知らない事が沢山あってもいいよね?
遅筆でごめんです。
「ム、では行ってくる。」
「はい、道中御気を付け下さいませ、旦那様。」
「レイちゃん、何かあったらパメラにねぇ。」
「うん、わかった。」
「…ちちうえ!ははうえ!早く行こうよ!」
「ム、そう急かすなルアズ、パメラ何かあったら、すぐ連絡を入れてくれ。」
「かしこまりました。」
「ム、では行こうか。」
「いってりゃっしゃーい。」
と、小さな腕を、ふりふりと振りながら、ボクは見送りをする。
あれから朝食を食べ終えて、すぐに両親と兄は学術院へとやらに向かって行ったのだ、話によると、学術院へは昼前に到着し、入学式を済ませたあと親睦会よろしくで、食事会が開かれるらしい。
学術院の説明会は、その次の日に、とのことだ。
……今のボクには関係が無いので、正直言って興味が湧かないのだがね。
「さ、レイお嬢様、伊吹の月とは言え、まだ四綴れの早朝です、お身体が冷えてはいけませんので、そろそろ中に戻りましょうか。」
今の今までは、ボクの野望は実行するチャンスが無かった。
なぜなら、パメラさんが、ボクのお世話係の為に、基本的にボクの周囲から離れることがなく、他の仕事で居なくなる時は、母か父のどちらかが、そばに居てくれていたため、怪しげな行動は、すぐに止められるからだ。
だが、暫くは両親が不在の為、パメラさんが仕事をしている間、ボクは1人きりになれるのだよ!…フフフフフ、フヒヒヒヒ、フハハハハハハハハ!?
「レイお嬢様。」
「えっ?」
「…、伊吹の月とは言え、まだ、お寒う御座います、お身体が冷えてしまいますので、もうお屋敷の方へ戻りましょう。」
「あ、うん、そーだね。」
肩に手を置かれ、思考が現実に戻ってくる、声は出していないが肩が震えていたようだ。
もし声まで出ていたらと思うと……、耳まで真っ赤になるね!
ふぅ、一応一人きりになれると言っても、同じ屋敷内なのだから作戦実行中にバレては意味がない。
なので布石を敷いておこうかね。
「ぱめらしゃん。」
「はい、何で御座いましょう?レイお嬢様。」
「おねがいが、ありゅの、きーてくれりゅ?」
「私がレイお嬢様のお願いを、聞かなかった事は無いでしょう?
何でも仰って下さいませ。」
「うんとね、ボクおひるに、かぼぶれん〈橙色をしたカブのような野菜で、梨と人参を合わせたような味、ちなみに生食用〉がたべたいな…。」
「カボブレンですか?」
「うん。」
「ですがカボブレンは静寂の月に旬の野菜ですので、月外れの今は質が良いのはあまり無いかと思われますが………。」
うん、わかってる、わかっているのだよパメラさん、時間稼ぎに言ってるのだからね。
うーん、ちょっと賭に出てみるかな?
「…じゃあ、がまんしゅりゅね。」
「いえ!そのような意味で言ったのでは御座いません、月外れですので、味の期待があまり出来ない可能性があるかもしれません、との意味で言ったのです。
私が言葉足らずなため、レイお嬢様に誤解を招いてしまって申し訳ありませんでした。」
「じゃー、よーいしてくれりゅ?」
「お任せ下さい!」
よし、賭に勝ったZe!
パメラさんが何処で買い物をしているかは知らないが、今までの事を考えると、だいたい昼ちょっと前までは帰って来ないだろうな。
…ちょっと良心が痛むが、許しておくれ。
「!、レイお嬢様。」
「にゃ、なに!!?」
!(汗)、ま、まさかボクの考えに気づいたのかい?パ、パメラさん!(噛んだのはスルーしてね)。
「旦那様も奥様も、いらっしゃらない事ですし、御一緒にお買い物に行きませんか♪」
き、気づかれてなかったか…。
ふぅ、焦ってなんか無いんだからねっ!
ていうか、……さっきパメラさんなんて言った?
一緒に買い物?
ま、まさかデートのお誘い?
キャッキャッウフフで、あんな事やこんなこt-
って、あぶなーーーーーーーーい!!!!
さあ!正気になろうかレイ・ヴォルヘイム3歳!
心頭滅却だ!
…………。
うん落ち着いた。で、買い物って事は外出だよな、ボクは正直庭から外は行ったことは無いので興味深々だが、今日は別の事をしたいのだ。
「ボクは、おるすばんしてりゅ。」
「そうで御座いますか…。」
「うん、それと、きがえが、ほしーな。」
「では、先にレイお嬢様の部屋着をご用意致しますね、それから買い物の方へ向かいたいと思います。」
「うん、わかったー。」
早く、この羞恥心よろしくな服を脱ぎ去りたいので早足で歩く(早足と言っても、3歳児なのでたかが知れてるが)。
とてちてと歩きながら、ふとパメラさんの言葉に疑問に思ったことがあった。
おそらく季節の事を指しているのだろうが、伊吹の月や、静寂の月ってなんだ?
そもそも春野菜って言ってたから、この世界の季節も春・夏・秋・冬だと思ってたが、違ったのかな?
「ぱめらしゃん、ききたいことが、ありゅんだけど、いーい?」
「はい、何でも、お聞きになって下さいませ。」
「いぶきのつきって、なーに?」
「伊吹の月で御座いますか。
…まず、レイお嬢様に1廻りの事について前に、お話し致しましたのは、覚えていらっしゃいますでしょうか?」
「うん、いちまわりが、じゅーにのつづれで、できてりゅ、とかのことでしょ?」
「はい♪その事で御座います。
その1廻りを〈12の綴れ〉ではなく、《伊吹の月》・《彩音の月》・《静寂の月》の3っつに分けた物を《月》と言っております。
そして、各月は〈4の綴れ〉で出来ていまして。
3~6綴れを伊吹の月。
7~10綴れを彩音の月。
11~2綴れを静寂の月。
となっております。」
なるほど、元の世界の秋が、なくなった感じだろうか?じゃあ月外れとは季節外れの事だろうね、じゃあ《春野菜》の《春》って何なんだろう。
「じゃー、はるやしゃいって、なーに?」
「それにつきましては、まず野菜について、お話しをしなければなりませんが、よろしいでしょうか?」
「うん、おねがい。」
「では…、まず野菜は大きく分けて、《乾野菜》・《糖野菜》・《宝野菜》・《春野菜》となっておりまして。
乾野菜は主に、パンやパスタの材料でして、長期保存に、もっとも適してますね。
次に糖野菜ですが、甘味が強いのが特徴的で、加工するか保存方法に気を付けなければ、すぐに駄目になってしまうデリケートな物が多いです。
そして、宝野菜は薬の材料で、回復薬などに加工されたりですかね。
最後に春野菜ですが、乾野菜、糖野菜、宝野菜、以外の野菜を、まとめて春野菜と言います、そのため種類が多くなってしまいますね。
野菜に関しては大体こんな物ですが、よろしいでしょうか?」
「うん、だいじょーぶ、ありがとー。」
ふむ、パメラさんの話を纏めると。
乾野菜→穀物。
糖野菜→果物。
宝野菜→漢方。
春野菜→ほぼ全ての野菜、みたいな感じだろう。
うーん、元の世界と似た部分がちらほらあるけど、この世界には、この世界の定義があるようだね。
まあ、あたりまえな話なんだけどね、この辺りも含めて、まだ色々と覚える事がありそうだ…。
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