幕間:もしここがそうならば……
気がつけば、見渡す限りの空色が視界いっぱいに広がっていた。
「ああそっか、私……」
視界を遮る建造物どころか、前後左右を見渡せる。
それもそのはずだ。
だって、浮いているのだから。
ここがどこなのかはわからない。
だけどもしもそうなのであれば、あの後どうなったのだろうか。
知りたくても知れない。
知りようもないが、一方的に託したアレに任せるしかない。
「けどやっぱり、最後くらいは――」
――その願い、叶えてあげるよ。
「……誰?」
声のようなものが聞こえたが、辺りを見渡しても誰もいない。
――君という存在、18年を対価にチャンスを与えよう。
「誰なの、姿をみせなさいよ」
まるで上からの物言いどころか、勝手に内側を見透かされるのはあまり気分が良くない。
――そうだね。これは君の境遇を加味して温情を与えよう。
ジャラジャラという音に、手もとに18枚のメダルが現れた。
――1枚に対して10分の制限時間とさせてもらうね。これを使って特定の誰かと繋がらせてあげる。
「……繋げる?」
見上げると、そこにはなかった物体が現れた。
海外なんかにありそうな、ガラス張りの電話ボックス。だが不気味にも漆喰色の木枠をしていて、中を覗き込むと同じような色をした電話機があった。
――使い方は簡単。そのメダルを入れて、受話器を取るだけ。誰と繋がりたいかは、双方の気持ち次第ってところかな。
それだけを言い残して、どこからか聞こえた嘲笑う声が遠ざかっていく気がした。
それはまるでチャンスを与えながらも、不可能だという結果を知っている立場故なのかもしれない。
それが無性に苛立たしくもありながら、僅かな可能性にかけてみたいという気持ちも芽生えていく。
「……」
気づけば受話器を握っていて、1枚のメダルを投入口に入れていた。
「お願い、最後に一声だけ聞かせて」
聞こえてくるコール音に、祈るようにして瞼を強く瞑った。




