説明
さて、因縁の近衛兵らしき方へ順番が回ってきた。
別に卑に走ったつもりはないが、あの戦いの結果を思えば
「お願いします」
「ああ、はい」
「私の術を見ていただく前にお願いがあるのですが」
「……何でしょうか」
「そこのお二方をお守りするために、我らを法術の壁で囲っていただきたい」
お二方とは、ドゥーウェお嬢様とハピネの事を言っているのだろう。
それにしても『簑踊り』とはたまげたもんだ。ご丁寧に、被っている革製の兜らしきものは、湿り気を帯びている。というか、服とかも結構湿っているし露出している部分には火傷の痕が見え隠れしている。
俺は祭我に目配せをして、エッケザックスで増幅した光の壁を作ってもらう。
ものすごく丁寧なことに、天井によって蓋までしてある。
光の壁の大きさは結構なものがあり、中でチャンバラをするには少し広いぐらいだった。
その一方で、祭我は物凄く不安そうである。そりゃそうだ、これから広範囲攻撃しますって言ってるに等しいんだから。
「貴殿は……どこまで我らを侮辱すれば気が済むのだ」
「何のことだかわかりませんが、口にするべきではないかと」
光の壁を作れと言われて、そのまま中に納まった俺と『近衛兵に見えない格好をしている人』。
こっちも気を使っているんだから、そんな風に台無しになることを言わないでいただきたい。
「では、私の術理に関しては察しがついているのであろう。なぜそれに応じる」
「別に……大した理由があるわけではありません。私はただ、貴方の剣を見てみたいだけです」
見るまでもないけども、自滅系の技である。
火の魔法で自分ごと俺を焼くとか、そういう技である。
「それに……私にも弟子ができまして、彼らの為にも貴方の為にも、技が形になる前につぶすというのはどうかと思いまして……」
これから何をするにしても、俺が目の前の彼に対して先の先をとれば、そのまま倒せる自信がある。
祭我にやったように、持ち上げて投げればいいだけだ。頭から落とせば、流石に気絶するだろうし。
とはいえ、それはもうやったからあんまり意味がないというか……。
「……弟子、ですか。私にも師がいました、尊敬している師でした。今でも、彼を慕っています」
「そうですか、私も弟子にそうして慕われる師になりたいものです」
「部隊、いえ師の名誉のために、この国最強の剣士である貴方に、なりふり構わぬ勝利を求めて挑みます。その私に対して、貴方はあくまでも余裕を保つというのですか」
言いたいことはわかるが、それじゃあ俺はどうすればいいのだろうか。
彼自身、自分の術理に問題を感じているらしいが、そこを突かないでいると舐めて居ると腹を立てる。
多分、俺が何をしても憎いと思ってしまうのだろう。本人も自覚があるだけにやるせない。
一生懸命貴方を倒す為に必殺技を考えました! 発動までに時間がかかるし、自滅する技です!
そうか、それは大変だったね。私は先制攻撃が得意だけど、技が出るまで待つよ!
それが今の状況である。確かにそれが茶番以外の何物でもないわけで。
とはいえ、あそこまで見事な雷魔法を扱う御仁を、俺は速さ、或いは早さで上回った。
であれば、そっちの方向で対抗するのは無理だと思うだろうさ。
「寝込みを襲うこともなく、こうして試合の場に出て助太刀も無し。それで『なりふり構わぬ』とは不適当でしょう。貴方がこの場で戦いによる勝利を求めているように、私も貴方の奥義を打ち破りたいのです」
観戦している学園長先生の心の中で、止めるべきかという迷いが生まれていた。
その一方で、言葉にすることはなかった。その辺り、心意気を汲んでいるのだろう。
生徒が見るべきではない、危険な魔法を使うつもりなのだから。
「……トーチシャワー」
その魔法を使うと同時に、彼の頭上数センチ上に火の塊が生まれて弾けた。
それは、周囲一帯に『火の粉』をまき散らす魔法だった。もちろん、それなりに肌を焼くような、そんな温度と熱量を持った火の粉である。それも、大量に、自分ごとまき散らしていた。
炎の鎧も、炎の盾も、この世界には存在しない。する意味がない。
しかし、この魔法はそれに近い。俺という剣士に遠距離攻撃の手段がない以上、近寄らせないのが最善だ。そして、自分の周囲を火の粉で満たせば、俺は近づくこともできない。
いいや、この『密室』の中にいるだけで、魔法が当たるだろう。方向性を持たない、立体を埋め尽くす攻撃。
とにかく『一太刀』浴びせたい、そういう攻撃だった。これで俺が死ぬとか、俺に勝てるとか、そういうことは考えていないだろう。
自分が火の粉にまみれても、とにかく俺に『傷』を与えたい。そんな覚悟の魔法だった。多分、相当情けなく思いながら考えたのだろう。
「発想は間違っていません、身を捨てて得なければならない勝利もあるでしょう」
そう、間違っていない。目の前の彼が粛清隊なのか親衛隊なのか、それはわからない。しかし、身を捨てても王の命を守り、王の権威を守らなければならない立場だ。
自分が火傷を負うぐらいで一太刀浴びせられるなら、それは間違っていない。
剣士の剣ではなく、騎士の剣だとは思う。
「しかし……流石にこれはちょっと……」
自滅どころか、自殺級に覚悟していればまた別だった。その場合、流石に止めていたし、そもそも彼が先に死んで、俺が受けに回ることも考えていたのだろう。
「酷い……」
練習している本人も、それなりに火傷をしている程度の魔法だった。
まさに火元、自分の周囲を一番熱くしなければならない彼は、耐えられるぎりぎりのところまで火の粉の温度をキープしている。それでも、自分自身が致命傷になっていない。
そう、これは全方位を埋め続ける魔法であり、瞬間的に発動して終わるものではない。
はっきり言えば、そんなに早くないし、重くもないのだ。
「縮地を警戒し、常に自分の周囲を攻撃で埋め続ける。それは間違っていません。その結果、自分をも攻撃してしまうために、気力と装備で耐えるようにしている。そして、そこで終わっている……火の粉で視界がふさがっており、私の次の攻撃に対処できない」
まるで赤い雪、或いは火山地帯のようだった。
前がまったく見えない、というほどではないが、確実に視界は奪われている。火元の彼はもっとひどいだろう。
「その技は……わかりやすすぎる」
「それでも……! 貴様には、耐えることしか出来まい!」
「そうでもない、といえばどうですかね」
空間を埋め尽くす、火の霧。
しかし、それが術者を中心に拡散する魔法である以上、いきなり密室全体が火の粉で包まれるわけではない。
あくまでも、煙幕が拡散していくように広がってくるのだ。一瞬だけ全体へ攻撃するのではなく、全体を埋め続けなければならないなら、技そのものは重くもないし早くもない。そうでないと、この技は成立しない。
というか無理だ。いくら狭い空間とはいえ床だけを燃やすのではなく、立体の空間の全てを殺傷力で埋め尽くすなど、彼の力を越えている。
あくまでも、俺に火傷を負わせるのが精いっぱいの筈だ。
全身から全方向へ、呼吸するようにゆっくりとペースを保ちながら発勁を繰り返す。
一点から収束して放つのではなく、全身くまなくゆったりとした風を送るぐらいの発勁。
当然威力などないに等しいのだが、そよ風を軽く出して火の粉を軽く押し返すことぐらいはできている。
「熱っ、暑っ」
いや、全然押し返せてない。というか、密室の中を火の粉で満たしているんだから、そりゃあ熱いし暑い。
かろうじて火傷を避けることができているだけだ。
「ぐ……!」
「私の攻撃してくる機を読めず、だからこそ全体を攻撃し続ける技を考えた。ですが……この火の粉の中、貴方の視界は狭まってる。目を開けるのも辛い筈」
「だがこの火の粉の中なら、お前の動きも鈍い筈だ!」
「ええ、それはもちろん」
指向性のある攻撃では、熱や雷であっても俺に回避されてしまう。
だからこそ、薄く広く攻撃する。それは正しいが……。
「しかし……」
「しかし、なんだ!」
機を読める俺に対して、体をこわばらせている。
火の粉が舞っている状況では縮地は使えないし、相手が攻撃をするつもりがない以上、先の先も後の先も取れない。
まあ気功剣で死ぬまでブッ叩く、という単純すぎる結論もあるが、守勢に徹して身構えている相手にそれはないだろう。
「貴方は、精神論に走りすぎた」
俺は右手一本で木刀を振り上げて、そのまま振り下ろす。
ゆったりとした動きではあったのだが、それを目にしてもちゃんと自制している。下手に反撃しようとしたり、或いは受けようともしていない。気合で耐えようとしている。
彼らの必死さを思うと、本当に申し訳なくなってくる。
だが……人間の体は、力み続けることはできない。
「人間の体は、そんなに耐えられませんよ」
相手の顔に、木刀の切っ先を触れさせる。
全身を固くさせて、被弾を覚悟の上で受けようとしている彼に、優しく軽く木刀を当てる。
その柔らかな接触に戸惑う、あるかなしかの一瞬。俺は左手で木刀の柄頭を押した。強めの発勁で木刀を押し、人体の急所、子供には教えられない危険な場所を正確に攻撃したのである。
「サイガ君、壁を解きなさい! 水魔法、早く! 法術使い、急いで!」
俺の攻撃が当たったことを確認してから、学園長先生は的確な判断の下に消火活動に入った。
多分、彼が何をしようとしているのかを見た時点で、その準備をしていたと思われる。
大量の水が降り注ぎ、俺と近衛兵と思われる人を冷やしていた。
「助かりました……」
「もっと早く倒してほしかったわね」
水でぐっしょりと濡れた俺に、近寄ってきた学園長先生が小言を言う。
そりゃそうだ、失敗例を目の前でされれば、教育者としては面白くないだろう。
「ですが、彼はその……というか、呼んだのって」
「まあ私も悪いとは思ったけれども……」
間違いなく、校長先生が彼を呼んだと思われる。近衛兵も校長先生も、王家側だしな。
まあ、こんなバカなことをするとは思っていなかっただろうが。
「……ケガはない?」
「ええ、水で冷やしてもらいましたし、火傷というほどでは……」
学園長先生に診てもらっている俺の事を、ブロワはあたふたしながら見ていた。
お嬢様の傍を離れられない一方で、俺がとても心配な様だった。
レインは、お父さんなら大丈夫だよね、と楽観的な目をしている。もう少し心配してほしいのが親心だった。
「ただそうですね……たたみかけの足りない作戦でしたね」
倒れている近衛兵らしき人を、法術使いが治療していく。
その彼の下には、同僚らしき人が悔し気に集まっていた。彼らも火傷をしているので、多分同じ技を練習していたか、或いは練習に付き合っていたのだろう。
これが無駄な努力だった、と、言わねばなるまい。
「仮に火の粉の外に仲間を置いて、彼らに私を攻撃してもらうとしても、その仲間から叩けばいい話。最終的な勝利に結びつかない以上、それはやはり間違っているのでしょう」
「……雷切!」
俺の説明を聞いて、憎々し気な仲間たち。
あの、身分を隠す努力を最後まで貫きましょうよ。俺の事をそう呼ぶのは、王家寄りの方ばかりと聞いていますぜ。
「一つ確かなことがあるとすれば……私が今まで戦った敵の中で、一番強かった方はとても素晴らしい人でした。彼とは、戦いたくなかった」
「……私の、私達の師がある男に敗れた後隠居を決めた」
その言葉は、濁しているが誰の物かは明白で。
「『まるで、武の神に頭を撫でられたようだった』とな」
武の神って……そもそも、神に対して俺いいイメージがない。
それに、俺も師匠には遠く及ばないわけで。
それを言ったら、たいそう怒られそうである。
「子ども扱いにされたと、人生の全てを否定された気分になったそうだ。最強の剣であり盾、そうあり続けてきた自負が、今では子供の見栄の様に思えてしまうとおっしゃっていた」
「……そうですか」
「私達は今でも、師を尊敬している」
そう言って、応急処置の済んだ方を数人で抱えて、そのまま去っていく。
それを見ると、なんとも申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
そりゃそうだ。もう隠居をする年頃の御老体が、見た目が子供剣士に木刀で完敗したら、トオンの様に考えられるわけもない。
俺は彼を倒すと同時に、人生の晩秋を汚してしまったのだ。
「これも浮世の義理か……」
まあ沈んでばかりもいられない。
彼らが戻り次第、指導を再開するとしよう。
※
既に治療を終えた面々を合わせて、この学校で俺の剣の指導を受けている人たちと、バトラブ、ソペードの面々が揃っていた。
これから今の試合の総括と、改めてトオンと祭我への指導を行わなければならない。
「さて、今回はこうして多くの方にご協力していただいたわけですが……どうでしたかトオン様、祭我様」
あれだけ懇切丁寧に説明をしたのは、この二人に指導をするためである。
この二人が何も学んでくれなければ何の意味もない。いや、もちろん俺と戦った人たちには意味があるんだろうけども。
「素晴らしいな、我が師は。相手の立ち回りを受け入れての戦いに、大器を感じた」
「なんか、チートっていうかTASだった」
トオンはともかく、祭我は失礼だな。TASとはなんだ、せめてRTAといえ。
ただ、言いたいことはわかるし、実際そういう戦い方ではある。
「これから私と戦った方たちを相手に、練習用の布剣を使って、試合をしていただきます。とにかく沢山の人が来ていらっしゃいますから、経験を積んでください」
「そうだな……確かに胸躍る使い手も多かった」
「分かった……俺達も訓練用の布剣でやるんだな?」
「まあこれ以上怪我をしてもつまらないですしね」
なんでもそうだが、とにかく回数である。
精神的に『普通』と思うことが、恐怖や躊躇をなくしていく。
力み強張りは、剣に置いて削ぐべき錆である。
「あ、あの! サンスイ先生!」
「先生は要らないんですが。免許持ってませんし、指導員とかで良いですよ」
「サンスイ指導員みたいに動くには、どうすればいいですか?」
学校の生徒の言葉を聞いて、石も玉も物凄く注目してくる。
そりゃそうだ、俺の見た目は二十前だから、幼少期を含めた上での『短期間』で強くなる修行法があるとでも思ったのだろう。
もちろん、バトラブもソペードもそんなことを思っていないが。
「先に言っておきますが、できなくはありません。程度はともかく」
人間に不可能なことをしているわけではないし、程度はともかく練習すれば可能ではある。
問題は、その『程度』がどこまでかということだ。
「どなたか、私の前に来て、大上段から振り下ろしてくれませんか? もちろん、真剣でも構いませんが」
その言葉を受けて、火傷を負っていた近衛兵が席を真っ先に立った。
そして、殺気を隠さずに剣を上段に構える。
「さて、私は見ての通り無手です。これから彼の上段からの一撃を回避しながら、手刀を頭に当てます」
説明をしているだけなのだが、目の前の近衛兵が何とも言えない顔をしていた。もちろん、その同僚たちもである。お嬢様は愉快そうに笑っているが、いい加減笑い事ではないと分かってほしい。
「どうぞ、殺す気で」
「言われるまでもない!」
近衛兵に選ばれているだけに、その体格はとても立派だった。
見上げる大男が、怒りに震えながら渾身の一撃を叩き込む。
それはとても怖い。怖いが、回避しつつ手刀を当てる。流石に手を伸ばせば、顔に当てることはできる。
「~~~!」
「これを反復して練習すれば、貴方も習得できるでしょう」
「本当ですか?!」
「問題は、これができても何の意味もないということです」
そう言って、俺は近衛兵の方に下がってもらう。
体が震えているが、そこは引き下がってほしい。
改めて、目の前にはこの学校の男子生徒がいる。
俺よりも少し背が高く、その顔は期待に震えていた。
「では私が振り下ろします。ゆっくりやりますから、回避しつつ手刀を当ててください」
「分かりました!」
わざと大きく振りかぶって、振り下ろす。
当然遅いので、目の前の生徒が無駄のある動きをしても回避できる。そして、俺の顔に結構痛い手刀を当てていた。
「これを、早くしていけば!」
「まあ原理としては可能です。ただし……」
もう一度実演する。
今度は軽く動かして、フェイントを入れる。
びく、びく、と体が動いて、結局本命には対処できず当たった。
まあ、緊張感が切れるタイミングを計っていただけなのだが。
「ずるい……」
「死んだ後に言える言葉ではありませんね。とにかく、演武や型稽古をしているわけで無し、相手が呼吸を合わせてくれるわけもなく、ただ上段から振り下ろす時でもこうやって簡単に機をずらすことは可能です。なにより、機を待っていれば、背中から刺されることもある」
要は程度の問題である。できることと使えること、実戦で使用できることはまた別なのだ。
「別に何に限った話ではありません。まず練習して、一回でもできるようになる。次に調子が良ければ何度でも成功できるようになり、どんな時でも成功できるようになり、特に意識しなくてもできるようになる。ここまでやって、ようやく……道場での演武の域になる。実戦で試すには、余りにも低い技量です」
こんなことを俺の様な子供が言えば怒るだろうが、実際やって見せたこともあって誰もが黙って聞いている。
「仮に私が木刀ではなく真剣を持っていたならば。貴方は、今の様に回避できますか?」
「む、無理かな……」
「そう、例え長さが同じでも、例え重さが同じでも、真剣という武器に対する恐怖が普段通りの動作をさせなくする。つまり、真剣を相手に同じことができるようになるには、やはり危険と経験が必要になる。これにも同じ段階があります。つまり、一度できるようになる、何度も成功する、集中すればできるようになる、普通にできるようになる、意識しなくてもできるようになる。そこまでやって、一対一である程度の相手に使えるようになる。とはいえ、大上段からの見切りは比較的容易ですからね。あらゆる構えに対抗できなければ意味はないわけですから」
バトラブとソペードの面々以外の全員が、理屈はわかるが納得しかねるという顔だった。
確かに、俺の見た目では説得力がない。
「実戦、つまり戦争で今の事ができるようになるには……視野の広さも含めていくつもの段階を越えて、それでようやくといえます。そうでないなら、普通に戦った方が早いし確実です」
「サンスイ指導員はそれができるんですか?」
「先ほどお見せした通りです。仮にこの場の全員を相手にしても、この木刀一本で叩き伏せる自信があります」
近衛兵からの視線が痛い。学園長先生からの目線が怖い。お嬢様、笑わないでください。
「まあそんな私もまだまだ自分に納得がいっていません。少なくとも私の師匠であるスイボクには、遠く及ばないと言っていいでしょう。とはいえ、機を己の物として『先の先』や『後の先』を取ることを、どこにいる誰を相手にしても、何人が相手でも可能にする。それは体現できているつもりです」
まあ五百年修行していれば誰でもできることではある。
俺にとっての課題は、少なくともトオンにはそれをちゃんとできるように指導しなければならないということだった。
「貴方がどこの段階まで己を磨くのか、それは自分で決めてください」
さて、前置きが長くなってしまった。目標は提示し、意義は示した。後は反復練習あるのみである。
「ではお待たせしました、トオン様、祭我様。訓練用の剣を用いて、気を楽にして戦ってください。大事なことは真剣に楽しむことです」