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心の声

作者: ねぎとろ丼

 頼む、お前の言う事は何だって聞いてきた。

 だから俺を解放してくれ。

 もうお前のいいなりになってるのは嫌なんだ。


 頼む、お前の言う事は何だって聞いてきた。

 だから俺を解放しれくれ。


 薄汚れた部屋の中で、お前と一緒にすごした人生。

 決して悪いもんじゃなかったさ。

 でももうお前のいいなりになってるのは嫌なんだ。

 だから俺を解放してくれ。


 気づけばいつも、俺はお前の思うとおりに生きてきた。

 何だってした。お前のためだった。

 だから頼む、俺を解放してくれ。


 終わりが見えない道の先。

 暗い夜道を歩いていくようで、俺の背筋は凍りつくばかりだ。

 この先に何があるんだ?

 誰も俺の質問には答えてくれない。


 生きているだけで何が得られるのか。

 俺はいつもそれだけが疑問だった。

 馬鹿みたいに毎日同じことの繰り返し。

 その中で笑っている奴等を見ると反吐が出た。


 生きているのか。生かされているのか。

 答えを求めて進んできたけど、もう限界だ。

 

 だから頼む、もう俺を解放してくれ。


 気づけばいつだって、絶望が俺を待っていた。

 希望もなければ、未来もない。

 待っているのはあの暗い道の先にある、いつもの何かだ。


 だから頼む、もう俺を解放してくれ。


 鎖につながれたまま、鉄の檻の中で飼いならされちまった魂。

 傷つきながらももがき続けて、気づけばもう立ち上がる気力さえもない。


 だから頼む、もう俺を開放してくれ。


 幸せなんていらない。喜びなんていらない。

 欲しいのはただ、安らぎだ。

 荒れ狂う心の中で、俺はいつも思ってきた。

 この人生に何の意味があるのか?

 いや、意味なんてない。

 意味なんて求めるから苦しいのかも知れない。


 他者に押し付けられた価値観が、俺の全てを蝕んでいく。

 自由にしてくれ。もう限界なんだ。

 頼む、俺を解放してくれ。


 学歴?仕事?恋愛?生活?お金?

 聞いたことのある言葉ばかりが、空気の中に漂っている。

 どこにいたってそれからは逃げられはしない。

 頼む、もう俺をほっといてくれ。

 俺はもう限界なんだ。

 

 今までの長い道のりの中で、いったい俺は何を手に入れてきたんだ?

 自分に問いかけても、何も帰ってはこない。

 何も持ってはいないからだ。

 

 俺の人生どこで狂っちまった?いや、最初から狂ってたのかも知れない。

 もう限界だ。だから頼む。俺を解放してくれ。


 お前とはもうこれっきりにしたい。

 俺はお前をもう見たくは無いんだ。


 お前が俺で、俺がお前なのは判っている。

 だからもう終わりにしよう。

 これっきりにしよう。


 頼む、俺をこの世界から解放してくれ……

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