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SADIST―サディスト―  作者: 火火王珠
2/4

幕間

視界は暗く、闇に包まれている。

光が一寸も入って来ない密閉された空間。

感覚もなくなりつつある神経ももうすぐ朽ちる。

夢も、希望もない。絶望ですらない。

自分さえ誰だかもわからなくなる。

ここがどこだかもわからなくなる。

もはや自分が存在してるのかも――。


「…………」


声は出ない。出そうとも思えない。

思考する回路が壊れ、理性も壊れ、感情も壊れる。

死も生もない空間で一生を過ごすのだろうか。

なにも映らない瞳で上を見上げる。

黒。

その一文字で埋め尽くされていた。

力を抜くとこくん、とかぶりが項垂れ、黒く長い髪がひらりと揺れる。

自分の髪が目につく。


「……あ」


その日初めて声を出した。

長く黒い髪見詰め思い浮かんだことが一つあった。


「……おに、……ぃ、…ちゃ…」


声にもならない声で呟く。

のどは潰れたようで声が出ない。

もう出す力もない。

黒髪の少女はそこで力尽きて気を失った。



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