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漆編:黒き龍、蒼空にて。

結構やったなぁと思ったところまだ漆編三話目………トホホと思いながらもいやいや、まだまだ終わりには近づいていないっていうことだと実感しました。おっと、最近いっていなかった言葉が………感想、評価、メッセージ………できればよろしくお願いします。

漆編:黒き龍、蒼空にて。

「漆、そこのしょうゆをとってくれ」

「………」

「漆?」

 そろそろ夏休みも八月半ばまで進行していてせみが絶賛彼女募集中と鳴いているある日。漆にしょうゆをとってもらうべく声をかけたのだが反応はなかった……俺のほうをずっと見ているのだが、瞬きをしていない。

「自分でとったら?」

 千佳がそういうことを言うのでしょうがなくしょうゆに手を伸ばすと漆がはっとした表情を見せた。まるで夢遊病患者があれ?ここはどこ?といった風に……まぁ、一度もそんな状況に陥ったことなんてないんだけどな。

「え?しょ、しょうゆ?」

 あたふたとした時点で俺はゆっくりとしょうゆに手を伸ばしていた。

「もういいぞ、もう自分でとるから」

 今から漆が手を伸ばせばもしかしたら俺の手と当たってその拍子にしょうゆがひっくり返って千佳に怒られかねんからな……

「ああ、い、いいって!私が取る!」

 そういって俺の指よりあとに漆の指が俺の指の上に重なる……俺が危惧したような状態に張らなかったのでよいとしよう。

「っっつ……!?」

 しかし、何が漆にそうさせるのか……漆の顔が真っ赤に染まってさらには目を白黒させて固まる。ついでに言うならそれまで静かに食事を取っていたほかの連中たちが何か面白いものを見つけたといわんばかりの顔で漆の顔を眺めていたのだった。

「?」

 なぜ、そうなってしまったのかわからない俺はぼさぁっと漆の顔をほかのみんなと同じように見ていたのだが漆はそんな俺と決して目を合わせようとはしなかった。

「あの、どうかしましたか?」

 久遠が漆の目の前で手を上下に振ってみても漆は俺の指と当たった指をじっと眺めている。ここまで漆がぼさっとするところは見たことがない……。

「お、おい?もしかして怪我か?それで、怪我した部分に俺の指が当たったから痛いのか?」

 漆の手に触ろうとしたら漆はびくっとして俺から逃げるようにして身体をそらした上に目も合わせようとはしなかった。

「べ、別に!」

 挙動不審をまさに体現したかのような動きを見せた後(椅子をがたがた言わせて後ろに倒れそうになるも何とかふんばる)に漆は再び指を握っていた。

「漆、お前最近変だぞ?俺と目をあわせようとしないし、俺が触れようとしたらものすごい体勢とってさけるし、それに……一緒に寝ないし」

 ほかにも俺がトイレに行った後は最低三十分はあけるし、風呂上りの俺を決してみようとはしないし、無理に見せようとしたら噛み付いてくるし……パソコンでエッチなサイトを見ようとしたりするとものすっごく、怒るし……久遠と話していたりするとすぐどよ〜んとあのダークゾーンを形成するしさ……これまで一つ天井の下で寝てたのに久遠と一緒に千佳由佳の部屋の床で寝てるしさ……くすん、俺寂しい。

「兄さん、一緒に寝てるほうが変なのよ?」

「え?そうか?」

 どこかおかしいだろうか?ずっとこれまで寝てたのになぁ……どうしちゃったんだ?まさか、新種のインフルエンザの影響か?

 いろいろと考えているのは俺だけではないようで由佳も何かしら考えがあるらしい、手をぽんとたたくといった。

「……わかった、漆さんがきっと兄さんのことを嫌いになったんだ」

 その瞬間、俺の脳天に時速百キロ以上の速さで雷がずどん!

「…………」

 え?う、嘘だよね?お、俺のことが……俺のことが嫌いになった?は、ははっ……そ、そんなことないよなぁ……漆?

「……べ、別に」

 漆にすがるような視線を送った俺だったが、果たして漆はそのまま走ってトイレに逃げ込んでしまったのだった……

「……え?ほ、本当に俺って……漆に嫌われてるのかよ……」

 世界が回り、脚ががくがく震えてくる…………とてもたってはいられない。まぁ、食事中だから座ってるから安全だが。

「あの、大丈夫ですか?顔、真っ青ですよ?」

 いつの間に血色が悪くなったのだろう……夏ばてしないように今日はレバーを焼いたのに……とにかく、久遠が心配そうにそういってくれている気遣いを無駄にすることはできないので、俺はなんとかうなずく。あくまで、冷静に……そう、そういえば俺は学校でクールボーイと伊達に呼ばれていない!つまり、俺がなぜ、ここまで動揺しているのかは考えないようにしてこの場をいつものようにやり過ごすのが一番だ!

「だだだだだだ大丈夫だ、別にきききき、嫌われていたたたってお、俺にはかかか……関係ねぇからぁ(裏声)」

 千佳がため息をついているのが見て取れた。ど、どうやら何とかやり過ごせたようだ。

「……はぁ、これは兄さんのほうも重症ね」

 どうやら、やり過ごしてなかったようなので大人の余裕というやつを子どもに見せ付けることにする。

「べべべべべ、別に、重症なんでもねぇよ?」

 そういうと由佳がニヤニヤしながら………彼女がニヤニヤしているときはろくなことを言わない………俺にこういった。

「……………おにいちゃんなんか大嫌い……ショック受けた?」

 そういわれても、ぜんぜんショックを受けない……あれ?よくよく思えば元から嫌われてるやつに嫌われたってショック受けないよなぁ?

「……ぜんぜん」

 首をすくめてやれやれ。うわ、なんだかお仕置きしたい気持ちになってきた。

「輝さん、わたしのほうからも漆さんを説得しておきますから……何か漆さんに対して後ろめたいことがあるのなら謝っておいてください」

 そういって久遠が立ち上がり、お開きとなった感じで夕食は幕を閉じたのだった。


―――――――

 その日の夜空を一人で漆は見つめていた……昼間だったならば雲ひとつない蒼空が彼女を見下ろしていたに違いない。

「………馬鹿、馬鹿輝……」

 彼女はなぜ輝のことをまともに見られなくなったのかわからない。

ただ、隣の奥さんに『輝クンは漆ちゃんのことを恥ずかしいぐらい大切に思ってるわよ?あなたにとってもそうでしょう?』それにうなずいてしまってから、家に帰って輝にその話ができなくなった。ほかにも教えてもらったことがあるのだが、テレビで何度でも見たことがあったことなのだがそれを実際にやってみたらうれしいような、けど確実に何かが変わる気がした。変わる……それは以前あったものが壊れてしまうことでもある。

 それが漆を今の状況に追いやっているのかもしれない。

 責任を追及する相手が違うような気がしたが輝のせいであるということを理由にして漆はさらに彼を罵倒する。そういえば、輝を罵倒するのは初めてのことだと思いながらもその気持ちは治まらない。

「……馬鹿輝なんて久遠に千佳に由佳に嫌われちゃえばいいんだ!」

 ひとつ、流れ星が漆の前で零れ落ちた。


先日、投稿したあの小説………結局あれからひとりとして感想や評価をしてくれる人がおらず、へこみました………以前のほうが良かった!とかそういったこともなかったんですよ。まぁ、結構読んでくれた方が多かったようなので続編は考えていますけどね。結局、ここで問題を出していこうとしたのに前回自分がどんな問題を出したのかさえわかってないし………たまには自分の小説の問題でも出すことにしましょう。さて、これまで雨月が様々な小説を書いてきましたがその中でも第一作目の主人公の名前は何でしょう?

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