【第1話】転生したら洞窟でドラゴンだったんだが?
【前書き】
どうも初めまして、作者のDraculauraです
この作品は「異世界×最強ドラゴン×人間に化けて陰謀暴く系」です。
第1話は転生→初めての敵対発見→運命の出会いの序章になります。
テンポはゆっくり始めて、のちに戦闘・都市伝説系が増えてきます!
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【第1話】転生したら洞窟でドラゴンだったんだが?
──重い。
体が石みたいに重い。
というか、そもそも俺は死んだはずだ。
大学を卒業してからブラックな会社で働き詰め、ある日突然倒れ、そのまま二度と目を覚まさなかった……はず。
でも、今、意識がある。そして、やたらと視界が赤い。
目の前に広がっているのは、どう見ても現代日本ではない。
洞窟……?
いや、それよりも――
「……グゥゥ……?」
喉の奥から響いたのは、自分のものとは思えないような低く重たいうなり声だった。
体を動かそうとして、俺は自分の「手」が巨大な爪付きの前脚になっていることに気づいた。
「……これ、まさか……俺、ドラゴン……?」
鏡なんてないが、洞窟の壁に反射した影は、翼を持ち、長い尾を這わせた巨獣のそれだった。
⸻
しばらくの間、混乱していた俺だったが、徐々に記憶がはっきりしてきた。
どうやら“ドラゴン”として異世界に転生したらしい。
しかもこの洞窟、妙に居心地がいい。いや、「懐かしい」とすら感じる。
まるで何百年、何千年もここで眠っていたような、そんな錯覚。
いや、錯覚じゃないのかもしれない。
俺の中に、微かに**「アスヴェル=ノクティア」という名**が浮かんできた。
それは、俺が人間だった時代には聞いたこともない言葉なのに、なぜか……しっくりくる。
「クリス」が死に、「アスヴェル」として生まれ変わった。
けれど、人間としての理性と記憶はしっかり残っている。
つまり俺は――**“人の心を持った最強ドラゴン”**というわけだ。
⸻
とはいえ、最初にやることは決まっている。
この体で暴れまわる気はない。とりあえず、人間の姿を取れる能力があるか確認しよう。
《人間化:可能。制限:魔力安定まで1時間。》
脳内に直接響くように、そんな“情報”が流れ込んでくる。
よし。できるっぽいな。
俺は洞窟を出て、外の世界を目指した。
⸻
――しかし。
地上に出て、森を抜け、王都に近づいたとき。
そこには奇妙な空気が流れていた。
街は整っていて、にぎわっている。
けれど、どこか不自然だ。あまりにも静かすぎる。
そして……街の中心にある白くて巨大な建物。
“教会”のような建物から、妙に嫌な魔力のようなものが漂っていた。
(宗教か……?)
俺は知らない。この世界の常識も、文化も、信仰も。
でも、それでも直感的にわかった。
あれは、何かがおかしい。
──そんなときだった。
「そこの君!旅人か?」
鋭くも澄んだ女性の声が背後から飛んできた。
振り返ると、白銀の鎧をまとった女性騎士が馬を降り、こちらをじっと見ていた。
「この辺りは最近、失踪事件が多発している。注意したほうがいい」
その目は真剣だった。俺を疑っているわけではない、けれど何かを測るように見ている。
(この人……騎士?)
初対面の相手――だが、どこか“味方”の匂いがした。
俺の新しい人生が、今始まろうとしている。
【あとがき】
ここまで読んでくださってありがとうございます!
「最強ドラゴン転生×都市伝説×陰謀論」というニッチジャンルを詰め込んだ第1話、いかがでしたか?
第2話では、人間の姿を手に入れた主人公クリス(アスヴェル)が、王国の教団の秘密に少しずつ近づいていきます。
次回も更新お楽しみに!
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