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お見合い

 ここは仲野病院にあるカフェです。

「えーーーー。」と私が驚きます。

「ホントですか。」

「こら、ここは病院だ。大きな声をだすな。」

「おまえ達の結婚は障害が多い。そこで、奇策を使うんだ。」

「ても・・私はそんなことできません。」

「ぼくも・・旅行だなんて」

「結構、貞操感が堅いんだな。ほんとに婚前交渉をするんじゃ無いんだ。なんならば、シングルを2つとってもいい。同じ部屋に泊まったかのように、親戚一同に言うだけでいい。但し、性別は一切言わずに、友達同士旅行であるかのように知らせるんだよ。」

「え?どうしてそんなことを。」

「その後に、釣書を作り、見合いを実行する。そこで、男とわかる訳だ。しかも、その相手とは既に1泊旅行をしている相手であると言うわけだ。お互い好き合っており、外泊済みであること親戚一同は知っている。はたからみれば、婚前交渉があったと思うだろ。そんな相手を反対できるか?」


 数日後の事です。主人と私は、1枚の写真をみせてもらいました。そこには、男装をした主人が写っていました。短くまとめられた髪の毛、眉筆ペンシルで太く描かれた眉毛、膨らみ少ない胸、背広をゆったりと決めたちょっと女性ぽいハンサムガイです。

「うーん。やっぱり、女性ぽいわね。」

「これ苦労してんだぜ。さらしを巻いておっぱいをつぶし、腹にタオルを巻いてウエストを太くして、まつげも切ったんだ。肩パットも入れている。」

 そう言って笑う主人は、ショートヘアにでイアリングをつけ、細い眉、アイライン、アイシャドウと、ばっちり化粧しています。確かに別人のようです。

 しかし、つくづく、腹の立つ体型です。おっぱいをつぶす? そうそう、つぶすおっぱいあるか!


「いやあ、今井先生から清原さんの釣書を受け取ったときはぶったまげたぞ。なんて、好タイミングだ。清原さんの両親もいろいろ苦労しているんだな。」

「へへへ」と私は笑うしかありません。

「ウソみたいな話でずね。」

「実は清原家と日下部家をどう繋ごうかと困っていたんだ。こんな偶然はそう無いぞ。やっぱり、結ばれる運命にあったんだな。」

「本当ですね。」と納得する主人です。

「では、この写真と日下部さんの釣書を今井先生にお渡し願います。」

 主人は私の写真と釣書をもち、二人で診察室をでました。


 二人が出た後、看護婦さんがいいました。

「へえ、こんな偶然ってあるですね。すごい。」

 来栖先生はたばこをふかしつつうすら笑いをしていいました。

「ふん、そんな偶然あるか。京都大学病院の今井先輩に、患者に清原の親父がいないか調べてもらったんだ。そしたら、通院履歴があった。住所まで確認して、年頃の娘がいないかと声をかけてもらったんだよ。」

「そこまで、したんですか。いいんですか、そんなことをして。」

「違法かもしれんなあ。」

「それに、今井先生って、産婦人科でなかったですか?」

「そうだよ。清原さんは別先生の患者さ。あいつらを結婚させるのに手段を選んでいられるか。」

 うーん、すごい、策師です。そして、すごい、執念です。しかし、この今井先生は、来栖先生の言うことを良く聞いてますね。きっと、何かあるのでしょう。


 ここは、私の実家です。私の母は、父親が持って帰ったお見合い写真を眺めています。昔、父は京都大学病院に通院していたことがありました。その時の先生を通じて、今井という先生からいい話があるといって写真を渡されたといいいます。何でも、知り合いの大阪の病院の先生からの話だそうです。

「ふーん。病院の先生の紹介ねえ。大学院卒で製薬会社勤務ね。優秀なのね。」

「すごいでしょ。」と私はにこにこしていいました。

「あんたも乗り気なんて、めずらしいわね。日下部拓也、19XX年7月、あんたの4つ年上なのね。ん? 日下部?最近、よく一緒に出かけている女の人の名前は、日下部というんじゃなかった。」

「そうよ。19XX年年7月、私の4つ年上、相性もぴったり!」

「ちょっと、待って、あの女の人と生年月日が一緒・・・・まさか、日下部さんというのこの人なの!そういえば顔もそっくりじゃない。双子?」

「双子じゃないわ。そっくりなのは、当たり前よ。本人だもの。」

「えーー。この人は女でしょ。化粧して、スカート履いて、おっぱいも大きい。オカマだったの!」

 そう言って、旅行で主人と一緒にいった写真を指さしています。

「おかまじゃないもん。女の体をした男。有馬温泉でしっかりと男の証をみせてもらったもん。」

「え?そう言えば、あんた、先日、あの人と有馬へ一泊旅行へ行ったわね。」

「えーえ、じゃあ。あんた男の人とお泊まりしたわけ!?」

「部屋は別だったし、食事を一緒にし、日下部さんの部屋で裸をみせてもらっただけだもの。」

「男の人の裸をみたの? なんていやらしい。結婚前の娘のすることですか!男女2人で泊まるなんて!」

「何よ!今さら、泊まって良いと言ったじゃない。」

「男だと解っていたら許す訳ないじゃない。」

「ふん!聞かなかっただけよ。」

 大事に大事に育てた箱入り娘、怒り心頭です。大変躾が厳しく無断外泊なんてもっての他です。


「え!本当なのか。これは今井先生が持ってきた話だ。そんなオカマの話をもってくるか?」

「釣書に女装が趣味ですと書く人はいないからね。」

「それよりも、問題は、おばさんにはもう見せているのよ。この写真と釣書だけをね。しかも、その相手とお泊まりしたと話しているの。」

「えーえ。じゃあ・・」

「おばさんには、この見合い相手と恋愛関係で、既にお泊まりまでしたことになっているの。ずるいことに、スカートをはいた写真は一切見せずにね。」

「普通の男だと思っているか・・」

「ええ、大阪大学修士卒、一流の大手の東亜製薬勤務、ハンサムと断る理由がないじゃない。一見するとこんないい話は無いんじゃない。」

「あいつは、もう、29だ。もっといい話もあったんだが、断りよって。」

「でも、千香があの人から電話かかって来たときの顔を見た?遊びに行くときの覚えている?」

「日下部さんのことを話すときのうれしそうな顔たらなかったな。」

「まずは、本人と会ってみない?それから、その両親とも。」

「そうだな。写真だけだとな。」

 結局、子供が幸せならはいいのではないかと納得した両親でした。


 ここは、主人の家です。もちろん、例の倉庫の2階です。主人がまさに出ようとすると電話がかかってきました。

「おお、日下部か。来週の診察の時間なんだが、ちょっと、時間の変更をしてもらえないか。」

「たぶん、いいですよ。これから、京都の西禅寺行くんで、後で予定を確認してみます。」

「え?京都の西禅寺だと。彼女の実家の近くか。なんでそんなところに行くんだ。」

「今から、千香の両親と会うんですよ。あっ、時間がないんで、また後で。」

「あっ、こらばか、まだ早いぞ。ああ、切れた。」

「先生、次の患者さんが!」

「やばいなあ。見合いを急ぐか・・」

「先生、患者さんですよ。おーい。もどってこーい。」

「うーん。しかし、なあ。心配だな・・」


 主人は、いつもの格好でした。すらりとした長い足、短くまとめられた髪もきれいです。薄い化粧ですがばっちりとメイクをしています。黒のスーツに黒のロングパンツで、靴もいつものハイヒールでした。白のブラウスのボタンははち切れんばかりです。

 父、母と私の3人がやってきました。家が近いのでバスで一駅ほどです。歩いても遠くはありません。

「清原義三です。こちらが妻の加奈子です。」とお父さんが挨拶しました。緊張しているのか怖い顔をしています。

「初めまして、日下部拓也です。」と主人はにこりとして挨拶しました。

「お待たせしてすみません。お父さんが用意に手間取って・・」

「なにを言うとる。わしはやな。」

「ほんまに美人やなあ。」

「男ですから、ハンサムと言ってください。」

「きれいに、化粧しててよう言うわ。」

「ははは、そうですね。」

「うちの子にも化粧の仕方教えてやって。この子はほとんどせえへんのや。」

「ちゃうで、ちゃんとしているで。」

 なんか、うまく打ち解けたみたいです。安心しました。


 主人は大きなカメラを持っており、父がしきりにその事を聞いていました。

「オートフォーカスかあ。」

「ピントを合わせてくれるので便利ですよ。」

「下のヤツはなんや。」

「これは、オートローディングといって、フィルムを自動で巻き上げるんですよ。」

「ほう、最新型だな。」

「そうでもないですけど。」

「昔なあ。会社ではなあ。」

「はいはい。」

 会長を相手にしていた主人は、こんな相手をするのが得意です。


 主人とお父さんが楽しそうに話しているのを見て、お母さんが私にいいました。

「ほんまに、タカラヅカみたいやな。」

「男装の麗人って意味?」

 まあ、確かに、モデル並です。もったいないことに、本人は嫌がってますが・・


 次は私です。主人の腕にだきついて、話をしていました。ほほえましかったそうです。お母さんは、こりゃ、だめだわと確信したそうです。お母さんがお父さんに言っていました。

「晩ご飯食べにきてもらわない?」

「うん、そうだな・・」


「お父様、是非、千香さんを僕の嫁にください。」

「だれが、おまえみたいな。オカマ野郎にかわいい千香をやるもんか。」

「そんなことを言わないでください!幸せにしますから。」

「オカマの言うことが信用できるか。この変態野郎!」

「お父さん、なんてことを言うの。日下部さんは女になりたくてなったんじゃないんですよ。」

「こんな体ですが、千香さんを不幸にはさせません!」

「ばかやろう!おまえと結婚することが不幸なんだ。さっさっと出て行け。」

「・・・・」

 このようになることを想像していたのですが、そうなりませんでした。


 主人は今、私の実家の台所です。私、今、ヒマです。

「ねぇ、簡単でしょ。」

「ほんま、こりゃいいわ。誰にならったの。」

「創作です。」

「すごいわね。それに、手際がいいわねぇ。」

「女性秘書になるとき、女性化研修の名の下に、料理教室まで行かされましてねぇ。」

「千香なんて、何もできないのよ。ぜひ、嫁に来て。」

「お母さん、そりゃ。違うでしょ。せめて、婿と言ってください。」

「はは、ごめんなさい。」

「おい、何をしている。酒がカンできたぞ。さっきの続きがあるんだ。」

「ああ、お父さんすみません。」

「あんた、酒のあてを日下部さんと作っているじゃないの。ちょっとまちなさいよ。」

 なんか、めちゃくちゃ気に入ったみたいです。私を放置して、夫婦で取り合っています。私、今、ヒマです。


 ここは大学病院です。来栖先生が喫煙待合室でたばこを吸っています。自分の病院なら平気で加えたばこしていますが、ここはよその病院だから遠慮しているようです。エスカレータをめがねをかけた細身の偉そうな白衣を着た医者が降りてきました。来栖先生の先輩の今井医師です。大学で胎児発生学の研究をしています。

「来栖か。待たせたな。教授会が長引いてな。」

「いやぁ。久しぶりだな。くくく、京都大学の今井教授というから誰かと思えば、きさまだったとはな。」

 今井先生は苦笑いをしています。なにやら、来栖先生に弱みを握られているようです。

「くそ。あまえの頼みとわかっていたら、即、断ったのにな。」

「まあまあ、結果はどうだった。」とにこやかに言う来栖先生です。

「おまえの持ってきた6つの細胞の遺伝子を比較したが、2名分の性別違いの類似した遺伝子があるだけだった。兄弟か2卵生双生児というところか?」

「そうか。ところが、これが一人の人間の異なる場所から採取した細胞だから驚きなんだ。」

「ほんとか? そうだとしたら、キラメだな。2卵生双生児のキラメだな。おまえ、まさか・・」と今井先生が驚きます。

「そんなことしてないよ。突然、女に変身し始めた男の原因を調べるためさ。細胞の置換が起こっているのではないかと踏んで調べてもらったんだ。」

「細胞の置換? そんなことあるのか。」

「もっと、詳しく、今度は分布を調べたいんだが、できるか?」

「どこくらいの個数だ?」

「百献体ぐらいかな。」と来栖先生が笑いつついいます。

「馬鹿なことをいうな。DNA解析にどれだれ手間暇がかかると思っているんだ。」と怒ります。

「性別判定だけなんだがなんとかならないか。」

「ホルモンとか酵素とかないのか。」

「細胞レベルでそんなのあるか。」

「そうだ。昔、羊水細胞を検査する器械があったろう。」

「ああ、10献体1辺に調べるのがあったな。試作品で100献体まで拡張してた。しかし、需要が無いんで開発中止となったはずだ。」

「ここに需要があった訳だ。なあ。たのむよ。」

「わかった。ところで、一回ではすまないよな。どうせ、時間的推移も調べるとかいうんだろう。」と渋顔の今井先生です。

「当然だ。なかなか、協力的になってきたじゃないか。」

 今井先生は苦虫をつぶした顔で受けていました。


 ここは、来栖先生の診察室です。

「え?両親に気に入られたって。」と来栖先生が驚いていいます。

「ええ、嫁にほしいとまでいわれていました。」

「ひどいと思いませんか。婿なら解りますが、嫁ですよ。」という主人です。

「まあ、それはよかった。全く、肝をひやしたぞ。」

「先生たら、あの後、診察も心配して上の空だったんですよ。」という看護婦さんです。

「今日、来てもらったのは他でもない。貴様の女性化の原因だ。この考えかたが正しいとすれば、お前の変身は遺伝しないだろうと思う。」


 来栖先生の解説が始まりました。

「キメラと言うのを知っているか。キマイラとも言うが、異なる遺伝情報を持つ細胞が合体して一つの個体をなしていることを言う。例えば、白ネズミの胚の細胞と黒ネズミの胚の細胞を混ぜ合わせ、大人にまですると白黒の斑ネズミつくることができる。体ある部分は黒ネズミの遺伝子をもち、別の部分は白ネズミの遺伝子をもったキメラネズミができる。胚は免疫機構を持たない故できる芸当だ。」


「そこで、今回、君の細胞を調べたところ、女細胞と男細胞の2種類の細胞が混在していることがわかった。まさに、キメラだった訳だ。さらにその分布を調べたところ、表層部分は女細胞、生殖器と内臓部分は男細胞という分布をしていることが解った。女の着ぐるみを着た男みたいなものだ。」


「この女細胞がどこから来たのかは解らない。長年、男のふりをして徐々に勢力拡大をし、子宮の成熟を転機に、血中の女性ホルモン量が増え、それに反応した女細胞が一気に活性化したようだ。女性としての2次成長の変化を起こした。」


「ところが、実際の血中の女性ホルモン量は、そんなに増えてはいない。そのため、男細胞の部分は至って元気なままということになっている。どうも、女細胞と男細胞とにホルモンに対する感受性が極端に違うんだようなのだ。」


「ともかく、陰茎から陰嚢という生殖を司る部分は至って正常な反応をしている細胞と見られる。しかも、これから判断して、女性化は遺伝的なものでないことが結論づけられる。それゆえ、医学的に見て結婚を妨げる理由は見当たらない。」


「とういことで、次は、お見合いへ進もう。善は急げと言うが、どうだ、2週間後ということでどうだ。場所は、ここ、日下部の体の説明も兼ねる。」

「えーーえ!」

「えーーえ。」


 ここは仲野病院のロビーです。

包帯だらけの松葉杖男が歩いています。その男がぎょっと言う顔しています。

(こんなところで何を・・)

お見舞いの人としゃべっていた、点滴パックをぶら下げた女性も驚いています。

(なに?この人たちは・・)


 そこには、きちんとした身なりに整えた私達3人が診察室前の長いすに座っていました。お父さんはモーニング、母親に至っては礼服に花のコラージュまで付けています。

「なんでこんなところでお会いなの。」

「そんなこと言われたって・」


 主人は上下スーツに、スニーカーと素顔です。後ろにいるのはジャケットを着たお父さんとスーツ姿のお母さんです。

「ひやー、こんなところとはな。」

「お医者さんの紹介だからね。」


 診察室のドアが開きました。看護婦さんが驚いて叫びます。

「先生、大変です。皆さん、おそろいですよ。」


 もうすでに挨拶が始まっていました。ダンディな白髪のおじいさんが主人の父でした。今は少しやたそうですが、おなかはぷっくりとしています。お母さんはちょっとでっぷりとした優しそうなおばさんでした。

「日下部拓夫です。」

「今日は、どうも、日下部智子です。遠くからわざわざありがとうございます。」

 大きく頭を下げて挨拶をしているのは、うちの母です。ほっそりしておりね黒のワンピースでした。父は不機嫌に立っていました。緊張するとこんな風になるんです。怒っているではありません。

「いえいえ、うちの千香のためにすみませんねえ。母の清原加奈子です。こちらが主人の清原義三です。」

 父が今井先生の姿を見つけました。父の顔に笑顔がもどりました。今井先生は、来栖先生の診察室にいました。

「今井先生!」

「あれが、今井先生?」と私が聞ききました。

「そうだ。京大の医学部助教授でガンのオーソリィテイだ。」

 うーん。確か、医学部の産婦人科で発生学やっているはずですが、そんなこまかいことはいいでしょ。父にとっては京都大学医学部の偉い先生なのですから・・


 全員、来栖先生の診察室に入りました。母親同士はもういろいろと話し込んでいます。私を含めた5人は、パイプ椅子に座るようにいわれました。来栖先生が、スライドにスイッチをいれます。

「初めまして、日下部拓也の主治医をしている来栖美香です。」

 

「今日は、これから日下部拓也の体がどんな状態なのか。CTやレントゲン、血液分析の結果を交えまして、医学的観点から説明させてい頂きます。」


 一方、主人は衝立のの後ろによばれます。そこには今井先生がいました。

「君が日下部君か。おおきなおっぱいだ。確かにどう見ても女だな。」

「はあ。」

「今井先生は、細胞分析をお願いしたんですよ。」

「無理矢理だけれどな。」

「そうなんですか。」

「さてと、いつものように素っ裸になって、こいつを着て下さい。」

「はい。解りました。」

 主人はなんの疑いもなく、裸になり診察着に着替えます。

「はい。ではそこの診察台にお座り下さい。」

「はあい。」

「マスクつけますか?」

「ん?」


「以上が日下部拓也の体についてです。次は、女性だけこちらに来て下さい。」

「え?先生、何するの?」

「いつものように、股をオッ広げて、性器を見せろ。」

 部屋に入るなり、足を持ちか上げて縛り付けます。診察台というのは、妊婦用の両足を胸より高く上げて固定する椅子なのです。

「エー、これお見合いでしょ。何で僕がこんなことをしないといけないの。」

「やかましい。おっぱいもだせ。」と言って、診察着の胸をはだけてされました。

 来栖先生はいつものように、マスクを付けゴム手袋をはめて、アルコールで殺菌します。

「ごらんのように、バストは91の巨乳です。ここが説明した女性細胞の部分です。」

 そう言って、主人の巨乳を下から持ち上げて見せます。

「一方、股間の方は、ご主人がおもちのものと同じ陰茎がこうあります。但し、普通、ここにぶら下がっている睾丸、俗に言うキン玉は体の中にあります。ここあたりが男性細胞の部分です。皮膚の色合いの違いがわかりますか。」

 そう言って、巧みに、おちんちんを刺激します。主人のナニはたちまち太く大きくなりそそり立ちました。

「ごらんのように、男性のとしての機能は十分です。」

 そして、そいとがそそり立つとその下の裂け目が見えてきました。大陰唇という子宮へ続く割れ目です。来栖先生は指でそれをそれをそっと広げて見せます。

「こちらが、あなた方も持っている例のアレです。奥には子宮があります。」


 どうして、女性限定なのかは、今井先生が解説してくれました。

「女方が冷静に見られるからね。男性諸君はがまんしてくれたまえ。」


 翌日の私の実家です。父親は主人の写真と釣書を眺めて考え込んでいます。私は母と昨日の見合いの話をしていました。

「いやぁ。病院でお見合いとはね。」

「あんなの、初めてやわ。他の患者さんが何事かという目で見てたで。」

「向こうの両親さんもいい人みたいでよかったわ。」

「日下部さんのナニを見せられたときは、びっくり、自分ののもあんなふうになっているの。」

「そうそう。あんまりみないからね。」

 突然、お父さんか会話に割り込んで来ました。

「結納はいつだ。婚約式はするのか?」

「え?」

「その前に、式場と式の日取りが先か。いつだ。」

「そんな。」

「お前のことだろ!さっさと決めてこんか!」

 見合いが終わったばかりなのに、もう、お父さんの中では、結婚をするしないは飛び越えて、結婚式をどうやるかに思いがすすんでいるようです。


なんとか両親を説得することに成功したようですね。次は、婚約、結納、披露宴に進みます。男の中の男ですから只ではすみません。

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