幕間
暗い。暗い。暗い。
なにも――見えない。
自分がどうなってるかも、自分がなんなのかも、なにも見えないし知らない。
これからどうなるかも知らないしこれからがあるのかも知らない。
心も失くし、瞳の色も失くし、生きる意味もわからない。
その瞳には広がる混沌を映す。あるはずのない、霧のような悪夢を。
そして過去を映す。夕張の赤く染まる空に、墨のように真っ黒の世界が広がる。
「……」
その時、どうしたのか、どう思ったのか……それは、
「……こわ、い…?」
反射したように言葉となり空気に消える。
そう怖い。なにもかもが。広がる黒も、赤く染まる空も、この状況の今さえも……。
すべてが、自分と周りに起こることのすべてが怖い。
「……そう。こわいんだ」
そう呟いた。
その時――
『じゃあ助けてあげる』
――だれ?
声が頭に響いた。
それは突然で。
それに問う。
『ボク?ボクは君の見方さ』
――みかた?
『そう、見方。ボクが君をそのなにもない寂しい牢屋から連れ出してあげるよ』
――どうやって?
『簡単さ』
段々と声は近付いて来た気がした。
言葉は失ったはずなのに、その声を聞いてると、なぜか言葉が出て来る。
不思議だった。
「――“魔法”を使うのさ」
そして自分を囲っていた壁が、光の扉によって崩された。