漆編:黒き龍、闇にて、いや、ザリガニにて。
駄目な作者の見本:第三十部分までに一切感想とかがなかったらグレます。
久遠編:黒き龍、闇にて、いや、ザリガニにて。
「………でけぇ」
一言。まぁ、その屋敷は俺の前に、俺の視界に入らないほどの大きさをほこっていた。純和風の門が聳え立っているのだから驚くだろう。
「さ、行くぞい」
「え?裏道とかから入るんじゃないのか?」
「おいおい、裏道入学じゃあるまいし………正々堂々入ると言う訳でもないがのう、他から入るとこの屋敷はどろぼう避けのための防衛装置が作動するのじゃよ」
入ったらどうなるのか………考えられなかったが素直に前から入ることにする。
てっきり誰かが待ち受けているのかとも思ったがそういったことはなくそこには日本庭園が広がっている。
「………なぁ、どっかに忍者とか潜んでいるんじゃないのか?」
「テレビの見すぎじゃ、それにこの屋敷に人が残っているとしてももはやあのわからずやだけ。漆ちゃんを誘拐したのも最後のわがままい付き合った暇人どもじゃよ」
一つ笑って引き戸をあけるが、そこに玄関などなくただただ、ふすまで仕切られた広い部屋が俺らの前に現れただけだった。しかも、室内だというのに一つの池が視界に映る。
「一体全体ここはどうなってるんだよ?玄関はないのか?」
「ここは人が立ち入るような場所じゃない………ここは人の業によって生み出された物の最終地点………」
それと同時に池があわ立ち、何かが飛び出してきた…………
「ザリガニ!?」
体長五メートルほどのザリガニが突如現れ、その姿を俺らの前にさらす………赤いはさみ、触覚、脚………まるで獲物を見つけたというばかりの視線。
「クリムゾンシザー………それがこの実験生物の名前じゃ」
「いや、別にザリガニでいいんじゃねぇの?」
「能力はさして変わらず、弱点は足の関節などじゃな」
ああ、大きくなってもそのもろさは変わらないのか……………子供たちがザリガニ釣りを終えた後にいじっていたらあっさりとあしが取れてしまう。そして、彼らが去ったあとには胴体だけがぽいされてるからな。
「まぁ、ちびっこ程度の腕力では足とかちぎれはせんがのう」
俺とじーさんの間へと鋏を振り落とすがそれをあっさりとよける。脳味噌もでかくなったと思うのだがそんなに変わりはしないのだろう。
さっさと下をかいくぐって足元へとやってくる………
「せやぁっ!!」
胴体と直結している足の根元に拳をたたきつける……ぶぢっという音とともにあっさりともげる。
悲鳴とか一切上げてくれなくてよかったと思う。だって、怖いだろ?
「こっちもこっちでやっているからさっさと終わらせろよ」
「へぇへぇ」
十脚の足をじーさんとともにばらばにして動けなくなった胴体に上って額にけりをいれる。
クリムゾンシザーの動きが完璧に止まる。
「このことをしっとるか?」
「何をだ?」
隣につながっている扉をふさいでいるザリガニの鋏をどかしながらじーさんはしゃべる。
「アメリカザリガニは成長するにしたがって徐々に体の色が赤くなってくるのじゃ」
「いや、知らねぇよ、そんなの」
「ああ、それとザリガニを食すときはちゃんと加熱して食べなくてはならん!ザリガニの腸の中にはベルツ肺吸虫がおるかもしれんからのう」
はっきり言うがザリガニなんて食う奴いないだろ?俺はそんなことを考えたのだがじーさんはまじで食うつもりなのだろうか……ザリガニの甲羅をたたき割ろうとしていたりする。
「ほら、次行こうぜ?」
「ちっ、しょうがないの」
「…………」
ふすまを開けるとそこにも一つの池があった。ざばっ!そんな音を立てながら再びクリムゾンシザーが現れる。
「おいおい、またクリムゾンシザーかよっ!?」
「違うな、これはマッカチンじゃ」
「マッカチン?」
なんじゃそりゃ?
「別名じゃよ、アメリカザリガニの。知っている人は知っているはずじゃよ」
「俺はしらねぇよ」
知っている方がいたらご連絡ください。あなたを第一回勝手にザリガニ博士賞を授与します。
「マッカチンを飼育するときは決して数匹を同じ水槽に入れてはならん!やつらは共食いを始めてしまうからな!」
何か怖いものでも見たかのようにがくがくと震えているじーさん。やれやれ、きっと小さい頃に禁忌をやってしまったに違いない。
マッカチンと相対する俺ら………だが、いきなりふすまが飛び散って隣の部屋からまた別のマッカチンが現れる。
「ほら見ろ!たとえこのように区切っていたとしても今のやつらには意味がないことじゃ!逃げるぞ、輝!奴らは共食いを始める!グロすぎて文章にもできんことが起こるぞ!」
「………まぁ、いいけどよ」
お互い鋏を振り上げて戦い始めたマッカチンを置き去りにし、俺らは先ほどマッカチンがやってきたほうの部屋へと逃げ込む。
「うぉう!?」
そこにはそびえたつまた別のマッカチンが………
「安心せい、これはやつが脱皮したやつじゃ」
「な、なんだ………驚かせやがって」
そのまま隣の部屋のふすまを開ける………
開けたと同時にあっという間に暗くなり、一瞬だけまた電気がつく。
「漆っ!!」
倒れている漆の姿がぱっとうつされた後に再び電気が消えるがまたもやつく。
「うるしぃぃぃっ!!」
そこには、赤い血の上に倒れている漆の姿が。
急いで駆け寄ろうとするが、じーさんにまったをかけられる。
「まて!それよりあれを見ろ!」
「!?」
漆よりも先にいた者………それは一人の少年とそして、俺が初めてあった龍、あの黒い龍が立っていた。
「………お前らか、漆をこんなにしたやつは!」
「そうだと言ったらどうするんだい?」
「………」
返事はせずに、俺は相手へと踊りかかる。




