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最強忍者の異世界無双~現代最強の忍者は異世界でもやっぱり最強でした~  作者: 轟龍寺大鋼
ルゼリオ王国動乱編 特級冒険者ワーレン・エッダランドの章

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第364話 「友のために」(ストーリー)

 ルゼリオ王国中央都市グランドル全体が正体不明の力の波動に揺れる。

 カルカリ監獄で邪力と称されていたそれは、未知なる恐怖として六姫聖をはじめとした中央都市の者たちを襲っていた。

「な、なんだこの不気味な空気の揺れは?魔力とは違う・・・不安をさそうこの感じは一体・・・?」

 六姫聖のなかで最も繊細な魔力の使い手であるナルが邪力の異質性を強く感じ取った。

 それは根元的な部分を粗雑に触れられているような、形容しがたい不快感だった。


「この感じ、不安が伝播している。早急に正体をつかんで対処しないと戦いの前の意気を大きく低下させてしまうぞ」

 ナルに次いでチェイスが邪力に反応した。魔力ではナルに劣るが、索敵の精度と感性、危機感の鋭さは六人のなかで抜きん出て高いのだ。

「『遠遠眺眺』(えんえんちょうちょう)!知眸(ちぼう)にて観ぜよ!」

 チェイスが状況を探るために探索魔法を発動させた。


 探索魔法・遠遠眺眺は、あらかじめ中央都市の内外に設置させてある数万の眼球を通じて情報を収集する探索魔法だ。

 数万の眼が同時に情報を得るためその量は膨大を極めるが、事前に取捨選択の基準を細かく設定することで最終的な情報処理の負担を減らしている。

 だがそれでも、その量は数秒で一般的な人間の一年分に匹敵する。

 そんな索敵行為を、チェイスは数分間にわたって続けた。


 遠遠眺眺の数万を越える眼球が中央都市の壁や道路、屋根と至るところに出現する。

 さらにそれは外にまで及び、王国を縦横断する大十字路沿いの石畳、木々、空中に現れて念入りに探る。

 そして、中央都市の北東三百メートルの地点でこれまでなかったはずのクレーターが形成されているのを発見した。

「なんだこれは?一体いつこの規模のクレーターが・・・!?あ、あれは・・・リン!?」


 眼球が捉えたのは、リースによって打ちのめされうつ伏せに倒れるリンの姿だった。

 体力において比類なき頑丈さを誇るリンが力無く倒れる姿は、それだけでチェイスの危機感を煽った。

「こ、これは・・・なにが起こった?全く想像がつかない・・・しかし、そのままにするわけには・・・!まだ、なにか・・・あ、あれは超将軍。しかも、二人!?」

 唐突すぎる事態の変化に、チェイスの理解が追い付かないそこに追い討ちをかけるようにリースとクザートの姿が飛び込んでくる。


「これはダメだ、すぐに動かないと!」

 チェイスは思考を一旦止め、行動を平行させた。思考を巡らせるだけでは後手に回ると判断したのだ。

「『共世瞼像』(きょうせいけんぞう)!写し見を揃いて覗け!」

 新たなチェイスの魔法が発動した。

 共世瞼像(きょうせいけんぞう)。指定した他者と視界を共有する情報伝達の魔法だ。


 出現したクレーター、倒れるリン、二人の超将軍。多くの情報。そのなかで、チェイスによって選別されたいくつかの映像が一斉にグランドルに集った戦士たちに共有される。

「な・・・リン!?くそぉっ、ざけんなよ!」

「くっ・・・!」

 リンに痛ましい姿を確認した瞬間、考える間もなくメイとナルが飛び出した。

 メイは激しい炎を纏い天井を突き破り、ナルもそれに続いて天井の穴から氷の道で滑走した。


 チェイスによってもたらされた情報によって、城内はにわかに沸き立つ。

 戦士、兵士たち各々が武器を手に取り戦闘態勢に入り、住人には避難命令が発令された。


 ◆


「チェイス、さっきの映像、場所はどこ?」

 城の中階、謁見の間に到着し玉座についたシフォンが、少し送れて到着したチェイスに尋ねた。

「は、城の北東約三百メートルです。見てただいた通り、敵は反乱軍の超将軍が二人。それと、これをご覧ください」

 チェイスが術を使うと、二人の間に映像が飛び出した。そこには倒れるリンが映る。

「え!?リン!?なんで・・・そんな・・・」

 臣下であり親友であるリンのいたましい姿にシフォンは涙ぐみ声を震わせる。


「本来なら、真っ先にお知らせするべきだったのですが、不意の報せでは混乱されると思い、あえて伏せさせていただきました。遅くなり申し訳ございません」

「そ、それって、他みんなは知ってるってこと?」

「はい。特にメイとナルには優先して伝えてありますので、間もなく現場に到着するかと」

「そ、そう・・・あの二人ならきっとリンを助けてくれるわ・・・」

 シフォンは安堵の息を漏らした。

「それと、万全を期すためにもう一方(ひとかた)にも状況を伝えてあります」

「それは・・・もしかして」

「はい、サイガ殿です。どうやらすでに到着されているようです」

 シフォンへの報告の最中でありながら、チェイスは監視の眼を光らせ続けていた。


 ◆


 城から北東三百メートルの地点。

 カルカリの地から次元干渉装置によって一瞬で転移させられた面々は、転移の反動で全員が地に伏していた。

 そのなかで最も早く意識を取り戻したのは超将軍のリースとクザートだった。

「な、なんだここは?草や木が生えてるぞ。カルカリじゃねぇのか?」

 周囲の状況を確認し、クザートが疑問の声をあげる。

「どうやら、転移魔法の類いに呑まれたようですね。ということは、どこか違う場所へ・・・あれは、姫城フェンク?まさか、中央都市か!?いかん!」

 遠方に白亜の城を望んだリースが、状況を理解した瞬間に危機的状況に気付いた。

 敵対勢力本拠地近辺への出現、六姫聖チェイスの存在、この二つから答えを導きだしたのだ。


「クザート、退却します!すぐに飛天輪を出して!」

「くそ、訳わかんねぇまんま、いきなり劣勢かよ!?情けねぇ」

 本来の意向ではあるが、性急に選ばざるをえなくなった撤退。それは不本意を抱かせる。

 クザートが空中に数個の歯車を放ると、拡大化し移動用となる。

「おおい、生きてるやつぁいるか?自力で出てきたら連れ帰ってやるぞ!」

 怒鳴るようにクザートがクレーター内の瓦礫に声をかけると、数人の人影がうごめき這い出してきた。

 セフィロッテ、チャミ、ドクターギアの三人だった。揃って歩くだけでも精一杯といった様子だった。


「へぇ、さすがだなギリギリだが全員生きてやがる。おら、さっさと乗りな!」

 クザートに促されるままに飛天輪に乗ると、三人は王都の方角へと先行した。

「よし、じゃあ次はスキルマスター野郎とジイさんだな」

 新たな飛天輪を出そうと懐に手を入れるクザートだが、その行動は中断せざるをえなくなった。

「ぐお、熱っちぃ!な、なんだ?急に暑くなったぞ!」

 背後から熱波が襲ってきた。

「クザート、構えろ!六姫聖の魔炎だ!」

 リースが叫んだ。普段の余裕がなく口調が強かった。

 二人の視線が城の方空、熱の発生源へと向くと、そこには天を覆い尽くさんばかりの炎の塊が燃え盛っていた。

 更に強い熱が波となって押し寄せる。


「お前らぁ、リンになにしやがったぁ!うぉおおおおおおお『ヴォルカニック・フォール』!」

 空を膨大な怒りの炎に染めながら、殲滅の炎を纏ったアグニフォームのメイが炎の塊をリースたちに向かって落下させた。

「ちぃっ、いきなり殺しにきやがった『テインガッカ』!」

 降下する炎の塊ヴォルカニック・フォールに向けて、クザートが右手を発射させて大爆発させる自己犠牲のテインガッカを撃ち込んだ。


 術と技が触れた瞬間、空が消し飛びそうなほどの爆発が起こり相殺された。

「マジか。あの女、ブチギレじゃねぇか。まぁ、仲間をあそこまでやられたら、それも納得だが・・・」

 右手首から先を失ったクザートが、転がるリンを見る。仲間に対する想いは勢力は違えど同意できるものがあるからだ。


「クザート、援護を頼みますよ。二人がかりで一気に落としましょう」

 激しく怒るメイを見据えてリースが構える。

「ずいぶんと甘い算段だな」

「!?」

 しかし返ってきた言葉はリースの予想と反したものだった。

 聞き覚えの無い声。

 リースが振り返ると、そこには屈んだ姿勢でクザートの腹に蹴を叩き込む黒衣の男がいた。

 サイガだった。メイよりも先に城を飛び出し、メイと同じように心中に怒りを宿していた。

「自己紹介も挨拶も要らんな。すぐに終わらせて、メイに焼き尽くしてもらう!」


 静かに怒るサイガが刃の嵐を巻き起こした。

 忍者刀がクザートの脇に下から差し込まれ、両腕を斬り飛ばす。

 近接に優れるリースは急所に達する攻撃を辛うじて回避するが全身に切創を負わされた。

 超将軍二人を相手取って圧倒するほどの怒涛の乱撃。言葉を介さずとも怒りの程が伝わってきた。

お読み頂き、ありがとうございます。

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