第八話:「尖兵の一時」
え〜、楽しめていますか?って、どうでもいいことですねぇ………ああ、今回は後書きなしです………え?別に誰も期待してない?そ、そうですね………で、では今回のお話もどうぞ、お楽しみ下さい!
第八話:
「尖兵の一時」
ペリーが来たよ、日本に来たよ。
俺のケータイのメール着信音。
どうだ?おかしいだろう?いや、俺だっておかしいとは思っているが、俺のケータイは壊れているのか他の音に変えてもこれしかならないのである。別に俺が設定したわけじゃないぞ?俺の妹たち、どちらかがこれにしたのだ。壊れているということはケータイショップまで持って行けば原因は解明されそうなのだが別に問題は発生してないのでもっていってはいない………というのは嘘で、実は俺、一人じゃケータイショップにいけないんだわ、これが。
ちなみに、電話着信音の場合は
日本を開国させること………それが私の使命だ。
である。
「輝〜ケータイなってるよ?」
Tシャツ一枚のそんな刺激的な格好でソファーの上でごろごろ。俺はちらりとそんな漆を一瞥するとケータイに手を伸ばす。
「………親父か」
てっきり、双子が帰って来るためのメールかなと思いきや、親父だったのでほっとする。今日の午前中、久遠だったか?久遠の家から逃げ出してきて一息ついてそのまま眠って気がついたら夕方になっていたということだ。一日、無駄にしちまった気がかなりする。
メールの内容は『今、玄関の前にいる』というものだった。
「?」
珍しいメールだった。
これまでは件名のところにしか文字を打たなかったあの親父が珍しく本文のところに打っているところをみるとどうやらケータイの使い方を学んだらしい。まぁ、それはおいておくとして月初めにはまだ一週間ほどあるものの、お早いご帰還かもしれないので俺は玄関を開けに行く。鍵を持っているとは思ったのだが………もしかしたら落としたのかもしれない。
「おかえり………」
「こんばんは、輝さん」
ばたん。
い、いま目の前に白い少女の幽霊が立っていた!
え、ええっと………知り合いの霊媒師、霊媒師の電話番号は………うわ、俺の知り合いに霊媒師なんていねぇよ!ええっと、なんだ?メリーさんに電話すればいいのか?いや、メリーさんはかけてくるほうだ!………どうでもいいことだけどさ、メリーさんが何かしら電話っぽいものをもっているところを俺は見たことがないな。いや、実際にメリーさん自体見たことなんてないんだが、テレビとか漫画とかで登場するメリーさんが電話を持ってお話しているところを俺は見たことないんだが………みんなはどうだ?
「輝、閉めるとは失礼だろう」
「親父………」
なぜだか後ろのトイレから出てくる親父に俺はため息をつく………そういえば、この親父とは血がつながってなかったんだよなぁ………まぁ、血がつながってなくてよかったと思えることのほうが多いかもしれないがな………小さい頃からあんまりあわねぇからここまでつながりが薄いのかって思ってたけど違うのかなぁ………
「お客様だ、上がってもらいなさい」
「お〜いてっ!」
はい、皆様には俺が言わない限りわからないでしょうが文と文との間に一発殴られてます。理由は不明ですが、どうやら不謹慎なことを考えてしまったからなようです。
しょうがなく、俺はしぶしぶ玄関を開ける。そこには久遠の父と久遠がたっていた。
「やぁ、輝君またあったね」
なれなれしく名前を呼ばないで欲しいなぁと思う。たまにいないか?勝手になれなれしく名前を呼んでくるおっさんが。
―――――――
そして今、ソファーに座って久遠父と俺の親父は何やら話し合っているようで、久遠もその隣に座っているのだが俺と漆は俺の部屋に退散していた。
リビングに通したとき、漆の尻が丸見えだったことは誰も見ていないということでけりをつけておくことにしよう…………ああ、安心してくれ………俺は見てなくて、部屋に入ってきた久遠が慌てて漆の尻を隠したからな。
「輝、あの子は誰?」
少し吊り目な感じだがなぜだか親しみのわくような視線を少しだけそらして俺に尋ねてくる。
「ん〜あの子?ああ、あの子も龍だった子だ」
「ふ〜ん?」
自分で言っておいて興味なさげにそういっていつも漆が寝ているベッド(元俺のもの)に寝転がっている。
どーでもいいことかもしれないが、俺と漆は同じ部屋に寝ている。誤解しないで欲しいが、ベッドは同じではなくて、さっきも説明したが漆が俺が使っていたベッドを使って俺が床に布団を敷いて寝ている。これはまだ、暫定版であり、決して夜中漆を見ながらぽーっとしていることなどないということを誤解を生まないためにも教えておこうと思う。
「輝、ちょっと来い」
「はいっ?」
あらぬ妄想をしていたところで親父に呼ばれ、さっさと部屋を出て行って親父の隣に座る。
「?」
「輝君、実はこれから私と家内は外国に旅立たなくてはいけないんだ」
「は?」
それを俺に話してどうしろというのだろうかと一言の『は?』にこめたのだが、どうやら相手はそれを聞いてはいたのだが理解はしていないようだ。
「久遠が何故、このような事になったのか私はそれなりに調べてきてはいたのだ。そして、南米辺りに久遠みたいにドラゴンのような異形の姿になったりしていた少年がいたらしいのだ」
「へぇ、そんな人が………」
「実はその人たちも何かしら理由があってこの国を離れているそうだが、噂では凄腕の人たちで沈んでしまった船から脱出した後に泳いでそこまでいったそうなんだよ。現地の人は硝煙の臭いがする女性に、少年、そしてネコ耳をつけた女性だったと私に教えてくれた」
「………」
一体全体、そんな屈強な、そしておかしな人が本当にいるのだろうかと俺は尋ねたかった。
「危険を伴うたびだから、久遠を連れて行きたくはないんだ。猿渡さん………あのお手伝いさんだね、お手伝いさんに任せようとはおもったんだが、私たちがいない間に久遠が再びあの姿になったらきっと驚くだろう」
そりゃ、そうだろうな。驚かないほうがおかしいぞ。そうしたら警察とかに連絡とかされるに違いない。
「それで、悪いとは思うんだけど君の家に久遠を住まわせてやって欲しいんだ」
「はぁ、そうなんですか…………え?」
俺は驚いた。
「お願いだ、謝礼だったらなんでもするから」
親父にいいのかとアイコンタクトを送ると俺が知ったことではないといわんばかりに目をそらす。つまり、自分で決めろといいたいのだろうなぁ………久遠のほうを見ても、彼女は俯いているだけで何も話さない。
俺はため息をついて一つ、疑問に思ったことを口にしていた。
「いえ、謝礼とかどそういったことでもなんでもないんですけど………その、久遠のお父さんはいいんですか?」
「何がですか?」
「そのう………」
これから先のことを聞くのは非常にためらわれたのだが、正直な話、これ以上何か厄介ごとを俺はこの家に侵入させたくはないのである。
漆との生活だってほんのちょっとだけだったが、文に表さないだけで実はトイレに入っているのに気がつかずに戸を開けてしまう、俺が着替えているのにそこで着替え始める、テレビ見てたら後ろから俺の肩に顎を乗っけて見始める………などといった、お年頃な男子の妄想を爆発させるような危険な行動をとっているのだ。
これに久遠が混じるとなると、俺が漆の裸を間違ってみる→久遠から白い目で見られる→否定するも、後に遊びに来たりした友人にも誤解される→二学期、俺は変態に♪
「………普段は俺だけしか住んでいませんし、そんな家にその、愛娘をおいていくのはどうかと思います」
「安心してくれ、君が私のことをお義父さんと呼びたいのならそれで構わないからな。なにせ、娘の命の恩人だから」
俺、あなたの娘さんに一度殺されましたけどね………とは絶対にいえない。いえるわけがない。
「君さえうんと言ってくれれば久遠は今日から君のところに住める準備をしている」
既に準備済みとは………だ、だが俺には最後の砦が存在する!
「こ、こういうのは本人に直接聞いたほうが……ほら、む、娘だってお父さん、お母さんと一緒に行きたいだろうし………」
「わたし、平気です!輝さんの家なら………」
「…………」
あ、ああ………そ、そうなんだぁ………
俺が断れることなどなく、その後は自家用機で行くからということなのですぐさま久遠のパパは去って行った。




