6本目
今回は、パイ姉 視点。
◇◇◇
私の幼馴染は、最高に可愛い。
3つ年下の弟分で、頭はツルツル。目元は彫りが深く眉毛がない。下睫毛がやや長めの美形で、顎は太く、割れている。
領内でも1・2を争う筋骨隆々とした巨体の持ち主であり、そして美しい肉体美!
早い話が、私の超好みのタイプなのだ。
そして昔から、弟は昔から私に懐いていた。
「お姉ちゃんあそぼ!」
「お姉ちゃん、お腹すいたー」
「お姉ちゃんはオレが守るッ!」
こんな生き物、もうずっとペロペロしていたくなるのは、もはや地球の物理法則である。
お姉ちゃんと慕われるたびに、下半身がゾクゾク震えた。
そんな、可愛すぎる弟分に、いつしか私が見栄を張るようになったのは、まったく当然のことだった。
「おねーさんに任せなさい!」
「こらこら、おねーさんをからかったら、メッだよ、」
「ずるい? でも、おねーさんだからいいのです!」
「ふふふっ、内緒!」
ことあるごとにそう言って、見栄を張ってきたのだ。それがまさか、人生最高の瞬間に裏切るなんて考えもしなかった。
あの日、彼の17歳の誕生日でも、私はいつものように、おねーさんぶっていたのだ。
「お姉ちゃん!オレと結婚してください!」
そしたらビックリ、突然のプロポーズ。
驚いたけど、私はすごく嬉しかった。下を向いて、顔を手で覆い、にやける顔を隠すために俯いてしまった。
お姉ちゃんという言葉の真剣な響きに、今までにないくらい下半身がゾクゾクしていた。
でも、プロポーズに「はい」と返事をしようとしたときに、私は自分の下半身に目線を向けてしまったのだ。
その瞬間のことだった。
私の頭の中で、ぐるぐるとこれまで張り続けてきた見栄が、突如、どう猛な牙を剥いたのだ。
「パイ姉は、オレの女神なんだ」
「パイ姉なしでは、オレの人生考えられない!」
「頼むパイ姉! はいと返事をしてくれ!」
自分を必要以上に大きく見せる性癖せいで、弟分には、神聖視され、女神のように思われて。
自分でいうのもなんだが、容姿は魅力的で、胸も腰も、髪も綺麗で。
でも、だからこそ、言えない。
――まさか、女神の下の毛の方が20歳になっても生えてこなくて、ツルツルの子供のままなんて!
……結婚するってことはつまり、子供を作るってことだよね。
それで新婚初夜で、今まで可愛がってきた弟に、笑われて幻滅される……
姉と女神の尊厳は!
パイパ●では、絶対に保てない!
初めてでも、ここはお姉さんらしく、弟をリードしてあげないと!
おねーさんが、おねーさんでなく、お子様になってしまう!
もうハタチなのに!
そう思って、咄嗟に出てきた言葉が、「ごめんなさい」だったのだ。
あっ、やらかした。
ラストまであと3話!
最後までお付き合いよろしくお願いしますー