第7章 事件後
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ある少女が涙を流しながらこう言った。
たまたま偶然戦争に巻き込まれ、家族を失った。
自分の足も失った。「それって仕方ないことなのかな?」
何も出来ない自分が本当に悔しい。
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昨日の出来事は日本だけではなく、世界にある動物研究機構で勃発したそうだ。
不思議なことに、同時時刻に動物たちの暴走が始まったそうだ。
この事件で4.500人が亡くなった。
全学校は2週間、自宅での授業となった。
オンラインレッスンで、午前9:00~12:00、午後13:00~16:00の2部に分かれている。
翠とはオンラインでのレッスンが終わった後、毎日連絡をとっている。
普段は、しっかり者で元気いっぱいな翠も例の事件から、少し暗い表情。
「最初はオンラインレッスン不安だったけど、慣れるものだね~」
午後のレッスンが終わり、お気に入りのホットレモンティーを飲みながら本日のお疲れ会を始めた。
「来週の月曜から通学だね。」桂花はみんなに会えるのが楽しみだなぁ言う。
「まだ外にできる不安だけどね。」翠は溜息をつきながら答えた。
あの事件以降、同じようなニュースは報道されていない。
だが怪我をした同じクラスの男の子は、重症でいまだ目を覚ましていないそうだ。
翠の家族は無事だったが、怪我した男の子は中学からの同級生だったそう。
目の前で身近な人が傷つき、普段穏やかな動物の奇行な行動に恐怖と不安がつもる。
また明日ね~と切り、パソコンを閉じた。
すると1階から母のいつもとは違う甲高い声が聞こえた。
「桂花、ご飯よ~」
そうだ。今日は蒼家と合同ご飯パーティーだ!!
母の色声で蒼たちがすでに到着していることを察し、急いで服と髪の毛を整え下に向かった。
「桂花ちゃん、こんばんわー!お邪魔するね。」笑顔が可愛い蒼ママと穏やかな蒼パパがすでにダイニングテーブルに座っていた。
「こんばんは!お仕事お疲れ様です。今日はいっぱい食べていってくださいね!」
私は2人が大好きで、小さい頃から可愛がってもらっていた。
「桂花ちゃん大きくなったな~」蒼の父親は桂花の頭を撫でた。
「あれ、蒼は?」周りをみると蒼がいないことに気付いた。
「忘れ者しちゃって、取りにいってもらっているの~」てへって可愛くいう母親。
「桂花ちゃん、蒼と将来結婚してあげてね」ってお酒がまだ入ってないのに説得してくる2人。
私は笑顔でスルーをした。だって蒼は家族みたいなものだし..
すると仕事から帰ってきた桂花の父親の声がした。
「ただいま~」玄関にいくと蒼もいて、そこで丁度会ったそうだ。
全員そろったところで、桂花の母親により、食事の挨拶をした。
「大人たちはお仕事お疲れ様!子どもたちはオンラインレッスンお疲れ様!腕をふるってたくさん作ったので、いっぱい食べてね♪それでは、乾杯!!」
ビールとジュースで乾杯をし、わいわい盛り上がった。
お酒によりだいぶ盛り上がった両親たち。
桂花と蒼はダイニングから離れ、隣のリビングに移りテレビを見ながら話をしている。
「なにも変えられなかった。」ポツリという桂花。
そんな桂花に蒼は、ホットレモンティーをもってきてくれた。
「まだ始めたばかりだ。何かを変えるのに時間はかかるもの。」
「桂花には人を動かす力がある。自分たちが積み重ねてきた行動が、いつか届くと思う。」
自分の両頬をたたき、ありがとう!と桂は笑顔で蒼に言った。
「そういえばオリビアちゃんとの会議でのことなんだけど…」
事件が起きた次の日にオリビアと連絡をとった。
「オリビアちゃんが言っていたことどう思う?」
彼女は今回の事件はまだ助長とのことで、全生物はほぼ消滅すると言っていた。
これから動物にある病気が萬栄し、それが人間にも害を与えるようになる。そして、ある一定の上の人間により、人間に少しでも害があると思われた動物は殺戮していたと言っていた。
オリビアの予知夢は、桂花より鮮明にみえていたそうだ。
「もし事実であれば、食物連鎖が変わるな。」蒼は腕を組み答えた。
「動物がいなることで、自然がくずれ人間の生活にももちろん影響する。」
このとき、私たちは自分たちのメガネでしか物事を見ていっていなかったのだ。
被害者の人たちのことを考えていなかった。
今回の事件で被害にあった人たち。亡くなった人たちのご家族。
研究者たちは全員死亡し、訴えることすらもできない。彼らの悲しみや憎しみは、被害者しか分からない。
被害にあった人たちが、まさかあんな事件を起こすことなど2人はもちろん。
誰も気付きもしなかった。