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漆編:崩壊を招く、ひとつの存在。

さて、今回から漆編始まりました………初っ端でいいますが、どんな結末でも、許していただけたら嬉しいなぁって思っています。甘い期待ですけどね。

龍と書いてドラゴンと読む 〜龍が空を泳ぐ時〜


漆編:崩壊を招く、ひとつの存在。


 それが唐突に……というか、起こる事は前々からわかっていたことなのだが漆が下に住んでいた、否、潜んでいたあの建物の取り壊しが今日から行われていた。

 騒々しい音を聞きつけて俺と漆はあの場所へとやってきていたが、いつかやってきたみたいにそこはもう静寂とは無縁であって重機が動く音、建物を穿っていく音、重機を指揮する人たちの声しか聞こえていない。

 建設業者の人たちはいつも市長さんが雇っているところの者たちではないようだったが、その動きには無駄がなく、俺らが近寄ってきているのを知ると急いでは知ってきていったのだった。

「君たち、危ないからここから中に入らないでね?」

「あ、はい!ほら、漆………」

 注意されたところでとっくに立ち入り禁止の線を越えていたことにようやく気がついて俺はまるで根の生えたかのような漆を引っ張って線を越える。通行人たちがなんとなく、興味を持っていたようだったがすぐにその場を去って行った。

 中には、

「ああ、あのお化け屋敷って今日壊されてるんだ?」

「そだね〜、もう忍び込めなくなるねぇ〜」

「結局、うなり声の正体が何なのかわからずじまいだったし」

「そうそう、あ、そういえば……」

 そんな声も聞こえた。

 まぁ、あの建物がまだ現存していたとしても、うなり声を上げていたと思われる謎のお化けは俺の目の前に立って崩壊を目にしている……。

「………」

「漆……」

 崩れ行く元我が家を眺めながら漆は何を思っているのか、ここからは窺い知れない。だけど、俺だったらここまで成長してきた家が目の前で壊される………そんなことされたのなら少なからずショックを受けると思うのだ。

「漆、ソフトクリームおごってやるぞ」

「……いい、要らない」

 そりゃそうだよな、ソフトクリームで我が家の埋め合わせなんてできるはずがない。俺はそれを十分理解していたというか、ちょっとでも埋め合わせができればよかったなぁとは思ったのだが、どうやらちょっとさえも無駄だったようだ。

 その後、漆はほぼ半日の間そこでぼーっとその建物が原型をとどめず、もはや土と瓦礫に扮する様をその目に焼き付けていたのだった。

「………もう、跡形もなくなったね」

 立ち入り禁止の線が解かれた後、俺たちは瓦礫の手前に立っていた。いや、立っていたのは俺だけで漆は座って、瓦礫をひとつ拾い上げてそれを凝視していた。

 そんな漆の後姿を見ていたからか、漆の返事に変な間を空けてしまっていたことに気がつく。

「そうだな……」

「まるで、龍に蹴散らされた後みたい」

 遅れ目の返事を意に介すこともなく漆はため息をついてそんなことをつぶやいた。

「……この家さ、私が壊そうって思ってたのにな」

「……はぁ?」

 漆の声からは無常とも言うべき落胆の響を感じることができるが、その感じと言葉とはつながりようがありそうでなかった。

「だってさ、この家のせいで私はあの地下に閉じ込められてたんだよ?」

 憤慨、ここに極まる!そういった顔をしていて哀愁を漂わせるような表情は微塵もしていない。

「それで、輝に助けられたって言うか、外に連れ出されて………いろいろな人に出会って、いかに自分を捕らえていたこの建物が憎い物か判った」

 あ〜もうっ!とその後言ってひとつの瓦礫を手に取った。そのままどこかにぶん投げるのかと思ったのだが漆はそれを両手で包み、なんとなくだが、愛おしそうに……見ている気がしたのだ。

「……けどさ、確かにこれまで自分を閉じ込めていた場所。自由を、世界を教えてくれなかった存在だったんだけどね……ここに私が閉じ込められていなかったら私は輝と出会えていなかった、輝に名前を、そう、漆って名前を貰っていなかった確信があるんだ」

「……そうかぁ?別に俺はそう思わないけどなぁ……」

 漆が自由だったなら、俺は彼女とどこかで会うことができていただろう……まぁ、多分というか、漆という名前ではなかったことは確かだろうが。

「考え方の違いだよ……輝はこの建物がなければ別の場所で、別の名前で私に会っていたと思うけど、私はそうは思わない。私は漆のままで輝に会えて嬉しいから……それにさ、もしもなんて話は存在しないんだよ」

「確かにそうだけどよ……」

 座ったままで瓦礫を軽く投げてから漆は立ち上がった。長めのスカートだったからか、スカートのすそ部分をぱっぱとたたいてこっちを向いた。その表情はいつものものだった。

「行こう?もう何もないから」

 俺の横を通り過ぎて俺は再び元建物の跡を眺める。

「瓦礫と土ならあるけどな?」 

 俺も漆にならって背を見せる。

「……それと、思い出もね」

「何か言ったか?」

「じゃあ、何て聞こえた?」

「さぁ?わからねぇから聞いてるんじゃねぇの?」

「そうだね……」

 歩きながら夕焼けの空を見上げて漆は言った。

「……判らないから輝の隣にいるんだよ」

 その言葉が俺には理解できなかった。


さて、今回の問題は…………うぅん、そうだ!龍の角って何が元だかわかりますか?って、難しいですね………うぅん、直江兼次が掲げていたというか、何を兜に掲げていたでしょう?

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