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久遠編:背負われしものは歌を歌う

カウントダウン3

久遠編:背負われしものは歌を歌う


 気がつけば白い天井だった………それならどれだけ良かったのだろうか?


 自分の名前さえ、思い出せない。


俺の目の前には暗く、淀んだ赤い池。


 それが物凄く怖かった。


 小さい頃に悪いことをしたら親父に入れられていた物置小屋よりも怖くて怖くて、何も起こっていないのに俺の身に危険が迫っていることを感じるのだ。


『馬鹿か?お前にやってきた危険は過ぎ去った』


 誰かが俺にそういった。


 声の聞こえたほう、少しだけ光を、温かさを感じるほうへと視界を移動させる。


 そこには俺が、たっていた。


『思い出せよ、お前はあの程度じゃ死なない』


 いや、立っているんじゃなくて鏡に俺が映っていた。


『死ぬのは怖いか?久遠に銃を向けられたとき、お前は彼女を救えなかった』


 それは………そうだ、俺は怖くて助けられなかった。とっさのこととはいえ、ああいったときは絶対に助けるのがお約束ではないのか?


『もうちょっと考えるとお前は久遠を失うのが怖かった。そして今………久遠は自分を失った』


 そういわれてもぴんとしなかった。久遠は俺と違ってあの弾丸を受けた程度では死なないし、傷すらつかない…………。


『お前を失い、彼女の力は暴走………久遠は単なるケダモノと成り果てた』


 無表情、冷徹な言葉を口に出すことをためらわない。嘘はつかない、そいつは自分だから。


『白き龍は…………何も久遠だけじゃない………』


 そういわれて、何かをつかみかけた。俺は誰だ?


『お前は白河輝…………久遠を、あの白い龍の化け物を助けると誓った馬鹿な男だ』


 そうだ、俺は…………


 あの池は俺の血で出来たもの。


 あの鏡は俺を批判する自分の考え。


 久遠がおかしくなったのは俺のせい。


 俺は何だ?


 あんな簡単には死なない。


 そう、大体俺は………人間じゃなかった。


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