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第3章 変化していく社会

*****************************************

はじまりにも話したが、世界には誰かを守るために、武器をもち戦う人たちがいる。

それを人は、テロリストと呼ぶ。

必ずしも全員が名称のような、残虐な行為をしているわけではないのではないか。

みんな誰かを守るために、自分を犠牲している。

だけど私は、誰かを守るために人を傷つけていい訳ではないと思う。

それは武器に限らず言葉の刃も。


命をかけて産んだ自分の子どもを、家族のために戦ってほしい親なんていないのではないか。

誰かの残念な欲望のせいで、戦いを仕方なく選ばなきゃいけない世界があるとしたら、私はそんな世界を終わらせたい。

「人間は、感情があるからこそ美しくもあり、同時に醜い生き物だ。」

******************************************



「桂花早く食べないと遅刻するわよ~」そんな母親の声を聴きながら、寝ぼけながら朝食を

食べていた。すると何気なくいつも見ている朝のニュース番組から速報が入った。


「速報です。○○会社の発明により、動物の生態、行動が解明できるチップが完成したそうです。

これは動物にあるチップを入れることで、~~~

それでは○○社長からお話をお伺いしましょう!」


生き生きとしたアナウンサーの声が部屋に響いた。

裏腹に、私はもっていた箸を落とし、目を丸くしてテレビに釘付けとなった。


これ、夢でみた…

ぼーとテレビを眺めていると、

「桂花!!」と、母の怒鳴り声で我に返り、急いでテレビを消して家を出た。


家のドアを閉め、一息つき冷静に考えてみた。

これは助長なのか…ただの発展なのか…

不安になってどっと嫌な汗がでた。


すると蒼が走ってきて「わりぃ!待たせた?」と声をかけてくれた。

さっきのニュースを蒼も見ていたようで、「放課後話し合おう。」と決めた。


当たり前のように授業を受けられていること。

休み時間やお昼の時間に、くだらない話で盛り上がること。

どれも本当は貴重な時間で。


近い未来、当たり前じゃなくなっちゃうのではないかと不安になった。


放課後になると蒼と一緒に、誰もいない教室で今朝のニュースと桂花がみた夢の物語を見比べた。


外からは運動部の声や、吹奏楽部の音が聞こえる。


「この光景が、当たり前じゃなくなっちゃうのかな。」と桂花がつぶやいた。


「もし、桂花が見た夢が今後実現していくとしたら。桂花はどうしたい??」と蒼が聞いてきた。


「あんな世界絶対あっちゃダメだよ…まだ間に合うのなら、止めなきゃ。」


「それなら、仲間が必要だな。たかが中学生の意見なんて世論が動くわけがないし。

SNSを通じて同じ予知夢をみている人が探してみよう。」

私の意志を最終確認し、きっかけを提案してくれた。


2人は学校にある、パソコン室に移動した。

進路を調べる学生もいるため、自由に出入りすることができる。



先輩が数名いたため、一番の奥の席に並んで座り

ネットで予知夢をみた人がいないか検索をかけた。


2時間ぐらい検索をし続けたが、なかなか該当の記事は見当たらなかった。


「なかなか、でてこないな。」

検索ワードが曖昧なせいか、膨大な記事がでてくる。


でも、例え夢のような世界が現実に起きなかったとしても、やれるだけのことはしたい。


「逆にこっちから情報を発信するのはどうかな?」と、桂花が提案をした。

「これから見る人もいるかもしれないし、俺たちのような学生がいるかもしれない。」

「ただ、学校のパソコンで発信すると後々面倒なことがあるから、家に帰って俺のパソコンを使おう。」


2人はお互いの顔をみて頷き、掲載するSNSサイトはどれを利用するかを話し合いながら家にむかった。


若者が使っているものがいいのか。

老若男女向けがいいのか。

世界中の人がみれるものがいいのか。

何個のサイトにも掲載したほうがいいのか。


自由な発信ができるSNSは気軽で、たくさんの人に一気に拡散ができる。

だが、誹謗中傷や真実とは違うデマな情報が広がる場合もある。


びくびくしても始まらない。まずははじめてみよう!


そこで2人は、1つの某SNSサイトに登録をした。


「アカウント名どうする?」パソコンが得意な蒼が、登録をしてくれている。

「私たちのチーム名になるよね。それじゃ意味のあるものにしたいな。」桂花は窓の外をみつめ、考えはじめた。


その時、図書館でみた写真集を思い出した。

途上国の被害にあった人たちの声が描かれた本だ。

たしかあれは、「オリーブ」

どういう意味なんだろう。ふと気になった。


「オリーブってどういう意味か調べてくれる?」

「え?オリーブ?料理とかに使われるオイルのやつ?」蒼は不思議に思いながら検索をかけてくれた。


「モクセイ科の常緑高木。実がオリーブオイルの原料。花言葉は、平和、知恵。」

「常緑高木なんだ。」蒼は写真を見ながら、栽培方法などをサラッと読んでいた。


「花言葉が素敵だね!」私はとても惹かれた。

「俺たちの名前の由来と似ているから?」呆れたような顔で聞いてきた。

「そう!」目をキラキラさせて応える私に対し、安直だな~と苦笑いをした。


桂花と蒼の母親は妊娠のころから友達で、子どもの名前を一緒に考えるほどの仲。

自然や花が大好きな母親たちは、花言葉を取り入れたかったよう。

そのため産婦人科で会うたびに、辞典を2人でにらめっこをして、これがいい、あれがいいと話していたそうだ。


桂花は、別名キンモクセイ。花言葉は「謙虚。」

誠実な姿勢で他人を受け入れる人間になってほしいと名付けられた。


蒼の花言葉は「野心。」

強い可能性と逞しさをもって生きてほしいと名付けられたそうだ。


「じゃあ、アカウント名はオリーブな。」これからの未来を覆すチーム名がオリーブかぁと、あまり納得をいっていない蒼だけれども、素直に登録をしてくれた。


アカウント名:オリーブ


そしてプロフィールには、私たちの活動理念を書いた。


「ある日、予知夢をみた。それは信じがたい恐ろしい未来だった。

私たちオリーブは、予知夢が少しずつ現実に起こりつつある社会を変えたい。

世界には、ある一定の人間の欲望によって、悲しい選択をせざるを得ない人たちがいる。

自然と共存し、互いを思いやり、助け合うことができる未来をつくる。」


そして予知夢の内容の一部を綴った文章と、検索できるよう♯(ハッシュタグ)をつけた。

♯予知夢♯オリーブ♯世界を変えたい



果たして、誰か見てくれる人はいるのだろうか…

2人は祈るように記事を掲載した。

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