第二話:「龍が解き放たれるとき」
さて、遂に龍と輝の第一種遭遇が確認されました。まぁ、龍が出なかったらこのタイトルに偽りあるだろってつっこまれそうなんですけどね。もっとこうしたらよくなるのではないかと教えてくれる優しい方の厳しいお言葉も募集しております。
第二話:
「龍が解き放たれるとき」
目の前には絵本や漫画、小説とかドラマとかテレビ、ゲームにお隣の奥さんが怒った時の状態などでよく見かけるその、一言で言うなら龍がいた。龍……だったらロンとよめそうだがドラゴンってよめねぇよなぁ。
「夢夢、これは夢だ」
最近こういった夢を見ることが多々あったのだがあくまでこれは夢。俺は思いっきり!そうだな、嫌いなやつの顔を思いっきりけるようなときの感覚で頬をつねってみた。
「いや、普通に痛いわこれ」
「ぐるわぁぁぁっ!!」
「ぎゃぁぁぁぁっ!?」
場を和ませようと思い切り努力したのだが、どうやらおきに召さなかったようで『ぐるわぁぁぁぁっ!』なる、ものすごい叫び声をあげながら相手が俺を亡き者にしようとしながら襲い掛かってくる。
「ひやっ!!」
情けない声を出したのは勘弁してほしい。闘技場に行って戦車が出てきたら誰だってそんな声を出すものさ。素手で戦車を倒せる人、募集します!
なんとか相手の記念すべき第一撃をよけれたので俺は足元に転がっていた石をつかんで投げつける。もちろん、暗闇なのでどこを狙っているのかというと紅い目だ。
カツンっ!!
それだけ音がして、その場に落ちたようだ。相手は一瞬だけ動きを止めたがあくまでそれは何が起こったかの確認だけ……つまり、ダメージはゼロ。気をそらしただけだった。
怪しいものを信じる性質ではないのだが、目の前に龍がいることを認めないと俺が殺されてしまうだろう……そういうわけで、俺の知識の中での龍として、彼らは火を噴く。だが、この龍が火を噴くかどうかはわからない。
「つーか、剣とか何かあっていいんじゃない?徒手空拳で龍とため張るのはぜったいおかしいだろ!ドラゴンバスターとかそういった剣はないのか!?」
叫んでみるがいるのは龍だけ。あのじーさん、龍を倒してほしかったのなら俺じゃなくて、勇者を呼べ。もしくは自衛隊。
「ああっ、もうっ!!」
親父に渡された鉢巻を頭に巻く。ちなみに、みんなが期待しているような特別な能力がこの鉢巻に備わっているわけではなく、大体この鉢巻、百均製だ。
一応、親父が『道づれ根性』とフェルトペンでそんな文字を書いていたりする。死ぬこと前提の気がしないでもないが、今はそんなことを言っている場合ではない。
「ぐるわぁっ!!」
「こんなろっ!!!」
再び襲い掛かってきた龍の一撃を軽くよけ、その光っている紅い目にそこらのグーよりは確実に硬いだろうちょきをぶつけてみるのだが……
「ぐわっ!!」
どうやら龍の目は俺のちょきよりかたかったようで右手の指は折れたような気がする……事実、変な方向に曲がっていて俺の意思ではどうしようもない。
しかし、すくなからずダメージは通ったようで相手は苦しそうにもだえていた。目が慣れてきたおかげで相手がどのくらいの大きさかわかってきた気がする。
体長は約20メートル、この部屋みたいな場所の大きさはざっと体育館の大きさ程度だ。そして、階段のようなものが龍の向こう側に見える。
あそこまで逃げられれば……
「ぐるわっ!!」
「しまっ……!!」
考え事をしていたのがいけなかったようで、相手の一撃をまともに食らう……すっと、意識が遠くなった。
―――――――
「おやおや、これまたお若いものがきたのう」
「俺は………死んだのか?」
「ああ、死んだな」
「あんたは?」
「わしか?わしは神じゃ……えらいぞぉ、わしは。わしが屁をするだけで世界が滅ぶ」
「……」
「さて、客観的にみておぬしは残念ながら龍に殺された。これが意味することはもう一度、現世に戻すことがさだめ……」
「なぜ?死んだらそのままだろ?」
「龍は死人の魂を伝ってこちらにやってくる……人の姿を持たぬやつらは凶暴なのじゃよ。すべてがすべて、力に支配されて一度キレた龍は力を使い果たして眠りにつくまで辺りいったいを混沌へと変える。今、このままおぬしの死体を放置し、魂を地獄へ連れて行けばおぬしがその龍を連れてきてしまう可能性が高いからおぬしにはいやでもあの龍をどうにかしてもらわないといけない。龍をつれてきたものは地獄いきじゃ」
「おれがねぇ……でも、実際はあのじーさんが悪いぞ」
「白河の爺か……まったく、こまったものじゃな。いいか、おぬしはぶっちゃけいって黒河家のものではない」
「え?」
「知りたければおぬしは生き続けなければいけない……ここで足踏みをしているばあいではないのじゃよ」
「けどよ、一発で死んじゃったぞ、俺。右手犠牲にしても一矢報いた程度だろ?」
「言霊をぶつけるのじゃ」
「はぁっ?そんなわけわからんもの使えるかよ」
「できる。白河の先祖はそれで龍とともに歩んできたのじゃよ」
「……」
「わかったな、輝よ……」
「……わかった、やるだけやるさ」
――――――
「復活!」
目の前まで迫っていた龍を踏んで背中側に跳躍。折れた右手も復活していてわき腹に開いたと思った穴もきちんとふさがっていた。
「わりぃが、もうちょっとオツムある龍になってもらうぜ?」
自称神様だと名乗っていたじーさんに言われたことはひとつで、言霊を使えと……よくは意味がわからんが、とりあえず相手をぼこぼこにして宣言すればいいのだろうと俺は考えていた。えっとだな、言うことを聞かない子供に対してたたいて言うことを聞かせるという……しつけというやつだな、うん。
「ぐるわぁぁっ!!」
再び怒って突っ込んでくる相手をよけずに拾った木の棒を相手の眉間にぶつける。
「ぐぁああっ!!」
「これで頭冷やせたろ!いいか、人になれよ!」
すると、どうだろうか?のた打ち回る竜は黒と紅い光というなんともまがまがしいような光を放ちながら動かなくなった。
「あ?ありゃ?死んじまったか?」
近づいてみると、相手の身体が消えていって最後に一人の少女が横たわる。
「こいつは……」
「死なずに生き残ったか」
そんな声が聞こえてあわてて近くを見渡すと、階段のほうから下りてきた人影が部屋のスイッチを押す。
なんと、目の前の少女は裸だった。
ぱっと、そこで再びスイッチが押されて辺りが真っ暗闇に包まれる。
「……」
「今のは事故じゃ、事故」
うれしい事故だ…いや、なんでもないぞ。
「……それで、これはいったいどういうことなんだ?ここに俺を落として、あんた何を考えてる?」
「さぁ、それは自分で考えればよかろう?」
はぁ?一体全体このじーさんは何を言っているんだ?考えたってわからんからたずねているのになぁ。
じーさんは満足したのか再び階段を上がりはじめたようだ。俺はあわててそのじーさんにもうひとつ、また違うことを尋ねる。
「お、おい!この子はどうすりゃいいんだよ!」
「お前の家に住まわせればよかろう?どうせ、あの家に住んでいるのはおぬしだけじゃ」
「ちょっと待てよ!そろそろ妹が二人、帰って来るんだよ!」
「知るか、それまで家においてやってもよかろうに…」
「ひいっ!?」
気がつけば後ろからそんな声が聞こえていたのだから驚いたのも仕方がないさ。
「お前さんはこの子を見捨てるのか?」
「え?いや、そりゃあ……じーさんが世話を見ればいいだろ?」
「わしが?わしはこのこに対して何もしておらんぞ。おぬしがちょっかいを出したのだろう?」
「……いや、あっちから襲ってきたんだが?」
「とにかく、お前も男じゃろう?女の子をたすけることもできんのか?お前のまたにはち凸こがないのか?え?」
挑発的なじーさんのその表情は思い切り殴ってやりたいほどむかつくものだった。
「……むっ、そんくらいできらぁ!」
言ってしまったと思った。
「そうかそうか、それならよろしく頼んだぞ」
暗闇に残されたのは俺と謎の少女だけ……
いや、何もする気はないさ。
俺は自分の着ていた学ランをその子に着せて背負う。学ランの下は素っ裸だが、今日はただ暑いだけで風が吹いていないのだから問題はないだろう……
俺はその後、誰にも見られずに服を一枚羽織った少女を家の中に運び込むことに成功したのだった……なんだか、文面だけ見ると犯罪のにおいがぷんぷんすると感じてしまうのは俺だけだろうか?
今回の話、どうだったでしょうか?以前の龍と書いてドラゴンと呼ぶシリーズを読んでいる方がいたら教えて欲しいと思います。表彰したいんで。まぁ、面白かったと伝えてくれるだけでもいいんですけどね。それと、これを知っている方はもういないのではないかと思いますが、『アンノウンエンジェル』を知っている方、ぜひともご連絡下さい。おもしろかった!とかそういった感想をいただきましたら、この小説と同時進行で新しく始めたいと思いますので!評価、感想、メッセージ……その他もろもろ受け付けていますので、お暇なとき、よろしくお願いしたいと思います。今回は読んでいただき、ありがとうございました。雨月の作品の半分は読者が読んでくれているということで成り立っています。




