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第2章 はじまり

…なにこれ…

目の前は知らない世界が広がり、周りの人たちの目は、虚ろで覇気がながった。

「桂花こっちだよ。」と、知らない人が私を呼ぶ。

黒いモヤで、覆われたその女の人の手には銃口が。

その女性の後ろには、たくさんの生き物が倒れていた。動物と人間だ。

バンバンバンと3発撃ち、「これで確実に死んだでしょ。」という女性。

人を殺すことになんとも思ってないようだった。

私は怯えながら彼女のあとについていくと、見たことがない世界が広がっていた。

近未来な街。緑もない、お店もない。1つのドームが都市となっていた。

ガラス張りの窓からみた外は、なにもなかった。なにも。


ジリリリリリ…

大きな目覚まし時計が鳴った。


夢か…

身体中から汗が出ていた。目覚まし時計を止めようと、身体を動かそうとしてもうまく動かせなかった。


怖い。今まで感じたことがない恐怖が襲った。


「朝よ!さっさと目覚まし時計止めなさい!」と、母が部屋に入ってきて目覚まし時計を止めた。


「あら、顔色悪いわね。汗ひどいじゃない。熱あるんじゃないの?」といい、私のおでこを触った。


「熱はないようね。タオルで汗ふいて、着替えて下に降りてきなさい。」

そういってタオルに私に投げ、下におりていった。


母の声に安心した。さっきは、ただの夢…大丈夫、ありえない。そう自分に言い聞かせた。


私は時計をみて、時間がないことに気付き、急いで着替えて下におり、朝ごはんを食べ学校に向かった。

「行ってくるね!」と母と父に声をかけ、家を出た。

家のドアを開けると、いつもと変わらない町と空気にほっとし、走りだした。


学校の門に入るところで、幼馴染の荻原蒼を見かけた。

中学生にしては、178cmという身長だからか凄く目立つ。

「蒼おはよう!」後ろから声をかけると

朝が苦手のようで、低いやる気のない声で挨拶を返した。「あー桂花か。おはよう。」

2人は家が近く、親同士も仲がいい。


ただ性格は真逆。

蒼は、積極的に前にでるほうではないし、考えてから発言するタイプ。

冷静で効率よく、なにより勉学が大好き。

そのくせ運動ができ、同性からも異性からも好かれる。


一方、私は思ったことをすぐ口に出すほうで、しかも感情的になってしまう、The素直人間。

不公平や間違ったことが嫌いで、なにより平和主義。


そんな真逆な2人だけど、いいコンビで小さいころからずっと一緒にいる。


「今日遅かったな。いつもなら、家歩いてすぐに見かけるのに。寝坊でもしたか?」

相変わらず覇気のない声で聞いてきた。


一瞬夢のことを話すのを迷った。言葉にしたら実現しそうで怖かった。

「あー。そう!寝坊しちゃって。」といい下を向いた。

「今日の1限って数学だっけ。私さされたら終わる…」と話をすり替えた。


「桂花数学嫌いだもんね。」


そんな他愛もない会話をし、これまで通りの日常生活がはじまった。


先生の授業を聞き、昼休みには給食を食べ、友達と好きなアイドルの話をし学校が終わり、家に帰る。


今までしてきた当たり前のことが、急に不安になった。

この当たり前の日々が、夢のようにいつか無くなってしまんじゃないかと。


「今日図書館よりたいんだけど」と蒼が声をかけてきた。

2人とも帰宅部のため、いつも一緒に帰る。

気分を紛らわすためちょうどいいと思い、いつもなら面倒くさいと思うけれど、

「いいよー!」と答えた。

「雨がふる…本嫌いな桂花が素直に図書館にいくなんて」と、ボソッといった。

私は笑顔でもっていた鞄で蒼の背中を叩いた。

「いてー…」といい、暴力反対と、いつも通りのくだらないやり取りをした。


図書館につくと、蒼はスタスタと自分が見たい本のエリアに向かった。

私は蒼が終わるまで、適当に見てよー。と、ぶらぶら歩いていた。


すると大きな看板を見つけた。

それは館長のオススメの本が紹介されていた。

小説や絵本、写真集などベスト3が書かれていた。

そのなかでも目がいったのが、「オリーブ」というタイトルの絵本だった。


それは、途上国の被害にあった人たちの声がのっており、

戦争や人身売買で傷ついた人たちのストーリーが描かれていた。


「私は家族を守るために銃をもって戦うの。」

「空からたくさんのミサイルがふってきた。」

「毎日花火のような大きな音がするの。」

「学校にいきたい。」「家族にあいたい。」


あの夢をみたせいか、リアルに感じた。

まるで近い未来に、夢でみたことが現実で起こりそうで…


私は急に怖くなって、本を閉じ、蒼を探した。


嬉しそうに本を見ている蒼をみつけ、早く帰ろうと声をかけた。

いつもと違う態度にびっくりしていたが、本を借りて図書館を出た。


二人は黙って家に向かった。

私の家につくと、蒼が声をかけた。

「おれに聞いてほしい話があるか?」

普段と違う私に気づいてくれた。なんとも優しい幼馴染。

「ちょっと家にあがってくれる?」といい話して考えを聞こうと思った。


リビングで今日の夢の話をした。


二人の間に長い沈黙が流れた。

先に口を開いたのは蒼だった。


「現実に起こると決まったことじゃない。実現するとしても、かなりの時間がかかると思う。それまで一緒に、何ができるか考えよう。」


すると、「ただいま~」とパートから帰ってきた母の声が聞こえた。


「蒼くん!来てくれたの~」といい、優秀な蒼が大好きな母はデレデレ。

「桂花、お菓子とか飲み物だしたの?」と、私にいう。

私は母の質問は無視をし、時計を見て19:00に気付き、

「もうこんな時間!家帰らないと、蒼ママ心配するよね。」

「親にはメールしているから大丈夫。」と蒼がいい、帰る準備をした。


夕飯食べていけばいいのに~という母に、

私は呆れながら、蒼ママも夕飯作っているかもしれないでしょ。と言った。


「桂花ママ、お邪魔しました。またきますね。」と営業スマイル。

母はいつでもきてね~と手をふる。

家の外で「桂花ママは相変わらず元気そうでよかった。」と笑い、

また明日な、と蒼は家を出た。


蒼が帰ったあと、メッセージがとどいた。

「とりあえず、一旦保留!これから一緒に考えよう。お休み。」

淡々とした内容だけれども、蒼の優しさを感じた。


「今日はありがとう」というメッセージと、笑顔のスタンプを送った。



明日の朝、家のドアを開けると、蒼がいた。

「はよ。」

「びっくりした!おはよ~」

きっと心配してくれて来てくれただろうな。


それから私たち二人は、夢でみた物語を箇条書きで紙に書きだした。

近未来な街の絵から人々の様子まで。

1.動物・人間の体にチップを入れ、行動を制御する。

2.3.4…と…


もしかすると、これからの未来に何か関わるかもしれないと。


この時は、小説や漫画みたいな夢物語で

夢でみた出来事が全部本当に実現するとは本気で信じていなかったかもしれない。


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