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第5章 予知夢者の想い

****************************************

当たり前の生活は、本当は当たり前ではなく、いつ失うかわからない。

だから後悔がないよう、一日一日を誰かのために生きたいと思う。

私にできる小さいことを、コツコツと。

誰かの心に暖かい光が灯せればいいな。


私は金木犀の花言葉のような、誠実な姿勢で他人を受け入れる人間になりたい。

自分が勝手に想像した人格と違ったとき、愕然をしてしまい距離をとってしまう。

そんな時、自分の中の引き出しをもう一つ開けて、その人を知ろうと歩み寄るようになりたい。

****************************************


同じ予知夢をみたという少女、桜田オリビア凛。

彼女からメッセージが届いた。


現在彼女は中学3年生で、1年前に予知夢を見て信じない周りの人間に

使っていたSNSサイトに投稿し同じ夢を見たい人がいないか探していたそうだ。


一度直接会って、お互い見た未来を確かる方がいいと思い、さっそく週末に会うこととなった。



オリビアと私たちが住んでいる地域は、案外近く中間の駅で会うことになった。


待ち合わせ時刻の20分前。

桂花と蒼はすでに待ち合わせのカフェの席に座って待っていた。


「緊張するね…」待ち焦がれた同じ予知夢を見た人と会うこともあり、

桂花は落ち着かないようで、お店のドアのベル音が鳴る度にきょろきょろと見渡す。


「桜田さんは俺たちより年下だぞ。」気楽にいこう、と落ち着かせてくれる蒼。


カランカラン…

お店の入り口のベルが鳴った。

目を向けると、そこには深めの帽子に眼鏡をかけた女の子がいた。

変装しているようだが、やはり見た目のオーラや美しさは隠しきれてなかった。

綺麗な長いブロンドヘアが背中まであり、顔がとっても小さいのが遠目からでもわかる。


彼女が桜田オリビア凛だと、すぐに気づいた。


私は手を振って、私たちの席に来てもらった。


「はじめまして、桜田です。」被っていた帽子と眼鏡をとって、はっきりと挨拶をしてくれた。

目が生き生きとしており、きっとこの日をずっと待ちわびていたようだった。


「こちらこそ、蓮見桂花と荻原蒼です。」

まずはお互いの自己紹介からはじめよう!と桂花が提案をした。


「蓮見桂花、高校1年生です。A型だけど大雑把なところがあって、蒼によく注意されます。性格は、明るく、思いついたらすぐ行動するタイプ。動物と自然がなにより大好きです。」

「それで…中学2年生の時に予知夢を見ました。そこから蒼と一緒にオリーブを結成しSNSで同じ予知夢者がいないか探していました。」


「同じく高校1年の荻原蒼です。桂花とは幼馴染で、生まれたときから一緒だな。

A型で割りとなんでもできる器用な方。知識を身につけることが好きで、本やパソコンが得意です。桂花が予知夢をみたことを話してもらって、実際に実現していく世の中に何かできないかってことで、オリーブを結成しました。」


「桜田オリビア凛です。オリビアでも、凛でも読んでください。

中学3年です。母がイスラエルとフランスのハーフで、父が日本人です。

母が日本語を話せないので、母とは、英語とフランス語とアラビア語で会話をしています。」


すごっ!と、4か国語が話せるオリビアに驚く2人。


「性格は、正義感が強く負けず嫌いです。まがったことが嫌いで、よく熱くなりすぎるって家族や友達に注意されます。夢をみたのは半年前ぐらいで、私もSNSで投稿していました。」


オリビアの印象は、言語力からなのか性格柄か、とても勇気と自信に満ちあふれて女の子だった。


ネットでたたかれていたから、心配していたが…

きっと自分で何かを突き破ったかのように、とても誇らしい強い女の子が目の前にいた。


「オリビアちゃんって呼ばせてもらうね!私たちのことも気軽に呼んでくれたら嬉しいな。」


「それじゃあ、桂花さんと蒼さんって呼ばせていただきますね!」


それから3人で、時間軸で見た夢を照らし合わせた。

2人がみた夢には少しだけ、ずれがあることが分かった。

考えてもわからないため、紙に書き起こし記録として残した。


そして今後の活動について話し合った。



「私もオリーブの一員にいれてくれませんか?」とオリビアが言った。



「オリビアちゃんはさ、予知夢をみてこれからどうしたいかな?」


桂花が落ち着いた声で話した。

これは事前に蒼と話していたことである。

一緒に活動をする上で、同じ目的であることが重要だからだ。

中途半端な気持ちで始めたられても、もう後戻りできなくなる。きっといろんな人からの視線を浴びるし、強い意志を持たないと後々後悔するからだ。


重い空気が流れる。


私の想いが伝わったようで、オリビアは一呼吸してから話してくれた。


「私が小学校に上がるまで、外国で育ちました。そこは日本とは違って、不安定な場所で今も難しい状況が続いています。私は大きくなったら、難しい環境で苦しいでいる人を救いたいって気持ちがありました。そんな時に見たのがあの夢で、腹が立ちました。人間ってなんとも勝手な生き物だって。だけど、きっと神様が私なら止めることができるから、先に教えてくださったんじゃないかって、思うんです。」


オリビアの話を聞き、彼女から強い想いを感じた。

この子なら一緒に力となって変えることができるのではないかと。

蒼を見ると頷いてくれた。彼女ならきっと大丈夫だと。


「話してくれてありがとう。私もね、たまに思うの。きっと私が生まれてきたのは、夢を見させてくれたのは、お前なら乗り越えることができるから、って。」


「一緒に世界を、予知夢を変えよう。」手を伸ばし、オリビアと固い握手をした。


それから蒼の提案により、世界共通の英語にしようとのことで、名をオリーブから”Olive”に変えた。


言語力に強いオリビアが入ったことで、世界の予知夢者や賛同者を集めるため、英語・フランス語・アラビア語・日本語の4言語で投稿することになった。


気づけばもうあたりが暗くなってきた。

今日はとりあえず解散し、3人がいつでも連絡できるよう、1つのグループを作成し

ここで連絡を取り合うことにした。




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