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 日常の余剰に燦然さんぜんと煌く在りもしない都市伝説。

 それに横目でさりげない一瞥をほのめかすにとどまり、それ以降に足が何事かの第一歩を踏み出したり、はたまた降りかかるよどんだ彼らの声をふり払ったりしたことは未だかつてなかった。

 御馳走を前に欲望におぼれるのは駄犬の親類くらいのもの。仮にそんな無様なものの親類だとしても、私は何の気なしに保健所に出向き、戸籍の改変かもう一つ何か別の手続きを催すだろう。

 彼らはいつも私を圧した。

 私が手を引き連れて歩いたお人形さんたちはすぐに取り上げられ、惨めな姿の代役を残し何処いづこかに消えうせた。

 その代役が不健全なほど消えていった親友達の面影を残しており、誤解を解読し理解を訂正できる歳になってからは近所の公園に穴を掘るのが月に一度の習慣となる。

 ランドセルは何故か黒い方を買い与えられ、不必要な非難を無邪気な同業者に顔がびしょびしょになるまで浴びせられた。

 彼らの脳の欠損が、存在しうるかわからない悪知恵という箇所を避けて現れ始めたことをすでにこのころから知ることとなる。

 彼らから学ぶことは、昨日までの宿題を今日出されるような諦めの強制への応対の仕方。

 それも専ら彼らを喜ばせるという趣旨を前提とした、傍目はためからはお世辞にも喜劇的とは言えないホームドラマを展開させるためにだ。

 すくなくとも当事者の私にとっては。

 とかく私はこの日まで小さな箱に収まるこじんまりとした地味な少女だったのだ。

 遺伝とはよくわからないもので、彼らの形相や内面の腐敗が私に少しでも透写されることは実感としてまるでない。

 いっそ血縁を否定できれば不快が愉快にかわるのに、などと妄想を浮かべてもそこまではやはり起きてみる夢。

 目が覚めてから学校に行くまでが地獄で、学校から帰って眠りにおちるまでが地獄で、学校にいる間はほんの少しの青春要素を劣等感にぱらぱら散りばめながら窓の外を眺める週休二日の強制自由業。

 そして本日それが終わるのだ。

 果たして、私の存在というものが、消えるのだ。



 

 

 

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