言うべきか、折れた短剣と、周りに装飾の多い新品の短剣だ。
特に問題がないとわかると次々と目の前の机に並べていった。
その間にも僕はあそこまでの経緯を掻い摘んで話す。
「へぇ〜九学か」
一通り話すと、ジーンは九学と言うワードを取った。
「知っているんですか?」
「ん、あぁ。あまりに懐かしかったからな」
やはりジーンは九学について知っているらしい。
あそこにいた男は知らなかったみたいだから、やはり今はもうないといったところなのだろうか。
「九学は今どうなっているんですか?」
「今はもう新都にはない」
「…新都には?」
言葉遊びのようなものだが、これまでいろいろなことを暴露しているジーンだ。
口元の緩さは伊達じゃないだろう。
ま、別にこれは保険でしかないんだがな。
「あぁ。新都にはもうない。今となっちゃ荒廃しきって学園と呼べるものじゃないが、北エリアの郊外に小屋を建ててそこでやってるらしい。あそこなら身元が分からない奴も引き受けてくれるだろうな」
これまでの経緯を話し、僕らが九学に行くと知ったジーンは身元が分からない奴が二学に入ってこなくて心底よかった、というような顔をしていた。
その話をしている最中にもアランの荷物検査はしており、最後のものを机に並べると、もう一度それらを確認し問題がないと判断してバッグにしまった。
そして、次は僕のバッグを調べるべく、手で渡すようにいった。
僕のバッグの中身は極端に少ない。
それはアランのバッグがたくさん入っているように思えるほどだ。
もちろんアランの荷物は全く多いわけではなく、むしろ普通の量であるのだ。
だから僕の検査はものの数十秒で終わるものだろう。
ただし、あのものを見過ごすことはできない筈だ。
ならば僕はジーンの反応に最大限の注意でも払っておこう。
◇
というわけで、僕らは今第二魔術学園の内部に足を踏み入れている。
やはりというべきか、あれの効果は絶大であるらしい。
そして現在は縦に長い廊下をジーン、アラン、僕という順番で進んでいる。
長い廊下と称してはいるが、言ってしまえばここは二学の一番高い建物の最上階層である。
他にも建物があることも意味しているのだが、それがなんの施設なのかはまだ分かっていない。
ともかくこの一番高い建物は本館と言っておくとしておこう。
なぜなら、ここが主に授業を行ったりする教室だというのだ。
そして、ここではA、B、Cクラスというように分かれていて、上に行くにつれてそのクラスが上がって行くらしい。
そして、Aクラスの上に特別クラスが一つあり、その上にこの階層があるということだ。
そしてこの階層はこれから向かう、校長の部屋があるくらいで、他は道となっている。
そしてジーンは今その校長の部屋に連れて行こうとしているわけだ。
その理由は僕のバッグに入っていたあの紙のおかげだ。
あのとき、ジーンに注意を向けていたおかげでその反応を大いに見せてもらい、どのくらいの力を持っているのかもわかった。
なんせ、ジーンがそれを見た瞬間ソファーから飛び上がり、応接間からドアを叩き出て行ったほどなのだ。
あの後は少しの間腹を抱えさせてもらったものだ。
そして、目の前に少し大きめの扉が現れた。
きっとここが校長の部屋なのだろうと思ったところでジーンがノックをした。
「失礼します」
「入ってくれ」
野太い男の声が聞こえ、ジーンを先頭にし僕らは部屋に入って行った。
その部屋は大きすぎるということはないが、1人でいる分には十分な広さを図り、左右には本棚があり正面に校長の座る椅子と机があるくらいである。
そして、本棚には本がびっしりと詰まっており、入りきっていないものは乱雑に積まれている。
「お前らが……」
そう校長が言いかけると横一列に並んびなおした僕らの中からジーンが飛び出した。
「そうらしいです」
「……では、まず、ジーン。あれを見せてくれ」
その言葉をかけるとジーンが手に持った紙を校長の前の机に置いた。
それをまじまじと見つめている時間はそれが本物であるか否かを見ている時間なのだと悟っていた。
「なるほど、本物のようだな」
そうして目線を外した校長だが、その本物だと断言したものというのは僕らの名前や年齢、その他諸々が書かれているもの、加えてキッド=クラナルと書かれた推薦状である。
そして、そのキッド=クラナルという名の横にはある紋章とともに【剣聖】という文字が書かれている。
ちなみに言っておくと、ここでいう文字とはこの世界でいう文字のことだ。
日本語では、ない。
ただし、この素体のおかげなのだろうが全く不自由もせず理解できる。
そして、それが理解できていながら僕はそれを当てつけてやることはできなかった。
なぜなら【剣聖】。それが示すものをその威光を感じていなかったのだから仕方がないというものだろう。
ただし、そうだとしても僕はその【剣聖】たるキッドが魔術師に劣勢であるところを見てきた。
その称号を持つほどにすごいのだとするなら魔術師が苦手であるとは言えまい。
かつ、変わり身だということも斡旋状が本物である時点で考えにくい。
つまり今は何らかの力のせいで力が出せない状況下であるというのが妥当ではあるが、それを確かめるすべすらない。
そうして、僕は視線を校長へと移した。
「では改めて。ようこそ、第二魔術学園の校長、ミチス=グレイラッドがお前らを歓迎しよう」
そしてそう名乗った校長は両手を広げて椅子から立ち上がった。
ただ、その状態を数秒続けるとまた椅子を引き、座り直した。
「まずは名前を改めて聞かせてもらっていいか?」
「ミランです」
「アランだ」
アランのその対応が元に、ジーンは隣にいるアランを横目に睨んでいるようだった。
「そうか。似ているな」
斡旋状にはすでにそれぞれの名前が書かれていたのだからきっとわかっていた上での皮肉なのだろう。
「にしても、ジーンはよくもこんなのを連れてこられたもんだな」
「まぁ、それはサキのせいと言いますか、おかげと言いますか」
「あぁ、なるほどな」
2人の間ではサキというのは共通的な概念らしく、すぐに納得していた。
元第二騎士団団長様はかなり周知の事実として知られているのかもしれない。
まぁ、元第二騎士団団長という肩書きよりも、検査ミスとして知られているような気がするが。
「まぁ、サキのせいというのは置いといても【剣聖】の関係者ってのはまた厄介だぞ?断ることもできまい」
「でも、斡旋状を書かれるくらいの関係があるのならきっと実力はあるでしょう」
「そうではあるだろうな」
なかなかに過大評価をしてもらっているようだが、僕らはそこまで期待できるような器ではないのだ。
なにせ、アランは弓術や剣術に優れていれど、魔法は使えず、僕に置いてはたった一度の魔法の発現しかない。
その【剣聖】の称号がとてもすごいもののようだが、僕らはその関係者足り得るのだろうか。
「ただ、去年とは違うからな。俺も後数年は実力者に執着はしまい」
「そ、それは……」
その言葉を最後にジーンは口籠る。
そうして、校長改めミチス校長はパンッという音とともに手を合わせた。
「では、2人にこれからのことを話そう。まず、知っての通りだと思うが、この二学は実力主義だ」
その言葉で頭にクエスチョンマークを浮かべ、キョトンとしたアランの顔を見たらしいジーンが横槍を入れる。
「はぁ。ミチス校長。こいつらもともと九学に行くつもりでいたらしいので、ここについてはあまり詳しくないんです」
未だに少し意見したげな雰囲気を出していながら、僕らの状況を加味して言ってくれた。
「ん?そんな廃れたところに行こうとしてたのか。なら俺らに見つかってまだよかっただろうな」
校長の口からも廃れていると言うのだから、九学はそこまでのものなのだろう。
「なら最初から説明すると、この第二魔術学園の学園方針が実力主義である、と言うことだ」
「実力主義?」
アランが間髪入れずに疑問を投げかける。
「あぁ。ここに階層でクラスが分かれていると言うのは知っていると思うが、そのクラス分けの方法は結果次第だ。だから貴族や大商人の子息などがはいってくることがあるんだが、そいつらも例外ではない」
「それって貴族の人たちから反感は買わないんですか?」
アランに続き、僕が校長に対し質問を飛ばす。
基本的に貴族がらみの争いというのは些細なことであるという場合がある。
そういうのも貴族らしさと言えるが、ここでの常識がどうであるかは知らない。
「まぁ、そういうのに固執する奴は大体一学に行くからな。でも、度々そういうのが起こることがあってこっちとしては自己責任としか言いようがないんだがな。そういうのを気にしない稀な奴らや、英才教育様々な本当に強い奴らも少なくないからな」
これは基本的にイメージとして同じだと言っていいのだろうか。僕的なもので。
「そんなわけで、いくら貴族様であれど例外はないということだ。きっとそれ以上の王族だとしてもな。それの意味は、わかるな?」
郷に入れば郷に従え。
そんな言葉が頭によぎる。
つまりは、そういうことなのだ。
そういうことというのは校長自身が僕らの力を信じているってことなんだろう。
やはり過大評価じゃないか。
「えぇ、わかりました。でも、少しだけいいですか?」
「なんだ?」
「僕たちを過大評価しすぎですよ」
アランにおいては知るところではないが、僕が考えている限りではそう考えざるおえない。
アランも特に感じるところはないようで、理解はできているようだ。
そうして僕の言葉を受け取っただろう校長は深くため息をついたかと思うと、何を言っているんだというような顔をして「あの【剣聖】だぞ」と小さくぼやき、その言葉がひどく印象に残ったのを覚えている。
◇
ペーストの犯人
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