4本目
今回もコピペあり、
◇◇◇
「いつまでこんな戦い続けなきゃいけないんだよ! これが運命だなんてオレは絶対認めないからな!」
親友の忠告を聞かず、アマゾンに飛び込んだオレを待っていたのは、ドラゴンのブレスではなく過酷な自然の手厚い歓迎だった。
虫刺されに苦しみ、3分ごとに頭の上から滴る汗をぬぐいながら、密林の中を進む。
樹上30メートルにもおよぶ樹海の木々と、地図上で複雑な模様を描く等高線、そして森内部を縦横無尽に流れる川の数々。
さまざまな要因が重なることによって、水流はときおり滝となって流れ落ち、深い濃霧を生み出す。
湿度にいたってはジュラ紀もかくや。森内部は、夏の間中、天然の蒸し風呂サウナ状態だ。
その上、雨季に降った雨の量によって、危険な底なし沼、殺人植物の分布図が容易に書き換わる!
アマゾンの中でマッチョが1人! 汗まみれ!
ツルツル高地の山並みは今や、明確な意思をもって、オレの侵入を拒んでいた。
「こんな時にパイ姉がいてくれれば!」
爽快な冷風魔法と柔和な笑みで、暑さを気にせず、ガンガン進むことができた!
でもパイ姉は、今はいない。
一汗かくごとに、ずれるフードを被り直す。
「あ゛ーっ暑ちい!」
しかし、虫刺されマラリアで死にたくなければ、脱ぐわけには絶対にいかない。
ガサゴソ!
ガサゴソガサゴソ!
「またか!?」
オレは、頭からすっぽり顔を覆うフード(ぐっしょり状態)をかぶり直し、両手斧をにぎりしめる。
目の前に現れた巨大なバッタ虫や、肉食の植物をバッサバッサと薙ぎ倒す。
「シャーッ」
ただでさえ、プロポーズ失敗で参っている時に、汗と虫との体液まみれキッスは断固、勘弁だ。
途中、ヒヤッとする場面はいくつかあったが、そのたびに俺は斧を振るって、なんとか1人で、危険を脱出した。
毛がないだけに、怪我もない。
そして、数時間後、ついにオレは山の登頂、開けた高原の到達に成功する。
そこで待ち構えていたのは、やはり伝承通りの恐ろしい怪物だった……
「ケケ! ケケケ! ゲゲゲゲッ!」
ようやく俺の目の前に現れた、目的のドラゴンは、奇妙な鳴き声を上げ、オレをジロリと舐めるように見た。オレも負けじと睨み返す。
が、すぐにその異様な姿に感情を失った。
「な、なんて毛量だ……」
髪の毛!
ヒゲ!
胸毛!
腋毛!
ヒゲ!
マツゲ!
マユゲ!
体中、どこをみても毛しかない。
ああ、こいつは完璧な「毛」だ。
なんてこった、想像していた以上にとんでもない毛量である。こいつを倒すには、骨が折れそうだ。
「ケケ! ケケケケケ!」
キューティクル・ドラゴンは、モップのような尻尾を振り回し、奇声を上げて、 オレに襲い掛かってきた!