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隣の彼女が目覚めたら~恋をしない彼女に恋をした~  作者: 一会
第1章 クリスマスまで
12/60

11 12月1日(日)

 ブックマーク登録、評価、共にありがとうございます。

 どなたかがしっかり読んでくれているのだとわかり、励みになります。


 



 今日は休養日だ。

 きっちりした人生設計のできた人なら、こういう時にまとめて予習だのなんだのするのだろうけれど、俺はふわっとした人生設計しかしていないので、「休養日」は休養するために()てる。


 たっぷり寝たいだけ二度寝してリビングに来たとき、インターフォンの音がした。

 母が対応に出ると、隣の部屋の彼女の涼やかな声が聴こえてきた。


 「こんにちは。隣の---です。

  友達とクリスマスの飾りを作ったのですが、ちょっと作り過ぎてしまって。

  よろしかったら、少しもらっていただけませんか?」


 「はーい。今玄関に行きますね。」


 

 母がパタパタとスリッパを鳴らして玄関に向かう。

 俺は急いで手櫛(てぐし)で髪をととのえて、何となくそわそわする。


 

 玄関を開ける音がして、彼女と母が会話する声が聞こえてくる。

 彼女の楽しそうな声が聞こえてきて、俺は口元が(ゆる)む。

 しばらくすると、また玄関を開ける音がして、閉まる音と共に静かになった。



 母がリビングに戻り、紙袋に入ったクリスマスリースや、オーナメントを見せてくれた。


 「やっぱり女の子は可愛いわね。見てよ、これ、みんな手作りですって。」


 俺は母が頬に手をあてて喜んでいるのを見て、彼女のことを歓迎しているのか気になった。


 「母さんは、彼女のこと、嫌いじゃない?」


 「え? 好きとか嫌いとか、まだよくわからないわよ。知り合ったばかりだもの。」


 母が俺を見て、不思議そうに言う。



 「そっか。そうだよね。」


 俺は母に何を言わせたかったのかと、自分の言葉を思い返して照れた。


 

 「そうそう、毎朝お隣りさんと駅まで一緒に行ってるそうね。」


 それ、誰からの情報?

 管理人はもう少し後から来るから朝には会っていないし、弟の繋がりの親が何か言ったのだろうか?


 「さっき、お隣りさんが言っていたわよ。日本人の高校生の知り合いが出来てうれしいって。」


 さっき!

 俺は彼女の声に聞き惚れていて、内容が頭に入っていなかった。


 「そうなんだ。たまたま家を出る時間が毎朝一緒で。」

 

 「せっかくだから、英会話の練習相手にでもなってもらったら?」


 母が思いついたように言う。



 「そんなこと、彼女に失礼だろ?」


 「彼女が嫌がらないなら、いいんじゃないの?」


 これだから、親というのは!

 相手の迷惑とか考えないのか?!


 ん? 待てよ? 

 親が彼女と会って、積極的に会話しろ、と言っているのか?

 いいね! 親公認だ!



 「わかったよ。彼女と会って、会話すればいいんだろ。」


 俺は顔が(ゆる)むのを我慢して言った。

 

 「変な顔して。嫌なら無理しなくていいわよ。」


 ここで意見を撤回するなよ!


 「嫌ではないよ。だったら、彼女と会って、夕飯食べるとかしてもいいよね?

  その方が自然な会話ができるし。」


 「いいけど、、。さっきから、なんか顔が変よ?

  顔面偏差値だけは高いのだから、変な顔するのはやめてよね。」


 「だけ」は余分だ!

 成績だって、頑張って上げてる最中だよ!




 俺はふふ~んと鼻歌でも歌いたい気分で、彼女をどうやって夕飯に誘おうか考えて午後を過ごした。

 

 

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