7 11月28日(木)
朝から気分が冴えない。
昨日の夕方から嫌な感情がくすぶったままだ。
あの女の子は、本当に別れてくれるだろうか?
今朝は別れ話などなかったかのように、彼女から「おはよう」と連絡がきた。
俺は返信しようか迷った末に「おはよう」と返しておいた。
無視は良くないよな。
しかし、このままずるずるとつき合いが続きそうな、悪い予感がする。
昨夜から俺があまり話さないので、「体調悪いの?」と親が心配して声をかけてくれた。
俺は否定して、朝ご飯を少し残して家を出る。
今日も雨だ。
玄関を出ると、冷たい空気が顔を冷やす。
隣の部屋から彼女が出てきてふわっと空気が変わる。
「おはよう。」
彼女の顔を見、声を聞いて、俺の心が軽くなる。
「おはようございます。」
挨拶し、俺たちは連れ立って毎朝のコースを歩いて行く。
「夜は一人でご飯を食べているの?」
俺は彼女に話を振る。
「知り合いとの外食が多いわ。」
「友達?」
「友達も、友達未満も、その他も。」
俺はどこに分類されているのだろう。
「今度、一緒に食べませんか?」
「いいわよ。いつがいい?」
思わぬ幸運に恵まれた。
俺は今夜にでも、一緒に食事をしたい。
「今週は、いつが空いていますか?」
「明日と週末は予定があるけれど、今日は空いているわ。あなたの方の都合はどう?」
俺の都合? そんなもの、どうでもいい。
部活は「体調不良」で休めばいいし、課題なんて夜、家に帰ってから朝までに仕上げればいい。
「俺は今日、大丈夫です。連絡先を交換してもいいですか?」
「いいわよ。」
よし! 自然な流れで連絡先をきけた!
駅についてからスマホを取りだし、お互いの連絡先を交換した。
今は忙しいので、きちんとした登録は後にする。
──────
『こんにちは。ーーーーー。』
俺は隣の部屋の彼女からきたメッセージを昼休み時間に見ていた。
もちろん、直ぐに返信している。
彼女が駅を降りてから、どこで食事しようか考えていた。
学校の奴らに見られないところがいい。
でも、俺は制服姿だから、親と行くようなきちんとした店では浮くだろう。
いや、店で服を買って、着替えればいいか?
しかし、家に帰ったときに私服だと、親が不審に思う。
親には彼女とのつき合いにいい印象を持ってもらいたい。
制服のままの方がいいだろう。
結局、女の子が好きそうなカフェがちょうどいいだろうと考えた。