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隣の彼女が目覚めたら~恋をしない彼女に恋をした~  作者: 一会
第1章 クリスマスまで
11/60

10 11月30日(土)



 学校の部活の試合があるので、朝に家を出た。

 俺は別に熱心に部活をやる方ではないけれど、身体を動かすことは楽しいと思う。

 現地集合、現地解散となり、残れるメンバーで反省会と称して焼肉屋で飯を食う。


 

 店に入り、適当に席について肉を注文していく。

 先輩たちが焼き始めてから、俺たち後輩も肉を焼く。

 ジュージューとおいしそうな肉を焼く音と臭いに、俺の腹は期待にグーッとなりそうになった。



 「お前の彼女って、確か中等部の可愛い子だったよな。」


 俺の席の斜め前に座った、昨日とは別の先輩が、俺に話しかけてきた。

 俺は「別れる予定です」とも言えず、「はい」と答える。


 「昨日、彼女が駅でお前のことを待っていたぞ。」


 え? 彼女は何も連絡してきてない。

 俺の表情を見て、先輩が何か気づいたようだ。


 「うまくいってないのか?」


 俺はなんと答えたらいいのかわからず先輩を見ていたら、横から同じ学年の友達が言い出した。


 「こいつ、今、恋わずらいしてるんです。」


 俺は友達の方を見た。


 なんてことを言い出してくれるんだよ!

 話を(ふく)らませるなよ!


 

 「相手は誰だよ? 付き合ってる彼女ってことはなさそうだな。」


 先輩は面白そうに俺を見る。


 ほれ見たことか!

 どう収集つけてくれるんだよ!



 俺は嫌々ながら答える。


 「年上の、綺麗な女の人です。」


 焼肉の味がうまくなくなっていく。


 「お前、年上好きだったんだ!」

 

 先輩は(なお)もからかいにくる。


 「へ~。それなら、今の彼女と二股(ふたまた)ってわけか!」


 「そんなことはしていません! その人と、付き合っていませんし!」


 変な噂が流れることをここで()っておかないといけない。


 「これからそうなるかもしれないんだろ?」


 彼女と付き合えたら、どんなに幸せか!

 しかし、そうはならないと、現実的に考えてしまう。

 

 「彼女は、俺の相手をしてくれるほど男に飢えていないと思います。」



 俺は気落ちして、先輩から目をそらして自分の取り皿を見てしまう。


 そうだよ。彼女ほどの人が、俺と付き合ってくれるはずがないんだ。

 俺は高校1年生のまだ子供で、背だって平均くらいしかないから彼女の方が高いし、経済的にも親のすねかじりだし、俺っていいとこないじゃないか!


 どんどん暗い気持ちになっていく中、目の前の取り皿に、焼けた肉が乗せられていき、俺は顔を上げた。


 「まあ、食え。食って元気を出せ。」


 先輩が、朗らかな笑顔で俺の皿に焼けた肉を積んでいた。

 隣に座る友達が、俺の肩に後ろから手を回して叩きながら言う。


 「お前でも、女のことで悩むんだな! がんばれよ!」


 俺の言葉を聞いていたと思われる数人が、俺に「まだこれからさ!」「がんばれ!」「なんとかなるさ!」と声をかけてくれる。

 


 俺の周りの人たちは、いい人ばかりだ。

 俺はぐっときて、「ありがとうございます」と一言言って、肉を腹に詰め込み始めた。


 

 

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