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幕間
視界は暗く、闇に包まれている。
光が一寸も入って来ない密閉された空間。
感覚もなくなりつつある神経ももうすぐ朽ちる。
夢も、希望もない。絶望ですらない。
自分さえ誰だかもわからなくなる。
ここがどこだかもわからなくなる。
もはや自分が存在してるのかも――。
「…………」
声は出ない。出そうとも思えない。
思考する回路が壊れ、理性も壊れ、感情も壊れる。
死も生もない空間で一生を過ごすのだろうか。
なにも映らない瞳で上を見上げる。
黒。
その一文字で埋め尽くされていた。
力を抜くとこくん、とかぶりが項垂れ、黒く長い髪がひらりと揺れる。
自分の髪が目につく。
「……あ」
その日初めて声を出した。
長く黒い髪見詰め思い浮かんだことが一つあった。
「……おに、……ぃ、…ちゃ…」
声にもならない声で呟く。
のどは潰れたようで声が出ない。
もう出す力もない。
黒髪の少女はそこで力尽きて気を失った。